コンパクトシティを考える
コンパクトシティとは、都市の郊外开発を抑制し、市街地の広がりを狭くすることで、公共サービスの効率化、公共交通の利用を促进する都市构造である。日本の公共政策においても、コンパクト+ネットワークを都市政策の考え方を根干にすえ、その普及を図っている。日本では、人口减少ひいては都市缩退の时代を迎えており、都市サービス水準を维持していくには、都市のコンパクト化の进展が不可避であるという认识になっているのである。ただ、その実现は简単ではなく、コンパクトシティ化を进めるために法制化された都市再生特别措置法に基づく立地适正化计画を策定しただけで容易に进むものではない。このような背景のもと、本书では、12名のコンパクトシティ関连の研究者により、コンパクトシティ问题について、様々な视点から论じている。
本书の総论ではコンパクトシティ化の问题を概観している。コンパクトシティとは何か、その効果として何が期待できるのか、学术研究ではそれがどのように分析されているのか、コンパクトシティ问题に内在する课题は何なのか、解决には何が必要なのかを述べている。
第1部ではなぜコンパクトシティ化が必要なのかという问题について论じられている。ここでは、コンパクトシティがどのようにして政策课题になったのか、コンパクトシティ政策が実现できるものは何か、コンパクトシティ政策を进める上での利点とされる集积の経済、コンパクト化の难しさ、コンパクトシティ政策の进め方、コンパクト化を测る指标とその定量的な効果などについて论じている。
第2部ではコンパクトシティ実現に関して重要な観点である交通の問題を深堀りしている。不動産ビジネスと交通との関係、コンパクト化を図る上での都市政策のあり方、次世代交通のはたす役割、自動運転技术の影響、コンパクトシティ政策で有名な富山市における経済効果などについて論じている。
第3部ではもう一つの重要な観点である环境の问题を深堀りしている。オープンスペースから発想する都市计画のあり方、日本型田园都市の提唱、都市化の环境効果、コンパクトシティと低炭素化の関係などについて论じている。
第4部ではコンパクトシティ化の実現に向けた公共政策のあり方について論じている。スポンジ化 (空き地や空き家が多く発生した地域の増加現象) への対処、コンパクトシティ化を進める上での時間概念、そして公共施設配置のあり方について論じている。
コンパクトシティについて、多角的な観点があることを十分に理解した上で、今后の有効な都市政策研究や施策立案に资することを愿っている。
(紹介文執筆者: 工学系研究科 教授 浅見 泰司 / 2020)
本の目次
人口縮小時代の都市政策―コンパクトシティ化― …………………[浅見 泰司]
1.コンパクトシティとは
2.コンパクトシティ化の効果
3.コンパクトシティ化の问题
4.コンパクトシティ化の効果分析
5.コンパクトシティ制度の流れ
6.コンパクトシティ问题の根本的な解决:负担问题
7.コンパクトシティ问题の根本的な解决:不动产権利问题
I なぜコンパクトシティ化が必要か
コンパクトシティ政策がめざす都市や地域とは …………………[海道 清信]
1.コンパクトシティはいかにして政府の推进する目标となったか
2.集中と分散のトレンド
3.画一化と地域性および人口と世帯
4.コンパクトシティ政策は住みたくなる都市や地域を実现できるか
コンパクトシティと集積の経済 …………………[中川 雅之]
1.なぜコンパクト化が必要なのか
(1) 理論的な整理
(2) 実態上の意味
2.なぜ都市のコンパクトシティ化が困难なのか
3.行动経済学の视点
4.どのようにして渐新的なコンパクト化を进めるか
(1) なぜ公共施設の削減が難しいのか
(2) いかにして公共施設廃止?居住地集約の利害調整を行うか
コンパクトシティ化と都市財政?都市政策 …………………[沓澤 隆司]
1.コンパクトシティ化の都市财政?都市政策上の意义
