シリーズ 少子高齢社会の階層構造 全3巻 1冲人生初期の阶层构造 / 2冲人生中期の阶层构造 / 3冲人生后期の阶层构造
『シリーズ1~3 少子高齢社会の阶层构造』は、『人生初期の阶层构造』『人生中期の阶层构造』『人生后期の阶层构造』と、人生を3つの时期に分けて日本の阶层构造に関する実証研究の成果を取りまとめたものである。社会阶层论は不平等を生む阶层のメカニズムに関して実証研究を蓄积してきた分野であり、同分野を支えてきたのが1955年以来10年ごとに実施されてきた である。本シリーズの特徴は、日本が世界で最も高齢化した国であることに着目して、少子高齢化で代表される人口変動を階層研究の観点から分析?検討した点にある。最終学歴を終えてから間もない時期 (人生初期)、労働人口層の中心となる時期 (人生中期)、そして現役を退いていく時期 (人生後期) に分けて、それぞれの時期に特徴的な階層構造について議論した。第1巻の「人生初期の階層構造」では、教育達成の程度と初期キャリアの軌跡、親元からの離家の時期や、結婚、出産で代表される家族形成、等について検討した。少子化にあって、若年層の非婚化?未婚化が促されたと同時に、結婚した者の間での学歴や職業の結びつきは多様になっていた。それでも、学歴や職業経歴、そして家族関係という一連のライフコースにあっては、強固なジェンダー格差が温存されていた。
「人生中期」では、従来の主な研究対象であった现役期が分析の中心となり、职业とキャリアという构造的侧面と社会意识の二つの柱から构成される。人生の初期から中期への経歴にあって、その过程に格差の程度やパターンに特异な侧面が确认されるのだろうか。そこで主な知见をまとめると、正规と非正规间の移动障壁はかえって高くなり、女性のキャリアの多様さは男女间のキャリア格差へとつながっていた。社会意识に関して社会の分断が示唆されたと同时に、明确な変化としては见えにくい复雑な意识构造の中身も见えてきた。
「人生后期」は、従来の阶层研究において十分に分析が蓄积されてこなかった高齢対象者の分析、议论を主に展开する。そこでの问いは、高齢层独自の阶层构造の是非である。本书でのテーマとして、高齢层の长い职业経歴を最大限に活用して试算した稼得歴からみる不平等、高齢期の就労への出身阶层の影响や正规?非正规间格差、あるいは地域の効果、等がある。兴味深い知见として、调査対象者が15歳时の父亲の职业によって代表される出身阶层の影响は直接的な部分も残っており、高齢期の経済的地位を规定する上に、50歳时の就労状态の影响がゼロではなかった。労働市场との関係が希薄化、あるいは消灭した者が増えても、现役时代の就労や出身阶层の効果がなくなるわけではない。人口が高齢化することで、これまでとは异なる阶层构造が出现していたわけでない。今の阶层构造がどういう过程を経て生成されてきたのか。个々人にとっての现役时代の就労状况や结婚歴といった経歴に教育?就労?结婚といった机会や选択の结果が积み重なって、社会を构成する人々が年を重ねていく。そこで本研究成果の先に见えてきた课题に一つに、过去からのみならず、将来に向けた长期にわたる时间轴を想定した阶层研究の动学的新展开であった。
以上、社会学において、少子高齢化を考虑した阶层研究の今を、本シリーズから読み取っていただけると幸いである。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 白波瀬 佐和子 / 2022)
本の目次
序 人生初期の階層構造 (中村高康?三輪 哲?石田 浩)
滨 社会移动と教育の趋势
1 世代間階層移動と教育の趨勢 (石田 浩)
2 教育機会格差の趨勢――長期的トレンドと若年層の動向 (中村高康)
II 教育达成の构造
3 戦后日本の教育拡大と阶层?ジェンダー
――大学進学に向けて男女は競合するようになったか (中澤 渉)
4 子どもの教育达成ときょうだい构成(苫米地なつ帆)
5 教育达成格差构造のなかの中学校
――国私立中学校進学とその地域差に着目して (濱本真一)
