世界のコンパクトシティ 都市を贤く缩退するしくみと効果
国内外を见渡すと、现代の都市の空间构造は、一极集中型、多极分散型、あるいは拡散型をはじめとして非常に多様である。それらが形成された経纬を振り返ってみれば、都市が有する歴史的文脉やその他様々な条件に依る部分も大きいが、人口増加とモータリゼーションにどう直面し、どう対処してきたかの影响は大きいと思われる。自家用车の本格的普及以前に高度経済成长による大量の人口流入を経験した东京圏は、市街地は郊外に拡大しつつも、东京都心という强い「拠点」へつながる鉄道を轴とする都市构造を指向し、形づくってきた。そのような强い拠点と利便性の高い公共交通机関を持たない都市では、自由な移动が可能な自家用车の普及につれて公共交通は弱体化し、市街地は低密化?郊外化し、结果として自动车利用を前提にした都市构造を形成させてきたところが少なくない。
翻って今日、超少子高齢?人口減少社会を迎え、またしばしば「車離れ」も指摘されるわが国において、広がりすぎた市街地をどうやってコンパクトな形態へ縮退させるかが重要な課題となっている。もっとも、日本でコンパクトな都市=コンパクトシティを目指す政策が取られるようになったのはさほど昔の出来事ではない。そうした政策方針を国が明確に打ち出したのは2007年の社会資本整備審議会第二次答申であり、実現のための計画制度 (立地適正化計画、地域公共交通網形成計画) が曲がりなりにも整ったとされるのは2014年のことである。本書の編著者?谷口守氏 (筑波大学教授) は、コンパクトシティ政策の必要性を早くから訴え、その有効性や実現方策など広範な研究を重ね、上述の制度づくりにも大きく貢献してきた研究者の一人である。
本書では欧米豪の7つの都市や地域を取り上げ、各都市?地域でコンパクトシティが指向された背景や、その実現がどのように図られてきているかを紹介している。例えば、筆者が執筆したドイツのベルリン=ブランデンブルク首都圏 (4章) では遠郊外部の人口減少が顕著で、行政、保健、教育、商業など、人が生活していく上で必要な機能やサービスの維持が困難になっている。人口減少下での財政的制約と基礎的な機能?サービスへのアクセスを守る必要性との狭間で行政が講じるべき策とは、非常な難題であることは理解できると思う。4章では、この地域が多様な機能の集積する「拠点」を空間計画にどう位置づけて実現を目指しているか、縮退への言わば過渡期における取り組みを概説している。
各章は、通り一遍の事例绍介にはとどまらない。それぞれの国や都市でコンパクトシティ政策を可能たらしめている计画制度について简明に説明するとともに、事例から得られる日本への示唆も述べている。过去から年月をかけて形成されてきた都市构造をコンパクト化する道のりは决して一筋縄ではいかない。目标となる空间像はもとより、その実现过程のキーポイントを解説している本书は、実务的にも学术的にも多くのヒントを与えてくれるに违いない。
(紹介文執筆者: 工学系研究科 准教授 髙見 淳史 / 2020)
本の目次
2章 オランダ?アムステルダム ― 持続可能な経済成長を支える都市政策 (片山健介)
3章 デンマーク?コペンハーゲン ― 駅周辺に都市機能を集約する住宅?交通政策 (斉田英子)
4章 ドイツ?ベルリン ― サービスやインフラへのアクセスを確保する拠点づくり (髙見淳史)
5章 フランス?ストラスブール ― 都市交通政策を軸とした住みやすいまちづくり (松中亮治)
6章 アメリカ?ポートランド ― 住民参加によるメリハリある土地利用と交通政策 (氏原岳人)
7章 カナダ?トロント ― 多様性とイノベーションを生むスマートシティ開発 (藤井さやか)
8章 オーストラリア?メルボルン ― 急激な人口増加に対応する都市機能の集約 (堤 純)
関连情报
(『日事連』vol.59 No. 692 2021年6月)
(『地域開発』vol.635 2020年秋号 2020年12月)
藻谷浩介 (日本総合研究所主席研究員)「コロナ後のまちづくり 「自分が変わる」を出発点に」 (日本経済新聞 2020年7月11日)
(『月刊建築技术』 2020年6月号)
(『新都市』 2020年4月号)
住みやすい都市づくり『世界のコンパクトシティ』ほか注目の新刊 (事業構想 PROJECT DESIGN ONLINE 2020年4月号)
(『月刊 ガバナンス』 2020年3月号)
(『新都市』 2020年2月号)
関连记事:
谷口守 (筑波大学教授)「コンパクトシティー実現の条件(上) 「協調して減らす」最優先に」 (日本経済新聞 2020年3月2日)
関连イベント:
『世界のコンパクトシティ』刊行记念谷口守&迟颈尘别蝉;斉田英子&迟颈尘别蝉;藤井さやかトークイベント (二子玉川蔦屋家电叠翱翱碍 2019年12月16日)