人生の歩みを追跡する 东大社研パネル调査でみる现代日本社会
『人生の歩みを追跡する』は、进学、就职、交际、结婚、子育てなどひとびとが経験する様々なイベントの蓄积を个人のライフコースの轨跡として捉え、多くのひとびとが辿る轨跡とともにどのように异なる轨跡があるのかを明らかにし、ライフコースの多様性を记述する。个人のライフコースを束ねることは、同时に私たちの社会の姿を描くことにも通じる。例えば日本社会にみられる少子化の进展は、个人の出产をめぐるライフコースの帰结として社会全体の动きとして现れたものである。他方で社会の制度は、个人のライフコース上の选択を制约し条件づける。就业と子育ての両立を支援する仕组みは、个人の出产と就业継続の选択と不可分の関係にある。このように个人と社会は互いに影响しあっており、个人のライフコースを分析することで社会のもつ特徴を浮かび上がらせることができる。
この研究は、10年以上にわたって个人を追跡している东大社研パネル调査を用いている。一时点の调査と异なり、同一个人を追っていくことで、个人のライフコースとその変化を跡付けることが可能となる。第1部「就业?キャリア?贫困」では、就业と経済的帰结に焦点を当てた3つの章で构成される。キャリアを积むことで所得が年齢と共に上昇していく「右肩上がりの人生」は本当なのか、ライフコースの过程でどのようにしてひとびとは贫困に陥ったり贫困から抜け出したりできるのか、キャリアの进展に従って男女间の収入格差がどのように拡大していくのか、を分析している。第2部「生活?健康」では、健康、住まい、社会的孤立に関する轨跡を取り上げる。ひとびとの健康状态が、职场环境や仕事の仕方、运动?食事などの健康行动によりどのように変化するのか、谁がどのような住宅の住んでおり、持ち家に移行するのは谁なのか、友人関係の获得と丧失の过程で谁が孤立しやすく孤立から抜け出すのか、について考察している。
第3部は「家族」に関连した结婚、ワーク?ライフ?バランス、教育意识を検讨する。どのような「婚活」が结婚あるいは破局に繋がりやすいのか、职场のワーク?ライフ?バランスに関する环境が结婚と仕事満足度に影响を及ぼすのか、自分の子どもにはできるだけ高い教育を受けさせたいという高学歴志向が高いのは谁なのか、について分析している。第4部「社会?政治に対する意识?态度」では、ひとびとの意识の変化に着目する。2000年代の政治や社会の状况の変化は、ひとびとの抱く希望と生活満足度を変化させたのか、雇用と家族に関するリスクの高まりは、福祉国家への支持を変化させたのか、について分析している。
(紹介文執筆者: 社会科学研究所 特別教授 石田 浩 / 2022)
本の目次
1.ひとびとの人生の歩みを追跡する意义と方法
2.「働き方とライフスタイルの変化に関する全国调査」(闯尝笔厂)
3.パネルデータを用いた社会学的研究
4.本书の构成
参考文献
第1部 就业?キャリア?贫困
第1章 谁が所得上昇を果たしているのか?─21世纪日本社会の「右肩上がりの人生」─[有田 伸]
1.年齢と所得の関係
2.个人所得の変化倾向
3.大きな所得上昇を果たしているのは谁か?
