読解讲义 日本文学の表现机构
本书は日本文学の表现自体のおもしろさ、あるいはこれを読み解いていく上でヒントになる视点や発想を、高校生、あるいは大学の前期课程の学生を主な対象に伝えていくことをめざしている。その意味では作品の表现技法を明らかにすると同时に表现を読み解くよろこびをより深く味わうための「技法」でもある。
時代を問わず、すぐれた文学テクストは容易に一つの解釈を受け付けない、魅惑的な多義性に満ちている。日本语の表現が時代を超えてつちかってきたこうした表現を言葉の仕組み -- 表現機構 -- という観点から捉え、個々の作品を読み解くための実践的なヒントを提供することがめざされている。
本書は三名が数年にわたる討議を行い、綿密な打ち合わせのもとにその執筆がすすめられた。構成は三部からなり、「ふるまい」「ゆらぎ」「よそおい」というユニークな和語の部立てから成っている。文学テクストは日常のコミュニケーションの手立てとしての言説とは異なる独自の多元的な仕組み (ゆらぎ) を持ち、自律的な動態 (ふるまい) となり、あるいはそのようになろうとつとめること (よそおい) によって、既成の世界観にくさびを打ち込んでいく仕掛けでもある。「多義性」「引用」「語りの自在性」「規範」「縁語的思考」「因果の転倒」「人称」「共同性」「小説家」という九つの章題は、いずれもその様相を具体的に明らかにしていくための切り口にほかならない。
主に扱われているのは「伊勢物語」「源氏物語」「新古今集」「徒然草」、田山花袋「蒲団」、泉鏡花「高野聖」、志賀直哉「和解」などで、初学者や留学生にも親しみやすいよう、あえてよく知られる著名な対象を選択し、そこから日本语表現の豊かな奥行きを発見していけるよう、編集に工夫が施されている。自国の文学の研究はともすれば細分化しがちであり、特定の時代やジャンルに片寄ることなく、なおかつ啓蒙的な「名作ガイド」とは一線を画す形で表現の魅力が説かれている、という点において、類書はないものと確信している。
文学研究の原点は、ある时代の言説の中から特に唤起力の豊かな言叶の仕组みを探り当て、そのゆえんを具体的な解釈を通して解き明かしていくことにあるのだろう。文学テクストはわれわれの先入観や常识を翻していくパラドクシカルな多义性に満ちている。これらを読み解いていくにあたって、本书ではある理论的な枠组みによって対象を裁いていく、という态度をつとめて避けた。求められるべきは、表现のおりなすグラデーションを「あや」として読み取っていく、柔软でしなやかな「技法」への问いなのである。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 安藤 宏 / 2016)
本の目次
滨 ゆらぎ 高田祐彦
第一章 多义性
第二章 引用
第叁章 语りの自在性
滨滨 ふるまい 渡部泰明
第四章 规范
第五章 縁语的思考
第六章 因果の転倒
第七章 人称
第八章 共同性
第九章 小説家
参考文献一覧
あとがき