アジア仏教美术论集 东アジア滨痴 南宋?大理?金
中国では、中国美術史において北宋?南宋を分けることなく一括して宋時代で扱うことが多い。しかし、日本では、中世以来、憧憬の対象として南宋の文物を珍重しており、北宋と南宋の間にはイメージに大きな差があると言ってよい。日本は禅宗など本土には伝わらなかった貴重な仏教美術の宝庫であり、日本における美術史研究では、南宋時代を非常に重視していると言ってよいだろう。そうした研究の蓄積を踏まえて、日本で出版する仏教美術の論集であればこそ、という思いで、この『アジア仏教美术论集』では、あえて「北宋巻」と「南宋巻」を分けることとした。
近年の歴史研究では、北宋と南宋の間に見られる変化が注目され、南宋時代には北宋時代の中央指向から在地主義へと士大夫たちの方向が転換したため、地方の様々な都市において文化的な営為が展開した、とされる。仏教美術も、都の臨安 (杭州) の他、貿易港の明州 (寧波)?泉州 (福建)、内地の軍事拠点であった蜀 (四川) などの地で生み出されたものが確認され、本巻の南宋の部分では、地域ごとに作品を見ていく形になっている。作品についても日本に伝来した仏教絵画や仏像が中心であったが、近年、大きく変化している。例えば、石窟の研究ではこれまで唐以前が中心であったが、宋時代のものも多く紹介されるようになった。そのため、日本の伝世品をこれら出土品と合わせ、新たな座標軸が必要となっており、ここではそれを提示しようと試みている。
又、この时期に中国北半を支配した女真族の金朝、唐时代から元时代まで300年以上に亘って云南などを中心に支配した大理国は共に仏教信仰が盛んで、12世纪の注目すべき仏教美术も遗存している。本巻では、金朝と大理国における仏教信仰、各々で生み出された仏教美术の在り方を俯瞰し、同时代における比较を可能にしている。
仏教美术の研究としては、日本の伝来品以外、必ずしも盛んでなかった南宋时代だが、それを取り巻く金朝や大理国と合わせて相対的に议论される机会はさらに少なかった。本巻は最新の研究状况を踏まえながら、この时代の仏教美术を総体的に议论しており、これまでに见えなかった全体像が垣间见られたように思う。ここで提示された视点はさらに中世日本の仏教美术を考える上でも极めて重要なものであり、日本仏教美术史研究にも大きく寄与することであろう。
(紹介文執筆者: 东洋文化研究所 教授 板倉 聖哲 / 2022)
本の目次
南宋仏画の视界 井手诚之辅
范畴としての「院体」道釈画 板仓圣哲
西湖周辺における呉越−南宋の仏教石刻 藤岡 穣
宋画の表現 泉 武夫
大徳寺伝来五百罗汉図に认められる説话的主题について 北泽菜月
日本に伝来した陸信忠画 梅沢 恵
南宋時代の千手千眼観世音菩薩像について 羅 翠恂
大足石刻における仪礼の时空 フィリップ?ブルーム
エビは柄杓から飞び出せない ステファン? アリー
牧谿笔《観音猿鹤図》论 ユキオ?リピット
祖師像と宋代仏教儀礼 西谷 功
南宋時代における袈裟へのまなざし 山川 曉
无準师范と弟子たちの文物ネットワーク 塚本麿充
釈迦生身を奉ぜる女真の王朝 藤原崇人
辽塔?金塔における第一层塔身の浮彫荘厳について 水野さや
繁峙巌山寺の壁画について 金 靖之
雲南省?大理の密教美術 森 雅秀
雲南?大理の梵語『仏頂尊勝陀羅尼』碑文 麥文 彪
「画梵像」における釈迦仏会、羅漢および祖師像の研究 李 玉珉
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