中公新书 保守主义とは何か 反フランス革命から现代日本まで
昨今、ある意味で「保守」という言叶が滥用されています。时には、排外主义や反フェミニズムの姿势を指して、保守と呼ぶことすらあります。
政治势力としての保守主义の歴史を振り返ると、最初はフランス革命を批判する势力として生まれました。のちに社会主义、さらには大きな政府を支持するリベラリズムに対抗する立场が保守と呼ばれました。人権など抽象的な理念を掲げて急进的な改革を推进する势力に対して、ブレーキをかけるのが保守主义の役割だったのです。
しかし、现在、そのような急进的な改革主义は力を失いました。结果として、保守主义は敌を见失い、自分らの定义も分からなくなっているのかもしれません。そして、保守という言叶が无限にインフレを起こしてしまっています。これになんとかストップをかけたいというのが、本书の狙いでした。
守るべきものは守る。しかし、変えるべきものは変えていく。それが保守主义の真髄です。现実を无视して抽象的な理念を振りかざし、ゼロから社会を作り変えようとするのではなく、これまで歴史的に构筑されてきたものを活かしつつ、时代に合わせて改良していく。过去に対する深い洞察と现実主义という保守主义の知恵が、现在失われつつあるように思えてなりません。
保守主义というとエドマンド?バークの着作『フランス革命の省察』がしばしば取り上げられますが、彼はアイルランドの出身です。また、保守政治家というと、体制派というイメージがありますが、彼はほとんどの期间が野党、それものちに自由党になるホイッグ党に所属していました。バークは、アメリカの独立运动を支持しました。ときに国王と対立することも辞さなかったバークは、しかるべき役割を逸脱して、自由を尊重する良き伝统を崩そうものなら、たとえそれが国王であっても対抗したのです。
それにも関わらず、バークはフランス革命が起きたとき、これを批判して『フランス革命の省察』を书きます。彼は改革を否定したわけではありませんが、既存の社会仕组みを全て白纸にして、抽象的なモデルに基づいた新しい国家を一から作り直すことには批判的でした。さらにバークは、一见、不合理に见えるような伝统や惯习でも、过去から続いているものにはそれなりに理由があることを重视しました。それが理解できないからといって、直ちに破壊するべきではない。その前提には、人间が不完全だという认识がありました。人间の理性や知性ですべてを把握することはできないのです。
现代において、保守主义の意味がどんどん拡散していく中で、それぞれが自分なりに大切にしたいものを守る、それが保守主义だということも、悪くないのかもしれません。ただし、その际には必ず、お互いに何を大切にしたいのか、それを尊重した上で议论をすることが不可欠です。
(紹介文執筆者: 社会科学研究所 教授 宇野 重規 / 2019)
本の目次
第1章 フランス革命と闘う
第2章 社会主義と闘う
第3章 「大きな政府」と闘う
第4章 日本の保守主義
終 章 二一世紀の保守主義
関连情报
水岛治郎虫宇野重规「民主主义の曲がり角で、いま」 (週刊読书人3176号 2017年2月10日号)
宇野重规虫荻上チキ「保守主义を再定义する――起源から辿る「保守」の真髄」 (厂驰狈翱顿翱厂 2016年11月4日)
书评:
鷲田清一 折々のことば (朝日新闻朝刊 2017年1月30日)
(『週刊东洋経済』 2016年12月24日号)
片岡大右 (東京大学研究員) 評 バーク的保守主義の歴史的性格 その原理を概観し、現代的意義を説く (週刊読書人ウェブ 2016年10月28日)
(『週刊エコノミスト』 2016年10月18日号)
中野剛志 (評論家) 評 (『公明新聞』 2016年8月15日)
河野龍太郎 (BNPパリバ証券経済調査本部長) 評 (『週刊東洋経済』 2016年8月13?20日号)
(『週刊新潮』 2016年8月11?18日号)
中島岳志 (東京工業大学教授) 評 ライバル弱体化で衰えていく「大人の思想」はどう再生すべきなのか (産経新聞 2016年8月7日)
(日本経済新闻朝刊 2016年8月7日)
林操 (コラムニスト) 評 はがれる“自称”保守の化けの皮 保守理解のためのテキスト (週刊新潮 2016年7月21日号)
(『週刊文春』 2016年7月14日号)