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令和6年度东京大学学部入学式 総长式辞

令和6年度东京大学学部入学式 総长式辞

新入生のみなさん。ご入学おめでとうございます。みなさんの新たなスタートを、ここで共に祝えることをたいへん嬉しく思います。

これから始まる大学生活でみなさんが获得するものは、これまでの学校での学习とは性质の异なるものになるでしょう。大学は、确立した知识をただ学ぶところではありません。なぜなら学问は、未知なるものに挑む试みだからです。过去に遡って世界と人类の歴史を明らかにする、现在の社会?文化を分析する、过去から未来にもつながっていく生命の仕组み、宇宙や物质の真理を探究するなど、东京大学はさまざまな未知に取り组んでいます。

人类はその长い歴史の中で、ものごとの観察を通して、知见を蓄积し共有する、学问の手法を进歩させてきました。たとえば、ニュートリノの存在は、1930年にはじめて理论として提唱され、1956年に原子炉から、1970年には太阳からのニュートリノが観测されます。1987年に、东京大学が中心となったカミオカンデグループが、16万光年先の超新星爆発によるニュートリノの観测に成功し、1998年には、それが质量を持つことを示す「ニュートリノ振动」が発见されました。そしていま、高感度化したスーパーカミオカンデのもとで、「ニュートリノ天文学」、さらには重力波や他の観测ともあわせて探求を进める「マルチメッセンジャー天文学」という学问分野が発展しています。极小の素粒子ニュートリノにより、无限大の宇宙の谜を解き明かすというアプローチは、スケールの大小の差异をこえて物理の世界がつながっていることを感じさせます。

ノーベル物理学赏で広く知られるようになったアト秒は、100京分の1秒の単位ですが、アト秒パルスを用いると、物质の中の电子の瞬间的な移动をとらえることができます。化学反応への理解が深まり、「アト秒科学」という新たな分野の开拓が期待されています。このように、コンピュータの计算速度、测定の时间解像度、人工知能による技术革新などさまざまな次元で、より细かく、より速く、より精緻な测定を実现し、解像度を上げていくことは、学问の重要な试みのひとつです。

しかしながら学问に必要な解像度は、时间?空间の物理的な尺度や次元にとどまるものではありません。

社会や文化の测り方も大切です。ある地域を、たとえばエスニシティの観点から分析すると、さまざまな差异や构造が见えてきます。ただ、その结果だけで、そこで暮らす人びとを理解できるでしょうか。「セクシュアリティ」「世代」「教育」「ジェンダー」「社会経済状况」など、他の要素で分析すれば、また别な差异が浮かびあがるでしょう。ひとは复数のアイデンティティを持っていて、社会は多种多様な人びとから构成されていますので、ひとつの侧面から见ることで、别の侧面が见えにくくなってしまうことがありえます。あるマイノリティ性における差别をそこだけ切り取っても、それを充分に理解したとはいえません。なぜなら、そのひとが持つ他の属性によって、受ける差别の深刻さが変わるからです。差别されるという経験が、复数の属性のあいだで交错するため、そのリアリティをそれぞれの次元の足し算だけでとらえることはできません。

このように、人间の多次元性とそれらの関係性に着目して、その力の社会的な作用を分析する枠组みを、インターセクショナリティ(交差性)といいます。インターセクショナリティは、いくつもの要因が多次元でからみあう复雑な関係性をとらえる、重要な概念のひとつです。そして、解像度が问われる次元そのものが社会によって构筑され、また自覚しにくいものであることにも注意が必要です。

医学や神経科学の分野では、人びとの脳の机能や行动の差异を一义的にではなく、多様性の形として尊重することも重要だとされています。ニューロダイバーシティとよばれるこの考え方に基づくと、発达や学习において、疾患や障害とされているような脳の机能も、ひとが持つ多次元の特性のひとつとしてとらえなおすことができます。また同じ疾患でも、困难を感じる机能とその程度が、个人ごとに异なることを前提にしてはじめて、个々のニーズと状况に応じた対策が可能になります。

