春雨直播app

东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

白い表紙に森と人のイラスト

书籍名

DOJIN選書: 046 森の恵みは幻想か 科学者が考える森と人の関係

着者名

判型など

224ページ、叠6判

言语

日本语

発行年月日

2012年5月31日

ISBN コード

9784759813463

出版社

化学同人

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

英语版ページ指定

英语ページを见る

モリやハヤシ、森と闻いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。おそらく、心地よいもの、癒されるもの、人间に様々な恵みをもたらしてくれるもの、保护すべきもの、といった「いいイメージ」がほとんどでしょう。その証拠に、テレビコマーシャルには频繁に森が登场し、盛んに植林、植树を「环境にいいこと」とアピールしています。その一方で、森の木を切ることは、いけないことだと思われているようです。
 
森は心地よいものだと思っている人は多いと思います。多くの人が、癒しを求めて森に入ります。森は、扫除が行き届いていて、木漏れ日が差し込む、明るい、快适な场所だと思っている人が多いようです。団块ジュニア世代より上の世代の方にとっては、幼いころ游んだ近所の雑木林が、そういう明るい森だったので、原风景として记忆に残っており、なつかしさを感じられることもあるかもしれません。
 
しかし今、日本の森は、人间が意识的に手を入れて维持している森は例外として、まったく违った场所に変わりつつあります。森は人间の背丈よりも高いやぶに覆われていて、なかなか中に入ることができず、无理して入ろうとすると、とげのある植物に服をひっかかれます。森の中に入ると、そのようなやぶは姿を消しますが、木の枝や叶が太阳の光を遮っていてうす暗く、ハチ、ヤマビル、ダニなどが容赦なく袭ってきます。多くの人にとって、このような森は心地よい场所ではない。むしろ、不快な场所なのです。
 
なぜ、このような误解が生じているのか。それは、森を、人间中心主义でみるか、自然中心主义で见るかの违いです。自然は、决して人间にとって都合よくできているわけではありません。自然には自然の法则があり、法则にのっとって変化していきます。これが自然の「作用」です。これは有用物、これは无用物、これは益虫、これは害虫と分类するのは、自然に「机能」を求める人间の胜手な都合です。
 
では、なぜ、私たちは、自然がまるで人间にとって都合がよいものであるかのように认识してしまうのでしょうか。それはおそらく、人间の长い歴史の中で、自然を、人间にとって都合がよい形に作り変えてきたからではないかと思います。私たちは、人间に饲いならされた自然に惯れていて、まるで自然が人间に恵みだけをもたらしてくれるものだと误解してしまったのではないでしょうか。
 
それともうひとつ、大きな要因があります。高度経済成长期に自然を开発し、破壊した反动から、1980年代には自然保护运动が盛んになります。自然保护を诉える人たちは、自然とは人间に恵みをもたらしてくれるものだとアピールすることで共感を得ようとしました。本来、自然とは、このような単纯なものであるはずがないのですが、その主张がシンプルで分かりやすかったため、人々の心に浸透したのではないかと思われます。
 
これまで、私たちは、「作用」と「机能」という言叶を特に区别せずに使ってきたと思います。自然科学の研究者の中には、自分たちが研究しているものが、実は「作用」であるにもかかわらず、「机能」を研究していると勘违いし、论文や本を书き、讲演をされている人が少なからずいらっしゃるようです。
 
「作用」と「机能」の违いは、人间の都合という観点が入っているかどうか、という点にあります。例えば、薬には病気を治す「作用」がありますが、その一方で「副作用」もあります。副作用とは人间にとって都合が悪い薬の働きのことをいいます。作用とは、自然の创造物ないし人工物が、人间の都合に関係なく「反応する」ことを意味しているのです。それに対して机能とは、自然の创造物ないし人工物が、人间にとって都合がよく働くことをいいます。人间にとって都合がいい作用が「机能」なのです。「反机能」「副机能」といった言叶はありません。
 
私たちはこれまで、森の机能という言叶を使い続けてきました。森林?林业基本法にも森林の多面的机能と书いてあります。しかし、このような言叶の使い方は、森が人间にとって都合のいい作用しか持っていないという误解を招く一因になったのではないでしょうか。
 
実际には森にはさまざまな作用があり、その中には人间にとって都合がいい作用もあるでしょうが、同じくらい、人间にとって都合が悪い作用もあると考えるのが、自然科学者の取るべき立场です。森には、人间に不快な思いをさせる植物や动物も少なからず住んでいます。とげのある植物や、皮肤がかぶれる植物、毒针で刺す动物、血を吸う动物などもいるのです。そういう动植物がいない森というのは、むしろ、不自然な森であり、人间が人间の都合で除去した可能性があります。また森の作用の一つに、人间にとって都合がよい木材を生产する机能がありますが、森の中に生えているたくさんの种类の木の中には、人间にとって都合がよい木材を生产できる种类と、そうでない种类があります。また、人间にとって都合がよい木を食べてしまう虫、腐らせ、枯らしてしまう虫や病気も発生します。このように考えると、スギやヒノキを植林して作った人工林は、木材生产という人间の都合のために、都合の悪い木を排除し、人间にとって都合のよい木だけにしてしまった、极めて不自然な状态ということになります。
 
作用とは人间に関係なく、おのずからそこにあるもの、机能とは人间の都合、欲望の表现です。このことは本书の最初から最后まで一贯して述べていきたいと思います。
 
本书では、これまでの森の専门家が、作用がすべて机能であるかのような议论、森は人间にとって良いこと(便益)だけをもたらす存在であるかのような议论に终始していたことへの反省を踏まえ、人间にとって不都合な自然の一部としての森の作用まで含めて议论していきたいと思います。
 

(紹介文執筆者: 农学生命科学研究科?农学部 教授 蔵治 光一郎 / 2019)

本の目次

第1章  森と人の関係の変遷
第2章  森と水の科学
第3章  森と洪水、水害
第4章  森と渇水、水不足
第5章  森の環境サービス
第6章  森と木材生产业
第7章  森とエネルギー
第8章  森の管理
おわりに これからの森と人間の関係
参考文献
あとがき
 

関连情报

书籍绍介:
森の恵みは幻想か-科学者が考える森と人の関係 (バイオマス図书馆 2012年7月30日)

 

このページを読んだ人は、こんなページも见ています