ウズベク移民と日本社会
2018年10月、入管法改正案が阁议决定され、2019年4月から改正入管法案が施行されるようになりました。これも従来の技能実习制度を见直し、日本が外国人労働者を积极的に受け入れる方向へ舵を切ったからだと理解されています。もっともそれ以前から、制度の见直しを求める声はありました。2008年から人口は减少しており、将来の労働力不足を危惧する声が强かったからです。実际、労働力不足を海外からやってきた外国人が埋める现象は长く続いており、法律が现実に追いついたとも言えます。
中央アジアに位置するウズベキスタンからの移民も、日本の労働力不足を補う役割を果たしています。事実2010年代になってウズベク移民、とりわけ日本语学校生の数が増えたのは、彼らが日本への出稼ぎを魅力あるものと見なすようになったからです。日本に行けば学費も稼げて、母国に仕送りもすることができる。そんな甘言を耳にして、多くの若者が日本に渡ってくるようになったのです。
本书『ウズベク移民と日本社会』は、编者の一人である筑波大学のダダバエフ教授を中心にして実施してきたウズベキスタンから来日してきた若者を対象にしたインタビューや、笔者がウズベキスタンの大学生を対象に行った质问票调査の结果などを踏まえ、なぜ2010年代になってウズベク移民が急増することになったのか、彼らが日本にやってくる动机はどのようなもので、彼らは来日后どのような生活をし、これをどのように意味づけているか、そして将来、どのようなプランを持っているかを明らかにすることを目的に执笔されました。ウズベキスタンから欧米に出て行った移民に関する调査研究は多いものの、日本にやってきた移民に関する调査研究はほとんどありません。人の国际移动が起こるには一定の条件が整わなければならないのですが、ウズベキスタンと日本の间に、こうした条件が整いつつあることが本书の刊行を可能にしました。
ウズベク移民を対象にしたインタビューは興味深いもので、彼らの多くが出稼ぎ者メンタリティーをもち、日本での定住願望がさほど強くないこと、母国への仕送り金を捻出するために劣悪な生活環境に置かれていながら、これをイスラムでの「修行」とみなし、日本での生活を肯定的に捉えていること、とはいえ母国におけるジェンダー規範や文化規範を日本に持ち込んでいるため、これをどう評価しているかによって日本の生活をどう評価するか変わってくることなど、ハッとする知見も少なくありません。また、現地への日本语支援が日本への人の移動の「マッチングポンプ」になっていることや、送出し国が開放的な政治体制に変わることで移民指向が強まったことなど、本書を執筆する過程で筆者が学んだことも少なくありません。
なお本书にはThe Grass Is Always Greener?: Unpacking Uzbek Migration to Japan (2021, Palagrave Macmillan) という姉妹品があります。英語に自信のある方は、こちらも読んでみられるといいでしょう。
(紹介文執筆者: 东洋文化研究所 教授 園田 茂人 / 2023)
本の目次
第1章 ウズベキスタンから世界へ
第2章 日本语学校という選択――入国の動機と経路
第3章 教育から労働へ――教育=労働移民の现実
第4章 越境するジェンダー――女性移住者の経験
第5章 文化実践としての国际移动――「ウズベクらしさの力学」
第6章 移住先としての日本と韩国
第7章 ウズベク移民と日本の将来
関连情报
Timur Dadabaev ed., The Grass Is Always Greener?: Unpacking Uzbek Migration to Japan (Palagrave Macmillan 2021年)
関连イベント:
「Central Eurasian Views of East Asia: Findings from Asian Student Survey 2018」 (日本財団 中央アジア?日本人材育成プロジェクト 2022年2月21日)