地方自治法概説 【第10版】
地方自治法は、かなり頻繁に改正されるので、概説書の改訂を怠っていると、すぐに内容が古くなってしまう。そこで、本書は、隔年に改訂する方針をとり、できる限り、アップデートした内容を読者に伝えられるように配慮している。本書の特色として、以下の点が挙げられる。第1に、法令の内容の解説にとどめず、多数の裁判例を紹介し、解説していることである。法令の解釈をめぐる紛争が生じた場合、訴訟が提起されれば、最終的には、裁判所の判決?決定が示す解釈により紛争が解決されることになるので、裁判例について理解することも重要であるからである。また、地方自治法判例百選 [第4版] に掲載されている裁判例については、この百選の事件番号を付記しているので、より詳しくその裁判例を調べたい方は、百選を参照していただきたい。第2に、学生の方が演習における報告のために調査をしたり、公務員の方が職務上、調査を行うために参考となる多数の著書?論文を注において示していることである。本書で取り上げた問題について、より深く調べる場合には、本書の注に掲げた参考文献を活用していただきたい。第3に、制度の解説にとどめず、その運用についても、できる限り紹介する方針をとっており、入手しうる最新の統計を示すこととし、改訂の際にデータの更新を行っている。第4に、各章の冒頭に要点をpointとしてまとめているので、各章を読み始める前に、pointを読んで、概要を頭に入れていただきたい。また、一つの章を読み終わった後に、改めてpointを読み返すことにより、要点の理解を深めていただきたい。第5に、読者の方に地方自治に関心を抱いていただくために、コラム欄を設けている。コラム数は、全部で154になり、ほぼ3頁に1つコラム欄があることになる。コラム欄では、新聞等で報道されている新しい問題も素材として取り上げ、読者の方に、地方自治法が国民生活と密接に関係していることを認識してもらうように配慮している。巻末には、近年の地方分権の動きについての年表、判例索引、事項索引を付している。関心を持つ問題が本書のどこに記載されているかが目次のみから明らかでないときは、事項索引を活用していただきたい。なお、地方公務員法については、別著『』(有斐阁、2019年) を参照していただきたい。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 教授 宇賀 克也 / 2018)
本の目次
第2章 普通地方公共団体
第3章 特別地方公共団体
第4章 広域連携の仕組み
第5章 地方公共団体の事務
第6章 地方公共団体の権能
第7章 地方公共団体の機関
第8章 住民の権利義務
第9章 普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与等