令和元年 海洋教育指導資料 学校における海の学びガイドブック 小?中学校编
グローバル化が進展し、AIやIoTを含めた急速な技术革新の時代において、子どもたちが様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して問題?課題を解決したり、多様な情報を活用できる知識へと秩序づけ、再構成したりして自らの目的を見いだし豊かに生きていくことが求められている。このような新しい時代に対応するために、教育課程の基準となる学習指導要領は平成29年に改訂され、令和2年度から全面実施されている。本書は新しい時代の「海洋教育」について、学習指導要領に準拠しつつ、学校教育の中でどのように考え、どのような形で授業を構想し実践していけばいいのかについて、具体的なモデルを提示することを目的としている。
第1章においては、海洋教育の理念について「公共財 (公共善)」と「慎慮 (フミリタス)」をキー概念として教育学的に読み解き、持続可能な社会の構築との関係性について提案するとともに、SDGsと海洋教育の関係性について考え、”Ocean Literacy for All”(UNESCO,2017) に示された7つの基本原則 (The essential principles of Ocean Literacy) について解説を行った。
第2章においては、学習指導要領についてその趣旨の理解を深めるとともに、「主体的、対話的で深い学び」を重視した授業改善について考え、実際の授業を構成する必須の活動 (言语活動、体験活動) について考察を加え、海洋教育を考える基礎の充実を図った。
第3章においては、今回の改訂において大きな柱となるカリキュラム?マネジメントについて概説し、東京大学海洋教育センターで提案している海洋教育の3つの柱、すなわち「生命 (Life)」、「環境 (Environment)」、「安全 (Security)」に沿って海洋教育カリキュラム?マネジメントについて考察を行った。
第4章及び第5章は、それぞれ小学校及び中学校における具体的な海洋教育カリキュラムのモデルプランを示したものであり、本书のボディーとなるものである。海洋教育に関して、このような形で统一的にモデルカリキュラムが示されたのは、本书が初めての试みということができる。各章は「教科」编と「総合的な学习の时间」编とで构成されており、小学校で全8モデルプラン、中学校で全6モデルプランが掲载されている。各モデルプランは、「単元の目标」、「単元の概要」、「単元指导计画」、「学习の展开」を柱としつつ、「海洋教育としての视点」や「教科等との関连」について明记し、学习指导の広がりと连携に配虑した。また、プランの最后に「学习を通して期待される児童/生徒の変容」という项目を设け、授业により変容した具体的な子どもの姿を示した。さらに、全てのモデルプランに「本モデルのポイント」として「海洋教育」という视点からモデルプランの価値付けを行い、従来型の教育と海洋教育の接続がスムースに行われるように配虑した。
四方を海で囲まれている我が国にとって、「海洋」は地理的にも歴史的にも、そして文化的にも极めて重要な学习の対象となりえるものである。海洋基本法が制定されて未だ10年余りに过ぎないが、新しい令和の时代の海洋教育に、本书が新しい「航路」を示すことができればと考えている。
(紹介文執筆者: 教育学研究科?教育学部 特任教授 日置 光久 / 2020)
本の目次
第2章 学习指导要领が目指すものと海洋教育
第3章 カリキュラム?マネジメントと海洋教育
第4章 小学校における海洋教育 (海洋教育のモデルプラン 教科3例、総合5例)
第5章 中学校における海洋教育 (海洋教育のモデルプラン 教科3例、総合3例)
資料 (海洋基本法、海洋基本計画)