番号法の逐条解説 [第2版]
番号法 (マイナンバー法) は、国民すべてにきわめて大きな影響を与える法律であり、その内容を正確に理解していないと、違法行為を行ってしまうことになりかねない。しかし、この法律は決してわかりやすいものではなく、また、既存の個人情報保護法制の特例を定めているため、一般法である個人情報保護法制の知識が番号法 (マイナンバー法) を理解する上で不可欠である。そこで、本書では、法律家でない一般の国民の方も読者として想定し、番号法 (マイナンバー法) の内容を理解していただけるように平易な表現を用いるように努めた。
また、国の行政機関の長、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人、地方公共団体情報システム機構、情報提供ネットワークシステムを使用して情報連携を行う情報照会者?情報提供者は、プライバシー影響評価の一種である特定個人情報保護評価を行う義務があり、特定個人情報保護評価についての正確な理解が必要である。さらに、番号法 (マイナンバー法) は、特定個人情報について、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」の特例を定め、地方公共団体に対して、これらの3法および番号法 (マイナンバー法) の規定により行政機関の長、独立行政法人等および個人情報取扱事業者が講ずることとされている措置の趣旨を踏まえ、個人情報保護条例の改正その他の必要な措置を講ずることを義務付けている。以上のように、公的機関は、番号法 (マイナンバー法) の概要を知るにとどまらず、その詳細を理解する必要がある。本書では、このような公的機関の職員を念頭に置いて、できる限り詳しく番号法 (マイナンバー法) の解説を行うよう努めている。
特に、番号法 (マイナンバー法) についてこれまで講演等の場で受けた質問への回答を本書に豊富に盛り込んでいる。かかる質問は、本書の読者の多くも共有するものであると考えたからである。
第2版においては、2015年9月3日に成立した平成27年法律第65号による重要な法改正、番号法 (マイナンバー法) 施行令等の政令、「特定個人情報保護評価に関する規則」等の個人情報保護委員会規則、「特定個人情報保護評価指針」、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」等の指針についての解説も追記している。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 教授 宇賀 克也 / 2017)
本の目次
本论
第1章 総則
第2章 個人番号
第3章 個人番号カード
第4章 特定個人情報の提供
第5章 特定個人情報の保護
第6章 特定個人情報の取扱いに関する監督等
第7章 法人番号
第8章 雑則
第9章 罰則