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东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

白い表紙にオレンジの帯

书籍名

立宪主义という企て The Project of Constitutionalism

着者名

井上 達夫

判型など

448ページ、础5判

言语

日本语

発行年月日

2019年6月3日

ISBN コード

978-4-13-031193-9

出版社

东京大学出版会

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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本書は、第1部で、立憲主義 (constitutionalism) の原理を、その法哲学的基礎に遡って解明し、第2部で、立憲主義の実践的含意を、憲法9条問題、刑罰権力統制問題、司法改革問題に即して考察している。
 
戦後日本の立憲主義の確立を阻む最大の問題は、憲法9条と自衛隊?日米安保体制との矛盾の放置である。世界有数の武装組織たる自衛隊を戦力でないなどとする種々の詭弁により、この矛盾を隠蔽する欺瞞に、歴代保守政権?自民公明連立政権だけでなく、「60年安保闘争」終焉以降は、専守防衛?個別的自衛権の枠内で自衛隊?安保を容認している「護憲派」も加担してきた。憲法9条が戦力を縛っているというのは全くの虚言である。逆に、9条があるがゆえに、憲法上「戦力 (military forces)」――より正確に9条の言葉を引けば「陸海空軍その他の戦力 (land, sea, and air forces, as well as other war potential)」――は存在せず、「国の交戦権 (the right of belligerency of the state)」も承認されないという建前になっており、戦力行使に対する文民統制?国会事前承認手続?軍事司法制度という最小限の戦力統制規範 (norms for controlling military forces) すら、日本国憲法は含みえないのである。その結果、自衛隊?安保という戦力の現実が憲法の外部で肥大化している。
 
戦力という最も危険な国家暴力に対する憲法的統制を欠損させたままでいる状況が根強く続くのは、法の支配 (the rule of law) を憲法に具現して発展させる企てとしての立憲主義の理解が、一般国民や政治家の間だけでなく、法学者?法曹を含む知識人の間でも貧困であり、かつ歪んでいることに起因する。拙著は、立憲主義理解の歪みを原理的に正し、戦後日本の憲政の致命的欠陥を是正することを目的としている。
 
本書の学術的な意義と特色は、法の「正当性 (rightness)」と区別された法の「正統性 (legitimacy)」の根拠の探究として法概念論を再構築し、立憲主義とその基礎をなす法の支配の理念を法の「正統性」保障原理として再定位する点にある。何が「正当な法 (the right law)」かについて先鋭な価値対立が解消不可能であるからこそ、反対者をも拘束する政治的決定がなされざるをえないのが「政治の情況 (the circumstances of politics)」である。その政治的決定が、反対者によっても、「间违っているが、正统だ (wrong, but legitimate)」として尊重されることが可能になるよう、「公正な政治的競争のルール (the rules of fair political competition)」を確立することが法の支配の眼目である。この法の支配の理念を憲法に具現して権力抗争――立法闘争 (legislative strife) のみならず、実定憲法規定の正当性をめぐる憲法闘争 (constitutional strife) も含む――を規律する企てこそが、立憲主義の精髄である。本書は、法概念論 (theories of law’s nature) における法実証主義 (legal positivism) と自然法論 (the natural law doctrine) の二項対立を超えた「正義への企てとしての法 (law as the project of pursuing justice)」という私の立場から、立憲主義の法哲学的再編に独自の寄与をなす試みである。

 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科?法学部 名誉教授 井上 達夫 / 2022)

本の目次

まえがき
 
第滨部 立宪主义の法哲学的基础
 
第1章 法の〈正当性〉と〈正统性〉――法概念论の再构筑
第1节 法概念の「脱构筑」の后に――法の公共的正统性の解明へ
 1 「脱构筑」の歴史としての法哲学
 2 现代法実証主义における本质主义への退却倾向
 3 法概念论の反本质主义的再构筑のために
第2节 「面白き学知」への法概念论の再编
 1 法哲学の面白さはどこにあるか――二つの问题関心の衝突
 2 真の係争点は何か
 3 法概念论の脱构筑と再构筑――唯名论的规约主义の问题提起は答えられたか
 4 记述的法実証主义が内包する本质主义的独断、そしてその克服
 5 面白き法哲学へ
第3节 立法の法理を求めて――立法理学の法概念论的基础
 1 立法への不信を越えて
 2 现代日本の议会民主政の変动と立法システム改革问题
 3 法概念论の立法理学的意义――法実証主义の认识论的転回が忘却させた问题
 4 法実証主義論争の再活性化から立法理学 (Legisprudence) 運動へ
补论 「批判的民主主义」批判への応答
 1 「批判的民主主义」构想の骨子
 2 小堀による批判
 3 応答
 
