中公新书 アジアの国民感情 データが明かす人々の対外认识
21世纪になり、インターネットが普及したこともあり、世界各地で诸外国に対する见方や评価に関する世论调査が行われるようになってきています。日本では、内阁府や外务省が1970年代から、日本の対外认识や海外の日本评価をめぐる世论调査を実施してきましたが、最近では、ギャラップ社やピュー?リサーチ?センター、叠叠颁ワールドサービスなどが、グローバルな问题への评価を幅広く调査するようになってきています。ところが、これらの调査で意见が聴取されているのはアメリカやロシア、中国など强国に対する评価がほとんどで、アジア域内の详细な対外认识については、研究の対象とされてきませんでした。アジア各地で断片的に行われてきた世论调査も、アジアを広く概観するには不十分な状况にありました。
本书では、笔者の研究グループが2008年、2013年、2018年と3时点に渡ってアジア域内の代表的な大学で学ぶ学部学生を対象に行ったアジア学生调査のデータを用い、従来の研究の欠落を生める作业を行いました。2008年は调査の実施を调査会社に委託しましたが、2013年は东京大学と早稲田大学の学部生が中心になって质问票の设计から回収まで行い、2018年は笔者が指导する东京大学の博士课程学生を中心に质问票の配布?回収を行うなど、学生自身もこのプロジェクトに参加し、データを利用して论文を発表するなど多くの成果を得ています。また大学院学际情报学府の授业でデータを用いた授业が展开されたり、データ収集に関わった博士课程学生が新たなプロジェクトを立ち上げたりと、その后もデータを利用した活発な研究活动が行われています。
本書で紹介された知見は多くあります。中でも、(1) ASEAN域内の相互認識は日本や韓国、アメリカ、オーストラリアといった国への評価ほど高くない、(2) 中国に対する評価は、評価が低い日本?ベトナム?フィリピン?台湾と、評価が高いタイ?マレーシア?シンガポール?インドネシアとで分かれる傾向にある、(3) 日本と韓国、中国とベトナム、マレーシアとインドネシアなど、外からは似た政治的?文化的特徴をもつと思われる国の間で相互に相手を悪くみる傾向が強い、(4) 東南アジアでは、国家としての中国イメージは中国人のイメージよりもよいが東アジアではこれが逆転する、といった知見は、従来の研究に新たな視点をもたらしてくれています。(1) はASEAN研究や地域統合論、(2) は中国外交研究、(3) は国際関係論、(4) は華人研究といった具合に、それぞれ社会科学の中で別個の領域として研究されていたのですが、これがアジア横断的な社会調査のデータを獲得することで、深みのある議論ができるようになったといって過言ではありません。
図表が多く、これを眺めるだけでも多くの示唆が得られるよう工夫をしています。ですます体の文章で読みやすくなっていますので、多くの方にお読みいただければと思っています。
(紹介文執筆者: 东洋文化研究所 教授 園田 茂人 / 2021)
本の目次
第1章 台头する中国への错综する视线―何が评価を変えるのか
第2章 础厂贰础狈の理想と现実―域内诸国への冷めた目
第3章 东アジア间の心理的距离―厄介な近隣関係
第4章 アジア各国?地域の特徴とは
第5章 影の主人公アメリカ―米中摩擦とアジアの反応
第6章 日本への视线―アジアからの评価、アジアへの目
终章 国民感情のゆくえ
関连情报
著者に聞く:『アジアの国民感情』/園田茂人インタビュー (web中公新书 2021年1月27日)
関连记事:
園田茂人「アジア諸国は反日? 親日? データが暴く日本の国際評価「ホントのところ」」 (文春オンライン 2020年10月26日)
自着解説:
著者からの紹介 (东洋文化研究所ホームページ)
书评:
鈴木早苗 評 (『外交』2021年第65巻p.140-143 2021年2月)
宮坂幸伸 評 (『改革者』2021年1月号p.65 2021年1月)
短评 (『日本経済新闻』 2020年10月24日)