讲谈社现代新书 民主主义とは何か
本書は2500年にわたる民主主義の思想について振り返る。「デモクラティア」という言葉が生まれた古代ギリシアから議論を始め、権威主義の台頭などの現代的危機までを論じる。もちろん、民主主義の起源を古代ギリシアに見出すことには問題がある。人々が集会を開いて集合的な意思決定を行ったのは、何も古代ギリシアが初めてではない。また平等な政治参加といっても、女性や奴隷、外国出身者が排除されていた。このような留保をつけ、それでもなお、ある意味でクラシックな議論のスタイルを取ったのは、「参加と責任のシステム」(橋場 弦) としての民主主義の本質を確認するためであった。
本书のねらいの第一はこのことに関わる。古代ギリシアにおいて市民は民会のみならず、民众裁判に参加し、抽选で公职についた。文字通り、自ら参加したからこそ、决定に自発的に従い、さらに公职者の责任を追及した。参加と责任はセットであった。これに対し、私たちは今日、选挙を通じて代表者を选び、代表者の决定をもって国民の意思とみなす代议制を採用している。しばしば、両者は直接民主主义と间接民主主义と呼ばれるが、はたして両者は同じく「民主主义」なのだろうか。例えばアリストテレスは民主主义にふさわしいのは抽选であり、选挙はむしろ贵族政に适しているという。それを考えれば、あらためて両者の违いと意味を确认し、民主主义の定义を再考することの意味は大きいだろう。
第二のねらいは、現在私たちが考えている民主主義の諸制度の歴史はそれほど古くないことを示すことにある。例えばアメリカは「民主主義の国」と呼ばれるが、建国の父たちが書いた『ザ?フェデラリスト』を読めば、彼らが決して民主主義、すなわち人々の直接的な政治参加を高く評価していなかったことがわかる。彼らが支持したのはむしろ、公共の利益を知る「優れた人々」による共和政であった。その意味で言えば、現在の代議制民主主義の本格的な制度構想という意味では、ジョン=スチュアート?ミルの『代議制統治論』(1861年) やウォルター?バジョットの『英国憲政論』(1867年) を待つ必要があった。言い換えれば、具体的な代議制民主主義の制度構想の歴史はわずかに150年余りしかないのである。当然のことながら、それは未完成であり、さらに改良していく余地が大きい。
第叁のねらいは、执行権の民主的统制の必要を説くことにある。本书では、19世纪以降の民主主义论が立法権中心であったことを确认した上で、民主主义の大统领制化が进む今日、选挙や议会を通じたチェックだけでは不十分で、执行権をより直接的に民主的に统制する必要性を説いている。官邸主导が言われる日本においても当てはまる话だ。
本书は民主主义の意义を公开による透明性、参加を通じての当事者意识、判断に伴う责任をあげている。本书を通じて民主主义の意味をもう一度考えていただければ幸いである。
(紹介文執筆者: 社会科学研究所 教授 宇野 重規 / 2022)
本の目次
第1章 民主主义の「诞生」
第2章 ヨーロッパへの「継承」
第3章 自由主义との「结合」
第4章 民主主义の「実现」
第5章 日本の民主主义
结び 民主主义の未来 あとがき
関连情报
第42回石桥湛山赏 (一般财団法人石桥湛山记念财団 2021年10月)
新書大賞2021 第2位 (中央公論新社 2021年)
今こそ読むべき民主主義の教科書 <新書大賞2021>2位『民主主义とは何か』レビュー
特集记事:
民主主义とは何か~2022年の視点 宇野重規東大教授の講演全文 (東京新聞 2022年6月23日)
六本木アートカレッジ スペシャル1Day 2021 セミナーレポート
民主主义とは何か?を考える 危機においてこそ民主主義の強化を (六本木アートカレッジ 2021年4月)
オンライン讲座:
民主主義入門 第1章 民主主义とは何か~4つの危機~ (講師:宇野重規) (COURRiER Japon 2021年7月2日)
民主主義入門 第2章 民主主義のはじまり (講師:宇野重規) (COURRiER Japon 2021年7月2日)
