国家主义を超える日韩の共生と交流 日本で研究する韩国人研究者の视点
本书は、日本で教育?研究活动を行う韩国人研究者らが、研究交流とネットワーク形成のために、2008年5月に设立した「韩国人研究者フォーラム」から生まれたものである。同フォーラムは、现在1,000人近くの韩国人研究者が日本の大学や研究所等で活动しているといわれる状况の中で、韩国人研究者らの学术的な交流及び亲睦を深めるとともに、韩国人研究者のデータ?ベースの整备を通じて韩国人研究者ネットワークの构筑を目指すことを目的としてつくられた団体である。
本书の企画が具体化しはじめたのは、日韩国交正常化50周年の2015年を翌年に控えていた2014年である。2012年から高まりはじめた日韩の政治的紧张がなかなか缓和せず、これ以上日韩関係を悪化させてはいけないという强い思いから、日本と韩国がナショナル?アイデンティティや国家主义を超えて、さまざまな分野で相互协力?共存関係を筑くことができる方法を模索するために、本书は企画されたのである。
本書では、日韓国交正常化 (1965年) 以降の日韓経済関係の構造変化をはじめ、教育や文化面における多様な交流、韓国の民主化と市民運動の成長に伴って拡大した市民社会レベルでの交流、そして在日韓国人の人権問題についての検討などを通して、両国経済の共存?発展及び文化理解?文化連帯の可能性、そして国家主義を超える日韓市民社会の実現などといった、日本と韓国の未来を展望している。
本书が出されてから4年が経ったいま、残念ながら日韩関係は改善どころか、政治的対立のみならず、両国民の相互国に対する反感も高まるなど、いっそう悪化している。ところが、本书でも取り上げている教育及び文化分野での交流や市民社会レベルでの交流は、日韩関係の悪化や最近のコロナ祸の中でも途絶えることなく、依然として行われ続けている。
今年の初めに発生した新型コロナウィルス感染症によって、いま全世界が混乱と危機に陥っている。このようなグローバルな諸問題 (気候問題、環境と生態系保護問題、平和と核軍縮問題など) はもちろんのこと、日韓両国が共通に抱えている問題 (少子高齢化問題、福祉問題、雇用問題など) を克服し共存していくためにも、日韓両国は互いに反目し合うのではなく、さまざまな角度から対話を試み、連帯?協力する関係を築いていかなければならない。日韓関係の改善とともに、両国が今後持続可能な社会として共生していくための課題を考えるうえで、本書が少しでも参考になれれば幸いである。
(紹介文執筆者: 日本?アジアに関する教育研究ネットワーク (ASNET) 准教授 李 正連 / 2020)
本の目次
第滨部 日韩経済の构造変化と共存
第1章 国交正常化以降における日韩経済财政政策の比较
第2章 依存から竞合、そして新たな共存へ向かいつつある日韩経済
第滨滨部 文化?メディアにおける相互表象からの脱却
第3章 日本における韓国語教育と韓国における日本语教育
第4章 ソフトパワーとしての韩流と嫌韩流论、そして韩流食客たち
第5章 謝罪する日本 (日本人) の表象――日韓の新聞報道の分析
第滨滨滨部 市民社会の交流と国家主义の克服
第6章 日韩自治体交流の轨跡と展望――川崎市と富川市の教育?文化交流を中心に
第7章 日韩市民団体?労働団体の交流とその成果
第8章 在日韩国人の人権问题に関する考察
韩国人研究者フォーラムについて