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白い表紙の真ん中に波の模様

书籍名

Norms and Propositions of Law: Norm-Theoretical Foundations for Philosophy of Law 规范と法命题 法哲学の规范理论的基础

着者名

井上 達夫

判型など

451ページ、础5判

言语

日本语

発行年月日

2021年11月1日

ISBN コード

978-4-8332-2543-4

出版社

木鐸社

出版社鲍搁尝

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本書は、1985年から1987年にかけて『国家学会雑誌』に四回連載した拙稿「规范と法命题――現代法哲学の基本問題への規範理論的接近」を大幅に加筆修正して単行本にしたものである。この旧稿はまた、1980年2月末に東京大学法学部に提出した助手論文「規範と真理」を改訂したものである。
 
戦後の法哲学においては、価値相対主義 (value-relativism) と法実証主義 (legal positivism) ――正確には記述的法実証主義 (descriptive legal positivism)――が分析哲学の理論装置で再編されて優勢を誇っていた。研究人生の出発点において、私は、このような戦後法哲学の状況が、規範的な正義論の探究や法概念の規範的基礎の探究を法哲学の課題から排除することにより、法哲学を貧困化させていると考え、その克服を自己の課題にした。しかしまた、旧態依然たる自然法論や他の独断的法思想も不毛としか思えなかった。法哲学を再活性化させるには、むしろ、戦後の価値相対主義?法実証主義が依拠している分析哲学的思考資源、とりわけメタ倫理学 (meta-ethics) における両者の哲学的基盤をより深く掘り下げることによって両者を論駁し、分析哲学の厳密かつ精緻な理論水準を踏まえた上で規範的正義論 (normative theories of justice) と規範的法概念論 (normative theories of law’s nature) の可能性を擁護する必要があると考えた。
 
本書はこの狙いを達成するために、価値相対主義に連なる非認識説 (noncognitivism) を批判するだけでなく、自然主義 (naturalism)?直観主義 (intuitionism)?理由分析 (reason-analysis) など従来の認識説 (cognitivism) の欠陥?限界を克服する新たな認識説に立脚した規範理論 (a theory of norms) を、従来注目されてこなかったヘクトール?ネッリ?カスタニェーダ (Héctor-Neri Castañeda) の当為の意味論 (a semantic analysis of “ought”) に依拠して提示している。さらに、この規範理論に基づき、ハンス?ケルゼン (Hans Kelsen) やH?L? A? ハート (H. L. A. Hart) のような法実証主義者からロナルド?ドゥオーキン (Ronald Dworkin) のような反実証主義者に至るまで的確に解明できなかった「法命題 (Rechtssatz, propositions of law)」の謎を解明する理論を提示し、この新たな法命題の理論が、法の規範的存在性格 (the normative-ontological nature of law)、法と法学の関係、法と道徳の関係という法哲学の基本問題をいかに解明しうるかを考察している。
 
本書の刊行は、旧稿の雑誌連載完了から34年を経ており、「遅すぎる」という誹りもあろうが、メタ倫理学への関心が復活している現在、タイムリーな面もある。特に以下の点で、現在のメタ倫理学研究およびそれと直結する法概念論的研究に不足している点を補う意義をもつ。すなわち、(1)「合一説 (amalgamation theory)」という病巣の剔抉、(2)「語用論崇拝 (the pragmatics cult)」の倒錯の是正、(3) 指図主義 (prescriptivism) と普遍化可能性テーゼ (the universalizability thesis) を結合したリチャード?ヘアー (Richard Hare) のメタ倫理学説に対する徹底的な批判的検討、(4)「理由分析」の限界を克服する新たな認識説の探究、(5)「可能界の意味論 (possible-world semantics)」による規範様相 (deontic modality) の分析の成果と課題の検討、(6) 規範理論の刷新による法実証主義理論とドゥオーキン理論双方の限界を克服する法命題の理論 (a theory of propositions of law) の再構築、である。本書が若い世代の研究者を刺激し、メタ倫理学と法概念論の更なる発展に向けた議論に一石を投じることができれば幸いである。
 
なお、本書は旧稿本体に様々な加筆修正を加えているだけでなく、アルフレッド?タルスキ (Alfred Tarski)の真理論に焦点を当てて対応説的真理概念を再検討した私の未刊の長い論考を付説に掲げ、ドゥオーキンの最晩年の大著『ハリネズミの正義 (Justice for Hedgehogs)』で提示されたメタ倫理学全面否定論の批判的検討と、旧稿に対する安藤馨の批判への応答も後記で行うなど、内容を大幅に拡充しアップデート化している。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 名誉教授 井上 達夫 / 2022)

本の目次

まえがき――亀の叁段跳び
 
第1章 序论――法哲学の「躓きの石」と规范理论
 第1节 法思考と规范
 第2节 第一の躓きの石――価値相対主义の问题
  第1项 「自然法论」対「法実証主义」论争における価値相対主义の位置
  第2项 価値相対主义における非认识説の位置
 第3节 第二の躓きの石――法の规范性と法学の规范性
  第1项 法のヤヌス的存在性格――法は事実か规范か
  第2项 法の「规范的妥当主张」――法は强盗の胁迫とどこが违うのか
  第3项 在る法固有の规范性――贬?尝?础?ハートによる解明の失败
  第4项 法命题の谜――法の规范性と规范科学としての法学の存立根拠
 第4节 方法と构成
 
