コレクションとアーカイヴ 东アジア美术研究の可能性
では、半世紀以上に亘って世界中の中国絵画を調査撮影、アーカイヴ化して斯学のプラットホームを築いてきた。人文系の学問では珍しく、鈴木敬 (1920~2007) 名誉教授に始まり、戸田禎佑 (1934~)?小川裕充 (1948~2019)、さらに現役スタッフ (板倉?塚本) と継続しているプロジェクトであり、現在では20万点以上の画像が保管整理されている。各世代ごとに『中国絵画総合図録』を出版しており、コロナ禍中、2020年3月にが完结した。それを记念して翌年3月に国际シンポジウム「」が開催された。コロナ禍であったため、対面はかなわず、リモートでの開催となった。発表者は井手誠之輔 (九州大学教授)?ユキオ?リピット (ハーヴァード大学教授)?石守謙 (台湾?中央研究院院士) 各氏と板倉で、中国絵画のアーカイヴやそれに基づく研究の回顧と展望が論じられ、海外からの参加者も多く、議論も活発に行われた。本書の前半はこのシンポジウムが基となっている (「東アジア美術研究?過去から未来へ―コレクションとアーカイヴ」)。
本书の后半部分(「东アジア美术研究の现在」)は、そうしたアーカイヴを用いた研究の実践である。このアーカイヴは中国絵画史研究のプラットホームとなっているが、中国絵画のみならず日本?韩国絵画研究にも有用であることは言うまでもないことで、东アジア美术史研究の再构筑を进めていくための重要なツールになり得るのである。先代の小川裕充名誉教授は『初编』?『続编』?『叁编』すべての世界规模の悉皆调査に参加された唯一の研究者で、このプロジェクトに尽力し、小川先生なくして継続しなかったといっても过言ではない。そのスケールの大きな研究は、中国絵画の普遍性を追求し、东アジア絵画史の再构筑を目指したものであり、まさに再构筑の推进者であった。残念ながら『叁编』の完成直前に亡くなられ、シンポジウムでも弔意を示した。后半部分は、若手を中心に、小川先生の学恩を受けた研究者たちによって着されており、东アジア美术史の再构筑を目指した小川先生の意思が次世代へと継承されていくことの証でもある。
ぜひ本书と共に『中国絵画総合図録 初编?続编?叁编』全15巻も手に取って见ていただきたい。
(紹介文執筆者: 东洋文化研究所 教授 板倉 聖哲 / 2024)
本の目次
I 东アジア美术研究?过去から未来へ―コレクションとアーカイヴ
东洋文化研究所東アジア美術研究室 半世紀の歩み―『中国絵画総合図録』三編完結まで 板倉聖哲
附 参考资料 歴代教授履歴业绩
正倉院宝物と中国の死後世界 ユキオ?リピット/呂 晨晨
唐絵研究の可能性―半岛由来絵画を中心に 井手诚之辅
二十世紀前期の文物調査と中国美術史の発展 石守 謙 (飛田優樹 訳)
II 东アジア美术研究の现在
受戒と仏像 长冈龙作
唐宋画牛考 竹浪 遠
宋帝后画像について―東アジア中世の帝王画像における宗教性と世俗性 陳 韻如 (前田佳那 訳)
后堀河院の絵巻制作と莲华王院宝蔵 増记隆介
浄土五祖像の成立をめぐって 朝賀 浩
惟肖得巌賛李白観瀑図试论―马远派観瀑図の受容 救仁郷秀明
洞天福地への旅―明代苏州における旅行絵画の一侧面 植松瑞希
東アジア絵画史の視点から考える花鳥画研究―呂紀と沈銓?南蘋派を例に 黄 立芸
アーカイヴとしての狩野派模本 田沢裕贺
中国近代と仏教絵画―金石から人物表现、アジア认识へ 塚本麿充
「旧王孫」が紡いだ詩画の縁―溥儒と須磨弥吉郎、そして伊藤紫虹の「合作」について 呉 孟晋
おわりに 塚本麿充
関连情报
中国絵画総合図録 三編【全六巻】 (東京大学出版会)
シリーズ著者:小川裕充 編 板倉聖哲 編
関连インタビュー:
インタビュー14: 小川裕充 (OGAWA Hiromitsu/東文研?東アジア研究部門教授) (东洋文化研究所ホームページ)
一枚の絵画から、人と人の結びつきや文化の多様性が見えてくる。| UTOKYO VOICES 091
东洋文化研究所 東アジア第二部門 准教授 塚本麿充 (東京大学ホームページ 2020年7月2日)
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书籍绍介:
(『週刊仏教タイムス』2022年4月7日号4面 2022年4月7日)
国际シンポジウム:
『中国絵画総合図録 三編』完結記念 国際シンポジウム(東文研シンポジウム) 「东アジア美术研究の回顾と実践-コレクションとアーカイヴ―」開催のお知らせ (東京大学东洋文化研究所東洋学研究情報センター?東アジア美術研究室 2021年3月20日)