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令和5年度东京大学学部入学式 教养学部长式辞

令和5年度东京大学学部入学式 教养学部长式辞

东京大学に入学された皆さん、ご入学おめでとうございます。これまで皆さんを支えてこられたご家族、ご関係の皆様にも、教养学部の教职员を代表し心よりお祝いを申し上げます。

まず、大学における新型コロナウィルス感染症対策について触れておきましょう。皆さんは、パンデミックのために、自由な活动が制限された中で3年间を过ごしてきたことと思います。教养学部の授业は2020年の夏学期、私たちはこれを厂セメスターと言いますが、全面的にオンラインに変更になり、定期试験もオンラインで行われました。2年生になると进学选択をすることになりますが、教养学部の履修科目の点数が、その主たる判断基準となりますので、前期课程教育に携わる教职员は常にその公平公正さを保たなければなりません。そのため、オンラインでの试験は、実施侧と受験侧の双方にとって、大きな出来事でした。当时の1年生は、せっかく入学したのに、キャンパスに来ることができない、授业に出席していてもクラスメートに会えないという现実に、大きな不満を抱いていたことは容易に想像できます。

翌年の2021年度には、新型コロナウィルス感染症に関する医学的な研究とともにワクチン开発が急速に进んだことを受けて、キャンパスライフを少しでも改善するべく、教养学部では、感染症の感染に対して十分な注意を払いつつ、语学や実験、身体运动の授业は対面とし、残りの授业は基本的にオンラインで行うという形态に変更しました。その结果、学生は週に2回程度大学に登校するようになりました。さらに昨年度は、全学の方针に基づき、原则として対面で授业を実施しました。

今年の3月13日からは、マスク着用に関し个人の主体的な选択を尊重することになりました。ゴールデンウィーク明けの5月8日には、新型コロナウィルス感染症は、现在の2类相当から、季节性インフルエンザなどと同じ5类に移行することが予定されています。本学では、文部科学省からの事务连络などを踏まえ、引き続き基本的な感染対策を彻底した上で、4月1日以降、「マスクの着用は个人の判断を基本とする」ことになりました。ただし、「授业担当の教员が授业の形态、方法等によりマスクを着用する必要があるものと判断する场合や授业の运営に支障があると判断した场合は适切に対応する」ことになりますので、この点には留意してください。このように、この叁年间の変化をみると、全面的なオンライン授业から次第に制限が缓和され、パンデミック前の状态に戻りつつある中で、皆さんは今日の入学式を迎えたということになります。

教职员は、本来対面で授业や试験を行いたいところ、それが叶わないため、代替措置としてやむを得ずオンラインを导入したという背景がありましたが、学生に対するアンケートの结果によれば、学年が上がるにつれ、対面よりもオンライン授业を好む倾向も见られます。とりわけ数100人が出席するような大规模讲义については、コミュニケ―ションツールを活用した议论の展开により、高い教育効果を得られるという声もあり、今后もオンラインを积极的に活用する场面もあろうかと思います。また社会においても、オンラインを活用したリモートワークを取り入れる公司も多くあり、确実に私たちのライフスタイルが変わろうとしています。ただ、オンライン授业を强いられてきた皆さんが、制限のない日常生活を取り戻そうとしている今だからこそ、考えていただきたいことを2点お伝えします。

1つ目は、対面でのコミュニケーションを大事にしてほしいということです。コロナ祸で、叁密を避けた结果として、必要なコミュニケーションも疎になってしまったのではないかと悬念しています。オンラインによる打ち合わせでは、情报の発信者には「伝えたいこと」と「伝えたいという动机」があって、打ち合わせを调整することが多いでしょう。従って、オンラインで伝えられる情报量は确かに多いですし、情报伝达型の授业であれば、十分に成立すると思います。一方で、わざわざ打ち合わせを调整するほどでもないような些细なことは、伝えられずに放っておかれることになります。皆さんのようなデジタルネイティブの世代は、厂狈厂などをうまく活用して频繁に情报交换をしているかもしれませんが、厂狈厂以上ミーティング以下の事柄は确実に存在します。このように决して大きくないけれども、挨拶だけでは済ませることのできないことこそがコミュニケーションの重要な部分を占めていると私は思っていますし、対面という状况は、确実にコミュニケーションのハードルを下げてくれるはずです。

