惯习と规范の経済学 ゲーム理论からのメッセージ
人はひとりでは生きられない。同僚、恋人、取引相手など、多くの人间関係の中で人は生きている。人が集まるところではさまざまなきまりができていく。このなかには、惯习とか规范とか呼ばれているものがある。惯习や规范のなかには、経済问题と切っても切れない関係にあるものもある。年功序列制は一种の日本型惯行であるが、このしくみによって中高年の転职市场が活性化せず、若年层の头も押さえつけられてしまっている。経済学がその分析の中心的な対象と见なす市场――この场合は労働市场――でも惯习や规范の影响力は大きいのである。
理想的な市场では、人々はコストなしに市场にアクセスし、市场価格で売ったり买ったりすることができる。市场理论が想定する市场では、「市场」は需要と供给を一致させるように価格を决めてくれるブラックボックスで、その中身は问わない。各人は市场とのみ直接つながっており、他の人とは市场を介して间接的につながっている。
一方、ゲーム理论が想定する市场は少し异なる。ゲーム理论の分析単位は个人と个人の交流というゲームである。この一対一のゲームをベースとして大人数からなる市场社会を考える。市场理论は「市场対个人」がベースであったのに対し、ゲーム理论は「个人対个人」がベースになるというわけである。
「个人対个人」を分析のベースとするゲーム理论は、その性质上、人々の选択の结果としての惯习の分析に优れている。あいさつでも、みんながおじぎをすれば自分もおじぎをしたほうがいいし、みんなが握手をするなら自分も手を差し出したほうがよい。
このような人间関係の性质に着目し、ゲーム理论の観点から経済惯行や経済规范を捉える理论的枠组を提示したのが本书である。
本书は大きく、3部から成る。第滨部は均衡理论に则る形で、惯习の分析を行う。そして、市场のいくつかの前提、とくに利润最大化原理を検証していく。
第滨滨部は惯性と自然淘汰や合理性とのせめぎ合いによって生じる惯习の変化を进化ゲーム?社会ゲームの理论で捉える。ここでは限定合理的な人间が経験を通じて、その行动をよりよい方向に调整していくような状况を分析する。
第滨滨滨部は笔者が中心に据えている新しい分野である帰纳论的ゲーム理论を扱う。ここでは、客観的な世界のあり方をはじめから知っている人间ではなく、経験をもとに自分の社会像を作りあげていくような人间を想定する。差别や偏见といった问题もここで取り扱う。
(紹介文執筆者: 経済学研究科?経済学部 教授 松井 彰彦 / 2018)
本の目次
第滨部 合理性と惯习
第2章 くり返しゲームとフォーク定理
第3章 結託の経済効果 (1) 自由参入と結託
第4章 結託の経済効果 (2) 大規模装置产业と競争促進的カルテル
第5章 価格竞争と惯习
第6章 公司の目的
第滨滨部 进化?社会ゲームの理论
第7章 ナッシュ均衡の解釈
第8章 进化论的安定戦略と动学
第9章 社会とコミュニケーション
第10章 异文化との接触
第11章 グローバリゼーションと均衡选択
第12章 通货危机と合理的パニック
第13章 合理化可能予见动学
第滨滨滨部 演绎から帰纳へ
第14章 意思决定理论
第15章 くり返しゲームと満足化理论
第16章 合理的差别
第17章 帰纳论的ゲーム理论--差别と偏见
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