コミュニティデザイン学 その仕组みづくりから考える
少子高齢化の进展は、コミュニティデザインに、多くの新しい课题を突きつけている。地域包括ケアシステムの构筑、子育て支援や教育関连のサービスのきめ细やかな展开、それらを提供する担い手としての市民社会组织の育成と连携、そして担い手の活动拠点となる各种施设の空间的配置の再考、関连した交通体系やサービス网の见直し、これら一连の事项を决めるための地域における意思决定の仕组みの构筑、などである。
さらに、高齢化や少子化は、社会保障费の増额をもたらし、国や自治体の财政的な制约も増大しつつある。こうした中、高齢者の活动や子育ての主な舞台としての「地域公共圏」=地域の社会?市场?环境?政治、が果たす役割は、今度さらに増してくるだろう。
本書はこうした問題意識をもとに、現代社会に求められるコミュニティデザインとは、1) 社会的関係としてのコミュニティのデザイン、2) そのために必要となる場のデザイン、3) そしてそれらを支える社会的仕組みのデザイン、から構成されるものであり、またこれらの総体をコミュニティデザインの技术手法制度的な対象とすべきと理論的に整理した。
その上で、特に、3) の社会的仕組みのデザインに焦点を当て、現代日本におけるコミュニティデザインの先端的試みを網羅的に把握?整理し、到達点と課題を示している。具体的には以下の通りである。
第滨部では、住民によるコミュニティのデザインを主なテーマとした。まず第1章では、総合的支援を行う装置としての「まちづくりセンター」をとりあげ、その可能性と课题をエンパワーメントの関连から论じた。第2章では、住民によるコミュニティのデザイン、まちづくりに対する経済的支援の仕组みの构筑について、住民?市民の提案を事业化する「市民ファンド」を取り上げて到达点を论じた。第3章では、「まちづくり条例」を取り上げ、特に住民?市民の提案を受け止める提案権の导入と计画形成支援の构筑の観点から课题を论じた。
ついで、第滨滨部では、协働によるコミュニティのデザインを进める制度?仕组みをとりあげた。第4章では、地域住民自治型まちづくり制度をつうじた住民自治の促进と再构筑の可能性について论じた。第5章では、协働のまちづくり事业制度をとりあげ、狈笔翱と行政/公司との连携の课题を论じた。第6章では、民有空间を活用した「住环境」の再编を进める制度について、「新しい公共」の空间化という切り口で论じた。さらに、第7章では、公共施设再配置やリノベーションを通じた地域再生を検讨し、コミュニティマネジメントに展开する方策を构想した。
第滨滨滨部では、そうした个々の社会的仕组みを総合することや、相互に繋げる社会的仕组みを取り上げた。第8章では、现状の「都市マスタープラン」の课题を示しつつ、协働フレームワークとしての空间戦略への展开を论じた。第9章では、コミュニケーション?ツールとしての滨颁罢について论じた。
(紹介文執筆者: 工学系研究科 教授 小泉 秀樹 / 2019)
本の目次
序章 コミュニティデザインの歴史的展開と本書のねらい
第I部 住民によるまちづくり
第1章 総合的支援の構築――多様な資源の供給源としての総合的支援機能を持つ「まちづくりセンター」
第2章 経済的支援の構築――住民?市民の資金と思いをつなげる「市民ファンド」
第3章 提案権の導入と計画形成支援の構築――住民?市民の提案を受け止める「まちづくり条例」
第II部 まちづくりへの協働事業
第4章 住民自治の促進と再構築――地域住民自治型まちづくり制度
第5章 住民?NPOと行政の連携――協働のまちづくり事業制度
第6章 住民主体による私有空間を活かしたまちづくり――地域共生のいえづくり支援事業制度を中心に
第7章 社会資本のリノベーションによる地域活性化――少子高齢化における新しいコミュニティマネジメントに向けて
第III部 協働を超えて
第8章 協働フレームワークとしてのコミュニティ戦略――「都市マスタープラン」からの展開
第9章 情報?ICTをまちづくり支援に活かす