物事を多次元的にとらえる姿势は、学问分野をこえて他の分野とコラボレーションする场合にも重要です。

たとえば、工学分野である半导体の微细加工技术を用いたマイクロ流体デバイスの开発と、医学の分野における、さまざまな臓器由来の细胞培养の研究は、一般には异なる学问分野と考えられています。しかしながら、私自身の研究では、これらの分野の境界をこえ、マイクロ流体デバイス上で臓器由来の细胞を培养し、薬の効果をテストすることが可能となりました。坛上に座っておられる南学正臣医学部长と共同研究をしたこともあります。この分野は翱谤驳补苍-辞苍-补-颁丑颈辫とよばれますが、一见异なる学问分野の知が交差する场所で、これまでにない発见やブレイクスルーが起こることを示しています。

世界が多次元であることの重视は、ある课题に対する答えが必ずしもひとつでない、ということを広く理解することにもつながります。パンデミックへの対策、社会问题、国家间の関係、気候変动への対応など地球规模の课题解决において、正解はひとつであるという考え方の强制が分断を招いてしまうことがあります。自分が强い意见を持っている场合でも、そうでない视点もふくめて考えてみることが大切です。解决すべき问题自体も多次元であることを认识しつつ、さまざまな属性を持つ人びとの存在に思いをはせ、対话を通して合意形成を目指す态度が必要です。

自分がこれまで信じ、いまも正しく感じていることを、客観的に评価しなおすことは简単ではありません。

ひとには、これまでの経験や固定観念に影响され、合理的でない情报の処理や判断をおこなう性质、いわゆる「认知バイアス」があるからです。情报过多の现代社会では、认知バイアスがフェイクニュースの拡散やマスメディア情报の解釈などに大きく作用します。ある社会问题について特定の意见を持つひとは、その意见を支持する情报を探しあつめ、それに反する情报を无视する倾向があることが指摘されています。またひとは记忆に新しく、印象に残った情报に基づいて判断を下す倾向があるため、ニュースや厂狈厂での拡散に大きな影响を受けます。自分自身の知识や能力を过大评価するバイアスもあります。

认知バイアスの存在は、多次元性に目を向けることを难しくします。学问においても生活においても、私たち自らが持つ认知バイアスを可能なかぎり自覚し、调整する姿势が重要です。

ここで、みなさんを迎え入れる东京大学という「社会」に、目を向けてみましょう。

東京大学では、大学の進むべき方向を示した春雨直播app Compassのもと、世界の誰もが来たくなるキャンパスを創るという理念を掲げています。2022年6月には、「東京大学 ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を公表、また今年2月には「東京大学における性的指向と性自認の多様性に関する学生のための行動ガイドライン」を策定するなどして、すべての構成員が差別されることがない公正な環境を実現すべく動き出しています。この4月には多様性包摂共創センターを開設し、教育、研究そして実践を通して、そのための取り組みを具体的に推進する体制をととのえたところです。

その一方で、东京大学の入学者の性别には、大きな偏りがあります。そして、その偏りは文科よりも理科でさらに大きくなっています。その基础には、そもそも受験する女性が少ないという状况もあります。东京大学が、女性のみなさんをはじめ多様な学生が魅力を感じる大学であるか、多様な学生を迎え入れる环境となっているかについても、问わなければなりません。

昨年の内阁府男女共同参画局の発表によると、日本の女性国会议员の割合は16.0%で、世界139位です。上场公司の役员における女性比率は10.6%で、政治も経済も、いまだに意思决定にかかわる女性の数が圧倒的に不足しています。教育においても、女性の进学や理系受験をさまたげるような障壁の存在が指摘されています。

このように、特定の属性を持つひとが、等しい機会を得られずに排除され、あるいは人一倍の努力をせざるをえない状況を「構造的差別」といいます。この構造的差別から脱却すべく、経団連は、2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にする目標を掲げました。東京大学も、2020年に30% Club Japanのメンバーとなり、春雨直播app Compassにおいても、学生における女性比率を30%とすることや、新たに採用する研究者の女性の割合を30%以上とし、教員における女性比率を向上させるという目標を明記しています。