I部 规范
 
第2章 規範と言语
 第1节 规范の存在论的身分
  第1项 合一説――规范における「意味と指示」、「存在と妥当」の融合
  第2项 合一説批判
  第2節 言语行為の諸相と規範性
  第1項 「意味」の意味――規範性分析における言语行為論の意義
  第2項 真理概念の儀式化による言语行為論の迷走
      ――フレーゲに戻ってオースティンの理论的退行を正す
第3章 非认识説批判
 第1节 情绪説の误谬
  第1项 心理操縦的パロキューショナリ?アクトへの価値判断の还元
  第2项 価値判断の非操縦的意味――「意见」としての価値判断
 第2节 指図主义の限界
  第1项 影响造出から指针提示へ――イロキューショナリな相への视点転换
  第2项 规范のロキューショナリな意味の独立性と非指図性
  第3项 可能的?类的イロキューショナリ?アクト论への転换の无効性
第4章 命法?理由?规范
 第1节 规范と命法
 第2节 理由と规范
  第1项 正しき出発点としての理由分析
  第2项 理由分析の限界
 第3节 普遍化可能性と规范
  第1项 规范的判断の「付帯性」としての普遍化可能性
  第2项 意味分析テーゼから実质的规范原理へ
      ――普遍化可能性テーゼの哲学的身元调査
 第4节 命法の正当化と规范
  第1项 分析の基本的指针
  第2项 命法の意味论値としての「正当値」と规范
  第3项 「一応の当為」の解明――指図主义の限界の克服
  第4项 カスタニェーダ理论への补足と留保
 第5节 本章の総括
第5章 规范と真理
 第1节 规范と様相
  第1项 可能界の意味论による様相论理学の再构筑
  第2项 真理様相への规范様相の还元の挫折
 第2節 規範様相の意味論 (1) ――分析枠組としての規範的代替界
 第3節 規範様相の意味論 (2) ――問題と展開
 第1项 哲学的解釈の问题
  第2项 条件规范の问题
  第3项 义务の衝突、および一応の义务の问题
  第4项 事态规范と行為规范
  第5项 可能界の意味论に関する小括
 第4节 真理概念の再定位
  第1项 规范の真理値问题への真理论からの接近――二つの戦略
  第2项 タルスキ真理论の&濒迟;真义&驳迟;を救出する
  第3项 真理概念の世界指向性と存在论的包容性
 
II部 法命题
 
第6章 法実証主义者の法命题の理论
第1节 还元主义
第2节 法命题と法规范――ケルゼンの二元的当為理论
第3节 ケルゼンの法命题の概念に対する救済的再解釈の试み
  第1项 法的発话の使用と法的発话への言及
  第2項 法創造的言语行為の再現
  第3项 ある観点からの言明
第7章 搁?ドゥオーキンの法命题の理论
 第1节 ドゥオーキンにおける法実証主义批判の原点
 第2节 「法命题の真理论」への展开
 第3节 ドゥオーキン理论の限界と课题
第8章 法と法命题
 第1节 法命题の意味论的构造
  第1项 カスタニェーダ当為理论への法命题の统合
  第2项 法的正当化の文脉の构造――ドゥオーキン理论の意味论的再编
 第2节 再编された法命题の意味论の法哲学的含意
  第1项 法と法学――「断絶か癒着か」図式を超えて批判的融合へ
  第2项 法と道徳――法実証主义的「法道徳峻别论」の内在的超克
 
&濒迟;付説&驳迟; 対応説的真理概念再考
 序
 第1节 「事実の戦略」の破绽
  第1项 説明项の问题性
  第2项 ラッセルの対応説的真理论
  第3项 「事実の戦略」のディレンマ
 第2节 础?タルスキにおける真理论の意味论的再编
  第1项 真理定义の适格性条件
  第2项 真理定义の构成
 第3节 タルスキ真理论の哲学的意义
  第1项 问题の呈示と予备的考察
  第2项 対応説的真理観の救済
   (1) 「事実の戦略」の陥穽からの脱出
   (2) 哲学的真理論争に対して中立か?
   (3) 対応説とは異質か?
  第3项 意味论的真理概念の形而上学的中立性と知的包容性
   (1) 存在論と観念形態における中立性
   (2) 方法論的純粋性と学問論的包容性
后记――先达の遗戒と后进の审问に応える
 第1节 メタ伦理学は存在しないか?
――ドゥオーキンの规范伦理学一元论の検讨
  第1项 ドゥオーキンのメタ伦理学破产宣告
  第2项 「日常的见解」に偽装されたメタ伦理学的野心
   (1) 「日常的見解」の描像
   (2) 「日常的見解」のメタ倫理学的問題性
  第3项 外在的懐疑论批判のメタ伦理学的根拠
   (1) 外在的懐疑論の類型学
   (2) 非認識説批判における結論先取ファラシー
   (3) 錯誤説批判におけるヒュームの原理への依存
 第2节 相対主义か法道徳分断论が我が道か?――安藤馨への応答
  第1项 自説に対する安藤馨の「本阵攻撃」
  第2项 応答――「论弾」の精度と威力の测定
  (1) タルスキの真理規約Tと非認識説
  (2) 一応の当為の動機付与力と規範的比重
  (3) 相対主義に帰着するのか?
  (4) 法的当為は道徳的当為に下属不能か?
 

関连情报

イベント:
シノドス?トークラウンジ: 法哲学の根本問題とは?――井上達夫『规范と法命题』を読む (SYNODOS 2022年5月7日)

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