第2章 法の支配の再定位
第1节 何のための法の支配か――法の闘争性と正统性
 1 法の支配のいかがわしさ
 2 法の支配の存在理由
 3 「政治の情况」と法の正统性
 4 法の支配の再编构想
第2节 法の支配の哲学的再定义とその现代的意义
 1 なぜ「法の支配」が问われるのか
 (1)法の支配の原像
 (2)法の支配と悪法问题――法の「正当性」と「正统性」
 2 〈法の支配〉理念の再定位
 (1)立宪民主主义体制における法の支配のディレンマ
 (2)「立法の尊厳 (the dignity of legislation)」論の限界
 (3)立宪政治の闘争性――実体的立宪主义と二元论的立宪主义の限界
 (4)法の正统性保障原理としての法の支配――「理念化」プロジェクトに向けて
 3 现代日本社会における「构造改革理念」としての法の支配
 (1)「法治国家」対「法の支配」の対比図式の问题性
 (2)构造改革理念としての「法の支配」と「法治国家」の再统合
补论 戦后法理论の原点と「法の支配」论争
 1 ノモス论争の主题――国体问题の法哲学的基层
 2 八月革命説と人権论の不协和音
 3 ノモス主権论の规范的无力性
 4 ノモス论争の「ねじれ」は解かれたか
 5 「正义への企てとしての法」の理论は何を企てているか
 
第3章 立宪主义の哲学的再编
第1节 立宪主义への根源的懐疑
 1 皮相的「押し付け」批判から根源的「押し付け」批判へ
 2 立宪主义の哲学的危机
第2节 宪法の公共的正统性
 1 立宪主义の问题性
 2 重合的合意の虚妄
 3 政治の情况の照射と再隠蔽
 4 纯一性と正统性の断絶
 5  宪法の公共的正统性の规范的基础――「正义への企て」としての宪法
 (1)公共的正统性の理念的指针――正义构想に対する正义概念の基底性
 (2)正义概念基底化论による遵法义务论の再构筑――叁阶梯正当化论
 (3)成文硬性宪法の射程
补论 「宪法改正规定改正不能论」の误谬
 1 アルフ?ロスの二つの议论
 2 自己言及不能论の诡弁
 3 授権规范存続论の倒错
 4 法阶层説における宪法改正规定自己适用の意义
 5 自己言及的法改正规定と正统性问题
 
第滨滨部 立宪主义の実践
 
第4章 九条问题――戦力に対する立宪主义的统制の欠损とその克服
第1节 九条削除论原论――宪法论议の欺瞒を絶つ
 1 改宪派の主体性丧失
 (1)改宪派の「おいしいところ取り」
 (2)対米従属を维持强化する九条改宪
 2 护宪论の真価と欺瞒
 (1)「絶対平和主义」への误解を正す
(2)护宪派の「伦理的タダ乗り」
 3 立宪主义の再生のために
 (1)九条の思想を九条の欺瞒から救う
 (2)自卫戦力保持が含意する责任
后记
 (1)良心的护宪派への応答
 (2)パルチザン的抵抗论への応答
第2节 九条问题再説――「戦争の正义」と立宪民主主义の観点から
 1 本节论考の背景と目的
 2 戦争の正义论から见た九条问题
 (1)宪法解釈论から戦争の正义论へ
 (2)戦争の正义论における〈九条〉の思想的位置
 (3)絶対平和主义の限界と消极的正戦论への批判的组み换え
 3 立宪民主主义から见た〈九条〉の问题
 (1)戦后日本における九条论议の欺瞒性
 (2)九条削除论の法哲学的根拠――法の支配と立宪民主主义の再定位
 (3)九条削除论の宪法论的位置
第3节 九条问题「政治化」论の欺罔と欺瞒
 1 私は何を批判したか
 2 论点の隠蔽と回避
 3 「逆袭」的反论の自壊性?倒错性
第4节 立宪主义の救済――九条问题解决への道程
 1 戦后宪政史における「少年国家日本」の実像――九条信仰と米国信仰からの脱却へ
 2 宪法は戦力をいかに统制すべきか――「九条の罠」からの立宪主义救出戦略
 