2つ目ですが、コロナ禍では、「不要不急の外出を避ける」という制約がありました。それが緩和された今、意識して、自らの行動範囲を広げてほしいと思います。これは、私自身が教養学部に入学した当時を振り返り、過去への反省をもとに述べるものです。当時理科1類の学生だった私にとって、学びの場は、キャンパスのごく一部の場所でした。正門正面の時計台のある1号館で語学の授業を、5号館、7号館で数学や理科を、900番講堂で人文社会系の授業を受け、授業が終わったらすぐ家に帰るという具合です。おそらく、これはキャンパス全体の20%程度の面積にすぎません。その当時の建物はかなり老朽化していましたが、30数年の間にキャンパスは見違えるほど整備されました。キャンパスの東側には舞台芸術や音楽実習のための演習室、课外活动のための施設を備えたコミュニケーションプラザや駒場図書館が建築されました。その駒場図書館は、2022年10月に20周年を迎え、さらにその東側に図書館を増築する計画が現在進行中です。また、旧生協の跡地には、21KOMCEEという教室棟が建築されました。これは、従来の情報伝達型の授業からアクティブラーニング型の授業への転換を目指し、その当時の小宮山総長の「理想の教育棟」を建てるという方針に沿ったもので、Komaba center for educational excellence からKOMCEEと名づけられたものです。皆さんの中には、1年のSセメスターの初年次ゼミナールをこの教室で受講する人もいるでしょう。KOMCEEのコンセプトは、「滞在型の空間」です。つまり、授業が終わった後に、すぐに帰宅するのではなく、授業の内容を振り返るなり、友人と議論するなりができる空間を目指したものです。まずはキャンパス全体を見て回り、教養学部のもつリソースを十分に活用してほしいと思います。

教养学部のあるキャンパスを驹场滨キャンパスと言います。ここには、教养学部?総合文化研究科と数理科学研究科があります。さらに西侧に歩いて5分ほどのところに驹场滨滨キャンパスがあり、ここには生产技术研究所と先端科学技术研究センターがあります。これらの研究科?研究所?センターでは世界トップレベルの研究が行われており、1年生でも受讲できるゼミ形式などの授业も开讲されています。さらにこの驹场地区は渋谷駅からもすぐの场所にあり、渋谷駅のそばにあるスクランブルスクエアの15阶の渋谷蚕奥厂では、东京大学を含む6つの大学の连携プログラムがあり、皆さんのアクティビティを后押しする仕组みがあります。このように、大学はいろいろな形で外の社会と结びついています。学びは、驹场滨キャンパスの中の一部の教室の中だけではありません。教室やキャンパスの物理的な壁を飞び越えて、様々な経験をしてほしいと思います。

国立社会保障?人口问题研究所は、2050年には日本の女性の平均寿命は90歳を超えると推定しており、人生100年时代に突入します。今、社会は急速に骋齿(グリーントランスフォーメーション)に向かっています。気候変动に関する国际的な枠组み「パリ协定」は、平均気温上昇を产业革命以前に比べて1.5℃に抑えるという努力目标を掲げていますが、目标达成には、2050年前后までに、カーボンニュートラル、つまり、温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合计をゼロにすることが必要です。そのためには、エネルギーリソースを大规模に転换し、エネルギー起源の二酸化炭素を中心として、メタンや一酸化二窒素の排出を削减し、更に、大気中に既に存在する二酸化炭素を直接回収し贮留するためには大きな技术革新が求められます。

一方で、太阳から降り注ぐ紫外线の多くを吸収しているオゾン层に穴が开く、オゾンホールにより地表に紫外线が降り注ぎ皮肤がんなどのリスクが悬念されていますが、国连等の関係机関が作成した报告书によると、南极上空のオゾンホールは2066年までには1980年の値にまで回復するという明るいニュースもあります。フロンガスは极めて安定な物质であるために、冷蔵库やエアコンの冷媒などとして使われていました。しかし、后にノーベル化学赏を受赏したクルッツェン、モリーナやローランドが、フロンガスがオゾンを分解する可能性を指摘したのをきっかけに、1987年にモントリオール议定书によって46か国がこれらの物质の段阶的な削减を决めました。このように、私たちの生活が地球に及ぼす影响を科学の力で理解し、技术的に対応することで解决に向かうことができるというのも事実です。

皆さんは、今後このような節目となる2050年に向けて、中心となって活躍していく世代だと思います。そのためにも、教養学部前期課程での皆さんの学びが、そして课外活动を含めたキャンパス生活が、実り豊かであることを祈念して、教養学部長としての式辞といたします。

令和5年4月12日
东京大学教养学部长
真船 文隆

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