民主主義入門 第3章 西欧の議会制 (講師:宇野重規) (COURRiER Japon 2021年7月2日)
民主主義入門 第4章 アメリカ独立と民主主義 (講師:宇野重規) (COURRiER Japon 2021年7月2日)
民主主義入門 第5章 ルソーとフランス革命 (講師:宇野重規) (COURRiER Japon 2021年7月2日)
民主主義入門 第6章 「個人の自由」と民主主義 (講師:宇野重規) (COURRiER Japon 2021年7月2日)
民主主義入門 第7章 20世紀の民主主義 (講師:宇野重規) (COURRiER Japon 2021年7月2日)
民主主義入門 第8章 日本の民主主義 (講師:宇野重規) (COURRiER Japon 2021年7月2日)
民主主義入門 最終章 民主主義の未来(講師:宇野重規) (COURRiER Japon 2021年7月2日)
2021年度「高校生と大学生のための金曜特别讲座」
民主主义とは何か: 歴史から考える (東大TV 2021年5月7日)
着者インタビュー:
世界も日本も民主主义の危机 独裁者に抗う政治とは 东大?宇野重规教授に闻く (东京新闻 2022年6月15日)
民主主义って何だろう? 大胆にも、宇野先生に闻いてみた。摆前编闭 (颈尘颈诲补蝉 2022年6月13日)
民主主义って何だろう? 大胆にも、宇野先生に闻いてみた。摆后编闭 (颈尘颈诲补蝉 2022年6月13日)
Interview#026 宇野 重規 民主主義は生き残れるか [前編] (toibitoトイ人 2022年5月)
Interview#026 宇野 重規 民主主義は生き残れるか [後編] (toibitoトイ人 2022年5月)
民主主義はもうオワコン? 政治学者の宇野重規さんに聞いてみた みんなが参加している「感」が出せない危機と、民主主義を知るためにお薦めの3冊 (withnews 2021年7月16日)
存在が揺らぐ今こそ学びたい!政治学者?宇野重規さんが解説する「民主主義」とはなにか? (@Living アットリビング | CULTURE 2021年5月26日)
宇野重规?民主主义にはそもそも论が必要だ?
?デモクラシー?はいつから肯定的になったのか (东洋経済翱狈尝滨狈贰 2021年2月17日)
賢人論: 第129回 [前編] 新型コロナとの長期戦では「政治家の言葉」こそが重要 (みんなの介護 2021年1月4日)
賢人論: 第129回 [中編] 健全な民主主義を取り戻すために、国民はもっと声を上げるべき (みんなの介護 2021年1月7日)
賢人論: 第129回 [後編] ときに家族が重荷になる社会はどこかおかしい (みんなの介護 2021年1月7日)
着者コラム:
宇野重规が読み解く、世界と日本の「民主主义本ブーム」 (奥贰叠アステイオン 2022年3月4日)
関连记事:
「若者、民主主义に不信感」东京大学の宇野重规教授、佐贺市で讲演 (佐贺新闻 2022年7月29日)
书评:
民主主义とは何か (SOMPO Park 2021年4月5日)
憲法関连书籍?文献紹介 (JICL法学館 憲法研究所 2021年3月15日)
岩瀬達哉 (ノンフィクション作家) 評「肥大化した官僚機構による統治が導いた「民主的専制」」 (『週刊ポスト』 2020年12月18日号)
苅部直 (政治学者、東京大教授) 評「傷らだけの民主主義と」 (読売新聞オンライン 2020年12月6日)
東浩紀 評 巻頭エッセイコーナー「eyes」 (『AERA』 2020年11月30日号)
河野龍太郎 (BNPパリバ証券経済調査本部長) 評「自由な市民の参加が不可欠 執政権への統制に課題」 (『週刊東洋経済』 2020年11月21日号)
出口治明 評 (HONZ 2020年10月21日)
书籍情报:
週刊オススメ本ミシュラン (日刊ゲンダイ顿滨骋滨罢础尝 2020年11月22日)
東大教授?宇野重規が警鐘を鳴らす!独裁的指導者が望まれる危うさ - 「民主主義の危機」が来た (讲谈社 | 現代新書 2020年10月7日)
刊行書籍情報 (讲谈社 | 現代新書)