私法の现代化
20世纪末から民事基本法の大きな改正が続いた。学界でも、それに先立つ、あるいは、対応する、さらには、批判もする研究が进められた。本书は、このような改正の流れのなかで、民法研究者である着者が公表してきた论稿を编集したものである。
中心となるのは、民法 (債権法) 改正である。2017年に改正法が成立し、2020年に施行された。この改正の前史として、1991年に始まる民法 (前三編) の現代語化作業がある。その後、債権法の実質的改正に向けての動きが学界であり、それを受けて、法制審議会の部会での5年余の調査審議を経て、上記改正にいたった。本書第1編第1部は、この30年間にわたる改正作業に参加しつつ、折々に考察した記録である。あわせて、同時期に改正作業がされ、2016年に改正されたフランス民法 (債権法) も参照し、そこから日本民法改正の特徴を考察する。同第2部は、改正法のもとでの、いくつかの問題についての解釈論で構成される。
第2编は倒产法、第3编は非営利法人法と信託法の各改正に関する论稿を収録する。それぞれについても、改正作业に参加しつつ、民法の観点からの考察を试みた。
本书の特色は、第1に、民事基本法の改正に参加することにより体験した、二项対立的思考を脱却しようとする议论を伝えることにある。すなわち、伝统と改革、理论と実务、学界と行政庁?裁判所、解釈论と立法论、日本法の尊重と国际化の重视などの対立があるなかで、改正作业では、どちらか一方に固执するのではなく、双方の视点からの検讨が重ねられ、新たな法规范を探求する创造的作业が続けられた。本书は、この过程を描くことにより、法形成の実态を示そうとする。第2に、そのうえで、このような作业において、民法学の果たしうる固有の役割は何なのかを考察するものでもある。
本書は、これらのことを十分に成し遂げたものとはいえないが、その試みの記録ではある。それが将来の解釈論及び立法論のそれぞれにとって参考になりうることを期待している。また、民法学を学び始めた方々に対して、それは暗記の対象にすぎない固定的?形式的な規則群ではなく、といって、万古不易の神託でもなく、さまざまな角度からの実質的価値の検討とその結果の技术的表現である立法、それを出発点として展開される判例、そしてそれらの基礎や背景にあるものを考察しつつ批判的に検討する学説によって織りなされる、豊かな世界であることを、提示することも意図している。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 名誉教授 中田 裕康 / 2023)
本の目次
第1部 债権法の现代化
第1章 民法の現代語化
第2章 民法の体系
第3章 債権法における合意の意義
第4章 民法(債権法)改正の経緯
第5章 民法(債権法)改正の対立軸
第6章 民法の概念の名づけ方
第7章 2016 年フランス民法(債権法)改正
第2部 改正民法のもとの债権法
第8章 損害賠償における「債務者の責めに帰することができない事由」
第9章 侵害された利益の正当性 ― フランス民事責任論からの示唆
第10章 債務引受の明文化の意義と課題
第11章 当事者が3名いる相殺
第12章 当事者の共通の意思
第2编 倒产法改正
第13章 契約当事者の倒産
第14章 契約等に対する倒産手続開始の効力 ― 法改正の経緯と課題
第15章 契約法からみた双方未履行双務契約 ― 損害賠償を伴う解除権
第16章 詐害行為取消権と否認権の関係
第3编 非営利法人法?信託法の改正
第17章 公益的団体の財産 ― 残余財産の帰属という視点から
第18章 公益法人?中間法人?NPO
第19章 中間法人法の展望
第20章 一般社団?財団法人法の概要
第21章 取引法における一般財団法人と目的信託
第22章 新信託法の特質 ― 新旧法比較
第23章 非営利法人制度と信託法の改正