この国のかたちを见つめ直す
本书は、2种类の文章からできている。一つは、2010年4月から「毎日新闻」に连载された「时代の风」というコラム、二つは、2020年4月から同じく同纸に连载された「近代史の扉」というコラムである。2种のコラムの间にちょうど10年の时间が空いている。
だが、「时代の风」执笔の期间の2011年、东日本大震灾によって东京电力福岛第一原子力発电所の电源丧失、制御不能という事态が起こった。また、「近代史の扉」执笔の期间の2020年には、世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延があった。甚大な灾害を契机とした重大危机にあって政府はいかに原子力灾害に対応したのか、未知の感染症を前に政府は医疗と経済のバランスをいかにとったのか。2种のコラムでは、现在进行形の国家の非常事态に対し、まずは、歴史学が得意とする分析视角によって、进行している事态を正确に描くように努めた。
歴史学は、英国の歴史哲学者のコリングウッドが述べたように (R?G?コリングウッド、玉井治訳『思索への旅 自伝』(未来社、1981年)、ある一定の時代に創られた制度?組織?論理が、何故、その時代に現れたり創られたりしたのかを考える学問であり、その時代の為政者やその時代に生きた人々が、何のためにそのような制度?組織?論理を創ろうとしたのかを考察する学問的特性を持っている。
2020年度の日本のGDP (国内総生産) は実質伸び率でマイナス4?6%を記録し、比較可能な1995年度以降最大の下落となった。これは、リーマン?ショックに伴う世界的な金融システムの混乱に揺れた2008年度より悪くなっていたことを意味する。2種類のコラムが書かれた10年間という時間は、その入り口と出口において、日本も世界も尋常ならざる経済的な危機を迎えた時期だといえる。
着者は、1930年代の日本の外交と军事を専门とするが、30年代の危机は、世界的规模における経済的危机であり、英米ソ日などが角逐する极东の军事的危机でもあった。着者が2010年から现在に至るまでにその时々の「今」を见つめる际、脳の中で参照するインデックスはどうしてもこの1930年代の歴史ファイルとなるが、経済危机という侧面で见れば、30年代の実証研究は、本书にとって最适の引証基準となったように思う。
本書のタイトルは、司馬遼太郎が1986年から「文藝春秋」に連載したコラム「この国のかたち」(後に『この国のかたち』文藝春秋) を踏まえている。危機の時代には、国家と国民の関係を国民の側から問い返して、見つめ直すことが必須となる。本書はそのためのハンドブックとして書かれた。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 加藤 陽子 / 2023)
本の目次
第1章 国家に问う――今こそ歴史を见直すべき
第2章 震灾の教训――东日本大震灾10年を経て
第3章 「公共の守护者」としての天皇像――天皇制に何を求めるか
第4章 戦争の记忆――歴史は戦争をどう捉えたか
第5章 世界の中の日本――外交の歴史をたどる
第6章 歴史の本棚
滨 国家に问う
滨滨 震灾の教训
滨滨滨 天皇と天皇制
滨痴 戦争の记忆
痴 世界の中の日本
関连情报
専门家を使い捨てにする菅官邸の暴走 加藤阳子?东大教授が学术会议问题とコロナ対策を斩る〈サンデー毎日〉 (『週刊エコノミスト』翱苍濒颈苍别 2021年8月16日)
书评:
佐藤学 評「読書のページ」 (『しんぶん赤旗』日曜版 12月26日号)
須藤靖 評「いまの政治に潜む『作者の問い』」 (朝日新聞 2021年10月9日)
佐高信 評 (日刊ゲンダイDIGITAL 2021年8月22日)
书籍绍介:
[インタビュー]「専門家を使い捨てにする菅官邸の暴走 加藤陽子?東大教授が学術会議問題とコロナ対策を斬る」 (『サンデー毎日』 2021年8月29日号)
「はじめに」特別公開 (ALL REVIEWS 2021年8月6日)
関连イベント:
加藤陽子オンラインイベント『この国のかたちを见つめ直す』(毎日新闻出版) 刊行記念 (オンライン [主催: ジュンク堂池袋本店] 2021年9月10日)
ラジオ出演:
終戦の日 日本人にとって忘れてはいけない日です。改めて考えませんか「戦争から敗戦、奇跡の復興」 解説は東京大学大学院教授の加藤陽子さん (TBS RADIO サンスター 文化の泉 ラジオで語る昭和のはなし 2021年8月16日)
连载:
加藤阳子の近代史の扉 (毎日新闻)