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国连によれば、2050年には世界人口の约7割が都市部に住まうようになるとされ、その増加の大部分がアジアやアフリカの新兴国で进むと予想されています。とくにアジアの国々は中国を笔头に世界経済に大きな影响を及ぼすようになってきており、今后の経済発展が地球环境にもたらす影响も大変大きいものになります。アジア诸国がいかにして将来にわたり持続可能な形で発展を成し遂げるかが、21世纪の地球社会を持続可能なものにするために重要な课题だと言えるでしょう。
 
本著はこうした課題を見据えながら、アジア諸国の伝統的な文化や暮らしを将来の持続可能な発展に活かす視点を提示するものです。より具体には、自然と共生する東洋哲学の思想に注目し、そうした哲学にもとづき持続的に発展するアジアを「Green Asia」と称し、自然共生型の文化 (Ecocultures)、持続可能な暮らし (Sustainable lifestyle)、倫理的な消費行動 (Ethical Consumption) などに関連する事例を幅広く紹介しています。オーストラリア?メルボルン工科大のTania Lewis准教授を編者として、インド、台湾、シンガポール、フィリピン、中国、韓国、香港、そして日本と多くのアジア諸国から著者が参加し、建築、消費者行動、農業、都市生態系、エコツーリズム、メディアや政治など多岐にわたるテーマで議論を行っています。
 
著者らは第11章を担当し、日本の都市において伝統的に行われてきた都市農業に着目し、農と共生するアジア都市のあり方をライフスタイル変革の点から示しています。農村を基盤に発展してきた日本の都市においては、現在でも市街地に農地が残り、都市の消費者をターゲットにした都市農業が営まれています。また作物を消費するばかりでなく、市民農園や援農活動を通じて自身も農作物を生産することで「prosumer (Producer + Consumer)」になる消費者も増加しています。「農」に関わり合うライフスタイルは、近年の労働観の変革 (総務省の進める「働き方改革」など) とも呼応し、余暇と労働が融合した都市住民の新たなライフスタイルとして注目に値します。「生産と消費」、「労働と余暇」など、西洋的な価値観では明確に分けるべき二つの事象をあえて分けず、その「あいだ」を追及して新しい発想に昇華することが、アジア的な持続可能性の考え方ではないかと考えています。
 
アングロサクソン的?西洋的な発想にもとづく诸政策、事业、まちづくりなどに疑问を抱き、そのオルタナティブをアジア的?东洋的な発想で考えてみたい読者の皆さま。ぜひ本着を手に取ってご覧ください。
 

(紹介文執筆者: 工学系研究科 教授 横張 真 / 新领域创成科学研究科 講師 寺田 徹 / 2018)