6 教育機会の地域間格差と地域移動 (上山浩次郎)
III 教育から仕事への移行
7 学校経由の就職の規模と効果の趨勢 (小川和孝)
8 大学进学が初职に及ぼす効果
――専門職へのルートとしての大卒の意味 (森いづみ)
9 大学中退から職業への移行 (菅澤貴之)
10 専門学校から職業への移行 (多喜弘文)
11 なぜ高卒女性で初職非正規雇用リスクは高まったのか (阪口祐介)
IV 家族形成の変容
12 離家の変化と出身背景による格差 (林 雄亮)
13 出生力と学歴再生産 (余田翔平)
14 変わりゆく結婚市場と階層同類婚 (三輪 哲)
15 若年期のライフコースの多様化はどう生じたか
――男女差からみえる変化と不変 (香川めい)
[第2巻] 人生中期の階層構造
序 人生中期の階層構造 (渡邊 勉?吉川 徹?佐藤嘉倫)
I 职业、キャリアからみる阶层构造
1 職業経歴の歴史:長期雇用からみる日本の職業経歴の特徴 (渡邊 勉)
2 非正規雇用から正規雇用への移動障壁の時代的変遷:縮小する中核と拡大する周辺 (佐藤嘉倫)
3 対人サービス労働者の「仕事の質」 (長松奈美江)
4 職場権限へのアクセスから見る女性労働市場のこれまで (山本耕平)
5 女性のライフコースとキャリア形成格差 (吉田 崇)
6 教育拡大と大学卒業者の職業達成 (古田和久)
7 初職の产业は転職にどう影響するか:サービス产业化時代における产业間移動研究 (森山智彦)
8 初期キャリアの格差は縮小してゆくのか:「間断のある移行」の影響に着目して (石田賢示)
II 社会意识の现代的特徴
9 格差覚醒時代の階層帰属意識 (金澤悠介)
10 高学歴志向の学歴分断 (吉川 徹)
11 社会階層は政党支持といかに関わっているのか?:価値意識を含めた構造分析 (田辺俊介)
12 不公平感の効果:格差是正意識に着目して (大槻茂実)
13 「就職氷河期世代」の格差意識 (小林大祐)
14 社会のどこが脆弱か:失業のヴァルネラビリティ?スコア分析 (石田 淳)
[第3巻] 人生後期の階層構造
序 人生後期の階層構造 (有田 伸?数土直紀?白波瀬佐和子)
滨 ライフコースと高齢者の地位?生活
1 稼得歴の推定を通じた男性高齢者の社会経済的格差分析 (有田 伸)
2 高齢者の健康と社会階層 (神林博史)
3 高齢期における住宅のアクセスの不平等 (竹ノ下弘久)
4 職歴の記述方法としてのRPD指標の提唱 (保田時男)
II 老年期の就业?职业キャリア
5 高齢期の社会階層と非正規雇用 (太郎丸 博)
6 定年退職期の職業移動 (吉岡洋介)
III 出身阶层と达成
7 高齢者の出身階層と到達階層 (藤原 翔)
8 少子化社会における教育機会格差のゆくえ (濱中義隆)
9 地方国立大学卒業生の出身と到達 (平沢和司)
IV 高齢化社会の意识
10 地域の高齢化と格差意識 (数土直紀)
11 所属集団が規定する女性の階層帰属意識 (荒牧草平)
12 高齢期の経済的脆弱性と雇用?家族の履歴 (永吉希久子)
V 少子高齢化と社会阶层论
13 超高齢社会の不平等 (白波瀬佐和子)
補論 2015年「社会階層と社会移動に関する全国調査 (SSM調査)」実施概要と回収状況 (白波瀬佐和子?三輪 哲)
関连情报
関连サイト
2015年 社会階層と社会移動 (SSM) 調査研究会
関连动画:
白波瀬佐和子「超高齢社会?日本の未来:若者に着目して」― 高校生のための東京大学オープンキャンパス2016 模擬講義 (東大TV 2016年8月4日)
书评:
稲葉昭英 (慶應義塾大学文学部教授) 評「書評」 (『社会と調査』第30号 2023年3月)
今井順 (上智大学総合人間科学部教授) 評「書評論文」 (『社会学評論』第73巻第4号292号 2023年3月)
池田岳大 (立教大学社会情報教育研究センター助教) 評 (『家族社会学研究』34巻1号p.80 2022年4月30日)
书籍绍介:
斉藤知洋「文献绍介」 (『家族社会学研究』34巻2号 2022年10月31日)