新?情报公开法の逐条解説 行政機関情報公開法?独立行政法人等情報公開法 [第8版]
1999年に刊行した『情報公開法の逐条解説』(第2版まで刊行) は、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(行政機関情報公開法) について解説したものであるが、その後、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」(独立行政法人等情報公開法) が制定されたため、2002年に書名を『新?情报公开法の逐条解説』に変更し、両法の解説書とした。したがって、本書は、実質的に、『情報公開法の逐条解説』の第10版に当たる。さらに、2003年に「情報公開?個人情報保護審査会設置法」も制定されたため、これも加えた3法の解説書になっている。行政機関情報公開法、情報公開?個人情報保護審査会設置法については逐条解説を行っているが、独立行政法人等情報公開法については、行政機関情報公開法を理解できれば、その理解は困難でないので、行政機関情報公開法との相違点を中心に解説している。本書の特色として、条文の解説にとどまらず、諸外国における情報公開法制定の動向、我が国における情報公開の歴史、重要な裁判例、情報公開?個人情報保護審査会答申、特色のある情報公開条例、さらに情報公開制度の基盤になる「公文書等の管理に関する法律」についても解説していることにある。裁判例については、情報公開条例に関するものも含めて紹介している。また、より深く研究されたい方のために、参考文献も本文中で豊富に示している。我が国の情報公開法制の大きな特色は、分権的な点にあり、地方公共団体の保有する情報公開の一般法は、各地方公共団体の情報公開条例であり、現在、すべての都道府県、ほぼすべての市区町村において、情報公開条例が制定されている。情報公開条例の中には、新機軸を採用したものが稀でないが、かかる独創性を発揮した情報公開条例は、都道府県、指定都市、中核市に限らず、一般の市町の情報公開条例にもみられる。そこで、本書執筆に当たり、都道府県、市区町村の情報公開条例を網羅的に調査し、その中で、国や他の地方公共団体においても参考にされるべきと思われるものを紹介している。こうした地方公共団体の創意工夫を参考にして、国や他の地方公共団体においても、法改正の必要性について検討していただければ幸いである。巻末には、10の関係法令を掲載しており、また、判例?審査会答申索引も付しているので、活用していただければ幸いである。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 教授 宇賀 克也 / 2017)
本の目次
第1部 行政機関情報公開法の逐条解説
第1章 総則
第2章 行政文書の開示
第3章 審査請求等
第4章 補足
第2部 独立行政法人等情報公開法の解説
第3部 情報公開?個人情報保護審査会設置法の逐条解説
第1章 総則
第2章 設置及び組織
第3章 審査会の調査審議の手続
第4章 雑則