和解学丛书 和解をめぐる市民运动の取り组み その意义と课题
本书は、歴史问题の和解について、多様な学问的方法を用いて、和解学という新しい分野を作り出そうというプロジェクトのなかから生まれた成果の一册で、市民运动に焦点を当てた论集である。执笔者は、社会学者、文化人类学者、政治学者、歴史学者で、それぞれの论考は日本やほかのアジアの国での个别の课题についての市民の取り组みに焦点を当てている。
歴史问题というと、今日の日本では、隣国との関係での厄介事というイメージが强いのではないだろうか。特に东アジアの文化に亲しむことがごく当たり前の若い世代にとっては、隣国の「反日」の活动や、日本国内の「保守派」の勇ましい反発やらにうんざりかもしれない。もちろん、なぜそんな问题が起こるのか、どうすればよいのか、国际法の解釈や政府レベルの外交について调べている若者もいるだろう。
とは言え、歴史问题にどう向き合うかを论じる机会は日本では少ない。そして、それについての市民の独自の活动についてはマスコミなどでもあまり取り上げられない。したがってそれについて知る人も多くはない。だが、日本では歴史问题が焦点化する1990年代よりもずっと前から、戦争や植民地支配で被害を受けた人びとへの谢罪、史実の究明などでの市民の自発的な取り组みが続いていた。そのなかには、サハリン残留韩国人问题のように、市民の活动が外交にも関係する国の施策の実现を胜ち取ったケースもある。他方で、国レベルの施策に依拠しない活动もある。アイヌの遗骨返还问题では、裁判よりもコミュニティの中でアイヌと和人が纳得いくまで话し合うことを重视した取り组みもあった。
また、日本では自国と近隣诸国との関係ばかりに注目が集まるが、それぞれの国は国内での歴史问题を抱えている。韩国にせよ台湾にせよ、第二次大戦后の新たな国家建设の过程では内乱の镇圧に近いような强権的な弾圧が行われた。そこで起こった过酷な迫害の被害者や遗族が名誉回復や补偿を求めた活动も展开されている。本书は、済州4?3事件や台湾2?28事件についての论文も収録している。そこにおいても、国家の论理や国内の政争とは别な场所で市民が和解の场を作り出そうとした努力が明らかにされている。
もちろん、市民が限られた人员、予算を用いて行う活动には限界がある。しかも、市民运动が常に成功するわけではない。活动方针をめぐって时には分裂も起きるし、被害当事者と支援者との间でも意见の相违がでてくることもある。无偿の努力を続けても、政府による心からの谢罪や十分な补偿も実现されずに、活动が终わることすらある。
本书では、そうした市民运动の难しさも论じ、伝えている。ただ、本书を手にした読者は、そうであっても、市民运动の重要性に気付くはずである。市民の自主的な取り组みなしには、加害者が歴史に向き合い、被害者が赦しを意识することはおそらくないのである。困难ではあっても歴史问题の和解は可能性を持つし、そのためには市民の活动がカギを握る。そのことを本书の诸论考は语っている。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 教授 外村 大 / 2023)
本の目次
第1章 在日朝鲜人帰国协力会と”日朝友好亲善“活动
――「在日朝鮮人帰国協力日本国民使節」の朝鮮民主主義人民共和国訪問 (一九六〇年三月) を中心に (宮本正明)
第2章 樺太旧住民の戦后市民运动
――戦災?引揚げ?抑留?残留?帰国 (中山大将)
第3章 台湾人元日本兵の戦後補償請求運動 (一九七五~一九九二年) の検討 (松田ヒロ子)
第4章 日本の先住民族问题における和解にむけて
――アイヌ遺骨地域返還運動を事例として (坂田美奈子)
第5章 在日コリアンをめぐる歴史问题と和解
――「民族差別と闘う連絡協議会」の運動と「在日旧植民地出身者に関する戦後補償及び人権保障法草案」の検討 (加藤恵美)
第6章 「现実的理想主义者」と二?二八事件をめぐる和解の试み
――林宗義?蘇南洲の役割に着目して (菅野敦志)
第7章 済州四?叁と市民运动
――ローカルな和解実践 (伊地知紀子)
第8章 フィリピン「慰安妇」运动の轨跡
――その初期に注目して (岡田泰平)
第9章 中国残留日本人孤児にみる歴史問題の和解と市民運動 (浅野慎一)
関连情报
第55回 外村大さんインタビュー『和解をめぐる市民运动の取り组み~その意义と课题』 (ブック?ラウンジ?アカデミア 2023年3月29日)