坂口安吾大事典
本書は日本の近代を代表する小説家の一人である坂口安吾 (1906~55) に関する総合的な事典である。編集代表は安藤宏、大原祐治、十重田裕一の3名。全787ページ、項目数は830以上、執筆者は374名に及び、構想から10年の歳月をかけて完成された、単独の作家に関する事典としては最大規模のものである。特に執筆者に関しては近代文学研究に携わる専門の研究者が厳選されており、記述は信頼できる、質の高い内容になっている。
构成は全叁部からなる。第一部はキーワード编で、映画、検閲、信仰、戦争、天皇制など、大きなテーマにそってその文学活动の特色が记述されている。个别の読み物としても兴味深く、坂口安吾の文学を、広く近代の歴史、思想史、文化状况の中で捉え直していく际に、さまざまなヒントを与えてくれる。たとえば検閲に関して、第2次大戦后の坂口安吾の作品に、骋贬蚕の検閲によって大幅な手入れの行われている事実が明らかにされているが、その详细な情报を得ることができる。
第二部は作品编で、小さなエッセイにいたるまで、坂口安吾のほとんど総ての作品が网罗されている。项目は书誌データ、梗概、同时代の评価、研究史、などの项目からなる。研究史に関しては重要な论文等のデータが记载され、また、项目の记述にあたっての参考文献も末尾に掲げられている。代表作に関しては问题点ごとに小项目が设定されているのも便利で、现时点における、学界の最新の研究状况が反映されていると考えてよいだろう。
第叁部は事项编、坂口安吾と直接交流のあった文学者、外国文学も含め、影响の深い文学者、関係の深い雑誌などが立项されている。第一部も含め、メディアとの関わりが重视されているのもこの事典の特色である。
记述の中で本书の他の项目に登场する固有名词にはすべてアステリスクが付されており、また末尾に参照すべき项目が挙げられているなど、ネットで検索する感覚で页を括ることができる。今后、纸媒体の大部な事典は数を减らしていくことが予想されるが、本事典は纸媒体とネットとの双方の利点を兼ね备えていると言ってよいだろう。
なお、口絵には贵重な原稿などの写真が掲出され、また、巻末には坂口安吾の年谱と索引が付されている。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 安藤 宏 / 2023)
本の目次
序
凡例
执笔者一覧
第一部 キーワード编
第二部 作品编
第叁部 事项编
坂口安吾年谱
索引
関连情报
【特集】鼎谈=安藤宏&迟颈尘别蝉;大原祐治&迟颈尘别蝉;十重田裕一<〈伟大なる落伍者〉安吾に迫る网罗的大事典> (『週刊読书人』 2022年7月1日)
书评:
永田幸男 (安吾の会会員) 評「にいがたの一冊」 (2022年9月4日 新潟日報)
书籍绍介:
還暦記者の新潟ほろ酔いコラム: [新潟かんほろ]無頼派?坂口安吾が愛した故郷の優しい味 鮭の焼き漬けサンド ~酒と安吾と鮭とパン~ (第4夜) (2022年10月14日 新潟日報)
【著書紹介】日本语日本文学科|長原しのぶ教授『坂口安吾大事典』(共著) (ノートルダム清心女子大学ホームページ 2022年7月2日)