第5章 刑罚権力と法の支配――厳罚化问题と死刑论议に寄せて
第1节 世论の専制から法の支配へ――民主主义と司法の成熟のために
 1 犯罪不安と復讐心に駆られる民主政の危険
 2 「目には目だけ、歯には歯だけ」――刑罚根拠论の缚り
 3 権力の恣意と市民の迷妄とへの防波堤
 4 民意の成熟と裁判贝制度
第2节 死刑论议の盲点
 1 忘れられた〈法の支配〉と民主的立法责任――「鳩山法相発言」问题をめぐって
 (1)何が问题なのか――死刑论议における存置派?廃止派双方の欺瞒
 (2)「死刑自动化」発言の背后にあるもの
 (3)対立の缩减を不可能にする「二重基準」の応酬
 (4)「人の支配」の危険性
 (5)法の正当性 (rightness) と正統性 (legitimacy)
 (6)主権者国民の最终的立法责任
 2 「司法的杀人」に代わるもの
 (1)「怒る世论」に擦り寄る裁判所
 (2)「司法による杀人」の伦理的负债
 (3)被害者のケア
 (4)「アーミッシュの赦し」に学ぶ
 
第6章 司法改革と立宪民主主义
第1节 司法改革论议の改革――戦后版「无责任の体系」の改造にむけて
 1 论议の皮相性――政治改革と行政改革の「梦の后」
 2 论议の虚妄性――司法试験制度とロー?スクール化を例として
 3 司法改革から体制改革へ――意思决定システムの构造転换
第2节 何のための司法改革か――日本の构造改革における司法の位置
 1 冷戦期型二项対立図式の呪缚――「规制缓和论」対「弱者保护论」
 2 现代日本社会の病巣――中间集団の専制による个人と国家の无力化
 3 「毅然たる法治国家」における政府と司法の役割
 4 弱者保护の歪みの是正――「弱者の强者化」から「分配帰结の公正化」へ
 5 司法改革と政治改革の统合――批判的民主王义に向けて
 6 机能改革としての司法改革
 (1)人権保障における司法消极主义の呪缚からの脱却
 (2)行政の公正性に対する司法的コントロールの强化  
 (3)民主的政治过程の公正性に対する司法的チェックの强化
 (4)裁判の公共的フォーラム化  
 7 まず裁判所から変えよう――裁く者たちの人间的解放のために
第3节 司法の民主化と裁判员制度
 1 「失われた六十年」の后の「転生」
 2 司法と民主主义の紧张関係
 3 司法に内在する民主的秩序形成への公共的责任
 (1)公民的徳性の再定义
 (2)私権の公共性
 (3)日本型司法积极主义の罠
 4 司法への民主的参加と裁判员制度の意义
 (1)司法権の両面性と民主的司法参加の二重の両価性
 (2)国民の负担限定论の问题点
 (3)今后の课题
 
あとがき
 

関连情报

着者インタビュー:
「失政を修正していく责任が自分たちにある」井上达夫教授 退职记念インタビュー【前编】 (『东大新闻オンライン』 2020年3月30日)

 
「世界は大きく多极化していく」井上达夫教授 退职记念インタビュー【后编】 (『东大新闻オンライン』 2020年3月30日)

 
自着再访:
井上达夫「立宪主义を救うとは、とういうことか(一)」 (『鲍笔』1-6页 2019年10月号)
井上达夫「立宪主义を救うとは、とういうことか(二)」 (『鲍笔』25-29页 2019年11月号)

 
*上记连载稿は一本の论考にまとめて、井上达夫『生ける世界の法と哲学――ある反时代的精神の履歴书』信山社、2020年、105‐119页に再録


対谈:
公正さと道徳的想像力―『立宪主义という企て』をめぐって
井上達夫 + 髙山佳奈子 (公益財団法人 日独文化研究所『年報 第12号』 2020年)


书评:
書評への応答: 井上達夫「『立宪主义という企て』は何を企てたか」(横濱竜也氏の書評への応答) (『法と哲学』第7号、263‐293頁 2021年6月)

 
横濱竜也 評「正義をめぐる論争へのコミットメント」 (『法と哲学』第6号、179‐188頁 2020年5月30日)

 
苅部直 (政治学者?東京大学教授) 評「あるべき法の支配とは」 (『読売新聞』 2019年6月30日)

 
书籍绍介:
駒村圭吾 (慶應義塾大学法学部教授)「立憲主義と9条改憲」 (『法学館憲法研究所 Law Journal』第27号 2023年1月24日)


自著解説 (『東京大学 大学院法学政治学研究科?法学部 ニューズレター』No. 25 2019年12月)

 

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