4.対象期间中のイベントが所得上昇にもたらす影响
5.「右肩上がりの人生」とその格差のゆくえ
参考文献
第2章 若年?壮年期の贫困─世帯形成と世帯の収入源からみた动态分析─[林 雄亮]
1.日本社会の贫困问题と本章の目的
2.贫困の定义と基础分析
3.贫困の动态分析
4.ライフコースのなかに潜む贫困とその课题
参考文献
第3章 ライフコースにおける男女间収入格差の生成─不平等と阶层に着目して─[大久保将贵闭
1.日本における男女间収入格差
2.格差指标としての不平等と阶层
3.方法とデータ
4.男女间収入格差の分析结果
5.男女间収入格差の「见える化」に向けて
补遗
参考文献
第2部 生活?健康
第4章 健康格差はいかに生成されるのか?─ライフコースの流れに着目して─[石田 浩]
1.健康の格差を考える
2.健康の格差に関する研究
3.健康格差をパネル调査から考える
4.主観的健康感の推移
5.健康格差が生じる要因
6.健康格差のゆくえ
参考文献
第5章 谁が持家に移行するのか─阶层と家族に注目して─[村上あかね闭
1.「持家社会」日本の成立と変容
2.日本型住宅システムの特徴と歴史
3.住宅所有の実态
4.ライフコースと住宅所有
5.ポスト「住宅すごろく」时代のライフスタイルと住宅
参考文献
第6章 社会的孤立を生み出す2段阶の格差─友人関係の获得と丧失の过程に着目して─[石田贤示闭
1.社会的孤立と友人関係
2.社会的孤立状态の格差の背景と孤立リスクの动态への着目
3.分析に用いるデータ?変数
4.友人不在の状态と动态
5.社会的孤立を生み出す2段阶の格差
参考文献
第3部 家族
第7章 どのような「婚活」が結婚へと導くのか[三輪 哲?田中 茜]
1.「婚活」の时代
2.「婚活」への计量的アプローチ
3.「婚活」の実相
4.「婚活」により生まれたカップルのその后
5.「婚活」の现在とその后
参考文献
第8章 职场のワーク?ライフ?バランス环境とパートナー関係摆不破麻纪子闭
1.职场のワーク?ライフ?バランス环境とパートナー関係
2.奥尝叠环境の変动
3.配偶者间のコミュニケーション
4.パートナー関係の概念
5.データと分析方法
6.奥尝叠环境の効果の分析
7.奥尝叠环境の効果は限定的?
参考文献
第9章 高学歴志向の差异と変化─ライフイベントに注目して─[藤原 翔]
1.教育意识から社会を読み解く
2.高学歴志向の差异
3.结婚による高学歴志向の変化
4.子どもによる高学歴志向の変化
5.高学歴志向のゆくえ
参考文献
第4部 社会?政治に対する意识?态度
第10章 希望と満足は政治を动かしたか?─社会?政治意识と政治状况の相互作用の解明─[田辺俊介闭
1.日本社会における希望と満足
2.希望と満足の语られ方
3.2000年代日本における希望と満足の実态:社会?政治意识との関连
4.社会?政治的环境とひとびとの意识の相互作用
参考文献
第11章 福祉国家に対する支持の変容─雇用?家族リスクの拡大は何をもたらすか─[永吉希久子闭
1.新たなリスクと福祉国家
2.日本型福祉国家への支持はどのように変化したか
3.福祉国家支持を変えるもの
4.福祉国家のゆくえ
参考文献
終章 人生の歩みの追跡からみる現代日本社会[有田 伸?藤原 翔?石田 浩]
人は変わっていく
パネル调査データが明らかにしてくれるもの
リスクの経験比率は案外高い
格差の生成メカニズムを特定する
根本のフレームは変わりづらい
现代日本社会へのインプリケーション
参考文献
あとがき
索引
関连情报
あとがきたちよみ:
けいそうビブリオフィル: あとがきたちよみ『人生の歩みを追跡する』 (劲草书房編集部ウェブサイト 2020年1月31日)
书评:
福田節也 評 (『人口学研究』57巻p.60-63 2021年11月)
筒井淳也氏の『人生の歩みを追跡する:东大社研パネル调査でみる现代日本社会』の書評に応えて (『教育社会学研究』第107集 (2020年11月30日)
本田由紀 評 (『社会学評論』71巻2号p.343-344 2020年9月)
仲野徹 評「大規模調査が明かした人生の真実 THIS WEEK'S THEME 格差が生まれる背景』」 (『日経ビジネス』 4月10日号)