2.コンパクトシティ化の内容と指标―标準距离の设定―
3.标準距离の大きさが都市财政に与える影响
(1) モデル
(2) データの推移
(3) 推計結果
4.标準距离に影响を与える都市政策
5.终わりに―コンパクトシティ化の课题―
II 交通とコンパクトシティ
コンパクトシティ政策の動向と不動産ビジネスの転換 …………………[谷口 守]
1.はじめに
2.その动向
3.多様な目的とクロスセクター?ベネフィット
(1) 生活利便性
(2) 健康?福祉
(3) 安全?安心
(4) 地域経済
(5) 行政運営
(6) エネルギー?低炭素化
(7) 視線環境保全
4.コンパクトシティ政策の现実
5.不動产业界にとってのコンパクトシティ政策
6.公共事业としての减筑
7.コンパクト化を目指す上での留意事项
(1) 公共交通を圧倒的に便利にする
(2) 広い空間範囲で考える
(3) 形だけで考えない
(4) 関係ない市町村は存在しない
(5) コンパクト化という名の分散化を行わない
(6) 大切な首長のリーダーシップ
交通からコンパクトシティを考える …………………[森本 章倫]
1.コンパクトシティをどうやってつくるか
2.街の形成过程と交通の役割
3.次世代交通が果たすべき役割
4.自動運転技术が都市に及ぼす影響
5.交通からみたコンパクトシティ形成
コンパクトシティ化の経済効果―富山市を例に― …………………[唐渡 広志]
1.はじめに
2.人口
3.公共交通
4.住宅
5.商业机能
6.おわりに
III 环境とコンパクトシティ
日本の風土に根ざした新たな田園都市 …………………[横張 真]
1.都市计画の守备范囲
2.オープンスペースからの発想
3.オーバーレイにもとづく都市农村计画
4.风土に根ざした计画体系
5.変わる空间、変わらない仕组み
6.日本型の田园都市
コンパクトシティと環境 …………………[松橋 啓介]
1.都市と环境
(1) 都市と公害
(2) 都市部における交通公害
(3) 都市に残された環境問題
2.地球环境対策とまちづくり
(1) 環境的に持続可能な交通
(2) 低炭素社会2050
(3) 地球温暖化対策地方公共団体実行計画
(4) 低炭素まちづくり
(5) パリ協定
3.コンパクトシティと乗用车颁辞2排出量
(1) 市町村別の乗用車CO2排出量
(2) メッシュ規模別の乗用車Co2排出量
4.コンパクトシティと家庭部门颁翱2排出量
5.环境からみたコンパクトシティの展望
IV コンパクトシティの実现に向けて
都市のスポンジ化とコンパクトシティ …………………[饗庭 伸]
1.都市の空间はスポンジ化していく
2.都市の拡大期に都市はどのような问题が発生するか
3.都市の拡大期の都市计画
4.都市の缩小期の都市计画
5.立地适正化计画
6.民间の动き
7.过疎が顕在化しない都市をつくる
8.残された课题
コンパクトシティと「時間」…………………[玉川 英則]
1.はじめに
2.ある「时间」の情景
3.计画论における「时间」とコンパクトシティ
4.テクノロジーの変化という「时间」
5.政策が机能していく「时间」
(1) 集約化と緑地転換による影響
(2) 集約化と人口による影響
(3) 集約化、人口減少と緑地転換による影響
6.结语
施設再配置の必要性―人口分布と病院立地の関係― …………………[豊田 奈穂]
1.はじめに
2.二次医疗圏の持続可能性
3.人口分布と医疗资源の関係
4.立地の调整と既存制度
5.おわりに
関连情报
2019年度都市住宅学会着作赏「コンパクトシティを考える」 (公益社団法人都市住宅学会学会赏委员会 2019年11月30日)
イベント:
CCIFJイベント: 共催セミナー、皆のためのコンパクトシティとは (在日フランス商工会議所 2017年11月29日)
第 43 回『都市問題』公開講座 誰がためのコンパクトシティ (後藤?安田記念東京都市研究所 2016年7月21日)