なぜ30%という数値目標なのかということですが、ハーバードビジネススクールのロザベス?モス?カンター教授は、ビジネスの場に関する研究において、女性が15%に満たない组织では、女性一人ひとりの能力や技能が、女性という集団的な属性に関係づけられる傾向があること、そして女性の比率が30%を超えるとそうした傾向が変わりうることを指摘しました。すなわち、女性個人としての能力や技能に応じた貢献が可能になり、意思決定プロセスに影響をあたえ、组织のさまざまな変革を推進できるようになるということです。

であればこそ、その状况ゆえに活跃できない少数派の女性の割合を30%にまで上げることが、公正な社会実现に向けた最初の目标となるでしょう。

社会的?文化的性别の次元ではマジョリティの集合に属しているひとも、障害の有无、贫しさ、エスニシティ、性的指向?性自认などの别な次元ではマイノリティであるかもしれません。しかし、复雑化した现代社会には、単一次元の指标では测定できない、复合的な构造的差别が存在しており、复数のマイノリティ性を持つひとが、交差する次元の中で、さらに弱い立场に追いやられてしまうような事态も见すごすことはできません。

私たちには、これまで触れてきたような构造的差别の再生产と拡大とを断ち切り、あらゆる构成员が等しく権利を持つ社会を実现する责任があります。多様な人びとが活跃することで、社会はより豊かなものになるからです。その社会に生きる者たち自身が、责任をもって构造的差别を解消していくという考え方はきわめて重要です。现実を観察する解像度を上げ、考え、行动していくことが强く求められます。

「障害の社会モデル」という言叶があります。障害は、身心の机能不全という个人的な特性に由来するものではなく、むしろ机能不全をうけいれようとしない社会によってつくられるものであり、社会にはその障壁をとりのぞく责务がある、という考え方です。そこでは、社会的排除が问われ、制度的な障壁の除去や、偏见の克服が试みられます。东京大学はこの考え方を重视し、合理的配虑のもとさまざまな构成员が活动できるよう环境を整备する方策を进めています。さまざまな构造的差别は自然には解消されないので、私たちがそれを认识し、自省し、アクションをとる必要があります。

最初に述べたように、学问は未知への挑戦から始まります。ここに集まった新入生のみなさんが、「构造的差别」のいまどこに位置しているのかを知ることは、それぞれにとって最初の宿题かもしれません。构造を知る者は、同时に、その构造を変える力を持ちます。ぜひ、现在の社会构造をみんなで望ましい方向に変えていくにあたって、自らが持ちうる力を探っていただきたいと思います。

みなさんが前期课程で通う驹场キャンパスでは、インターセクショナリティ、ジェンダー、法律、障害、政治などに関する、さまざまな科目を开讲しています。女性や性的マイノリティをふくむ多様な学生が、安心感と帰属感を持って学べる场である「驹场キャンパス厂补蹿别谤厂辫补肠别」というコミュニティもあります。基础科目や総合科目に加え、语学の授业などを通しても、异なるさまざまな文化に触れる机会が豊富にあるはずです。

一见、関连性が低いと思えた科目が、具体的な问题解决のなかでつながっていることに気づくことがあるかもしれません。答えがないかもしれないし、あったとしてもひとつではないかもしれません。点と点をつないでみることは、先に述べた翱谤驳补苍-辞苍-补-颁丑颈辫の例のように、新たなブレークスルーのきっかけにもなりえます。

多様な属性を持つ人びとが暮らすこの社会で、仲间の轮を広げていくことも大切です。大学生活で出会うさまざまなひとは、みなさんの未来を豊かにする财产でもあります。挑戦を恐れず、自らの力と可能性を信じて进んでください。

みなさんには、この东京大学において、多くのひとと出会い、多様な知に触れることで、解决すべき问题の多次元性に思いを驰せ、よりよい社会の実现に向け、それぞれの力を発挥していただきたいと思っています。のびのびと大学生活を楽しんでください。入学、おめでとうございます!

令和6年4月12日
东京大学総长
藤井 辉夫

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