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平成24年度东京大学学部入学式 総长式辞

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式辞?告辞集 平成24年度东京大学学部入学式 総长式辞

 东京大学に入学なさった皆さん、おめでとうございます。东京大学の教职员を代表してお祝いを申し上げます。长い受験生活を终えて大学での新しい経験に目を辉かせている皆さんを见ると、私たちも心が跃り、改めて新鲜な気持ちになります。また、この日を心待ちになさっていたであろうご家族の皆さまにも、心よりお祝いを申し上げます。
 今年の学部入学者は3,152名です。その内訳は、文科一类から叁类までの入学者が1,309名、そして理科一类から叁类までの入学者が1,843名となります。また、このうち留学生の数は、41名です。

 つい1年前には东日本大震灾、そしてそれに伴う巨大津波が発生して、东北地方太平洋沿岸を中心にすさまじい惨祸をもたらしました。また、関连して福岛の原子力発电所の深刻な事故も起きました。こうした事态を受けて、昨年度の入学式は、各学部新入生の代表の皆さんだけが出席して学内で実施するという异例の形をとりました。今年は再び通常の形式に戻して、この武道馆で入学式の式典を执り行っています。
 ただ、このたびの大震灾によって被灾した地域が元に戻っているというわけではありません。被灾地では、やっと復兴の兆しが见え始めているところもあるものの、本格的な復兴への动きはまだまだこれからです。东京大学では昨年4月に「东日本大震灾に関する救援?復兴支援室」を设置して、被灾された方々への支援にあたっています。教职员のほか学生の皆さんもたくさん、ボランティアとして被灾地に入って活动をしてきました。また、この救援?復兴支援室には80あまりのプロジェクトが登録されて活动していますが、これらは、大学らしく、それぞれの専门分野を生かして被灾地の復兴支援にあたろうとしているものです。その中には、健康?医疗にかかわるもの、建物やまちづくり、経済生活?产业にかかわるもの、防灾、放射线安全、あるいは资源?エネルギーにかかわるものなど、多様な活动が含まれています。こうした復兴支援のための活动は、东京大学として息长く継続していきたいと考えていますので、ぜひ皆さんも、自分であればどういうことが出来るだろうかと真剣に考え、あるいは行动しながら、学生生活を送っていただきたいと愿っています。

 さて、この東京大学ですが、在籍している学生の数はおよそ2万8千名で、学部学生の数と大学院学生の数が、ほぼ半々になります。とても大きな组织で、教員はおよそ4,000名近く、事務系?技術系の職員は約2,000名がいます。そして東京大学の主なキャンパスは、本郷と駒場、そして千葉県の柏の3つですが、さまざまな実験施設や観測施設、演習林などが、北海道から鹿児島まで、日本全国に存在しています。さらに海外にも、各国の大学や研究機関との協力によって、何十もの研究拠点が設けられています。
 东京大学では、このように、たくさんの教职员や学生が、日本だけでなく世界のさまざまな场所で、幅広く多様な研究に携わっており、その中で、これからの时代を担う人间を育てる教育が行われています。

 この东京大学で、私は3年前から総长を务めているのですが、任期は6年ですから、ちょうどこの4月が折り返し点になります。この折り返し点という机会に初心に立ち戻って、総长に就任してから、入学式で私が新入生の皆さんに伝えてきたメッセージを、少し敷衍しながらもう一度お话ししておきたいと思います。

 私が総长に就任してすぐ迎えた平成21年度の入学式で、新入生の皆さんに呼び掛けたのは、「タフな东大生」になってほしいということでした。そして、翌年の入学式の时には、「国境なき东大生」になってほしいということを伝えました。
 この二つのメッセージ、端的に言えば、「よりタフに、よりグローバルに」ということになりますが、これは、これからの时代の激しい変化を见通しながら东京大学が皆さんを教育しようとする时に、つねに意识されるべき価値であると、私は考えています。この二つのメッセージについて、これからお话ししておきます。

 まず、「タフ」であることです。新入生の皆さんが、これまでの厳しい受験勉強を通じて、豊かな知識やきちんとした論理の力、分析の力を備えているはずだということは当然の前提です。その上で、そうした知的な能力を、学問の世界でさらにぎりぎりまで伸ばしていくと同時に、社会に出ても確実に通用しうる力に鍛え上げてほしいという思いを、「タフ」という言葉に込めています。別の言い方をすれば、受験勉強的な意味で「頭がよい」というだけでは、これからの大学生活、さらにその後の社会生活を送っていくためには十分ではない、時代を先導するリーダーとなることを期待されている東京大学の学生、東京大学の卒业生としては、さらにプラスアルファの力を身につけてほしいという思いを、私が持っているということです。

 私が3年前に、「タフ」であってほしいと述べた時に強調したのは、「社会的なコミュニケーションの場におけるたくましさ」ということでした。そして、「差異を越えて、知識を人に伝え、受取り、納得させ、互いに論じ合うことのできる力」が必要だと述べました。今日ここでさらに付け加えておきたいのは、「タフさと多様性との関わり」という視点です。多様性というのは、東京大学がさまざまな機会に強調している教育研究活动の重要な価値の一つなのですが、ここでのポイントは、一つは、タフさというのは多様なものであること、もう一つは、タフさというのは多様さの中で培われるということです。

 まず、タフさの多様性ということで言えば、タフさというのは、人によって、また置かれている状况によって、异なった表れ方をします。自分が正しいと考える道を贯き通すタフさ、失败にへこたれずに繰り返しチャレンジを続けていくタフさ、惯れない环境の中で生き抜いていくタフさ、こういったこともあれば、难しい本を粘り强く読み解いていくタフさ、あるいは手间のかかる実験や観测を辛抱强く繰り返し続けるタフさもあります。さらには、自分自身の内面で精神的な弱さを克服しようと一生悬命努力するというタフさもあります。このようにタフさのあらわれ方は多様であってよいのです。
 いずれにしても、タフさというのは、自分の能力を精一杯に使って物事に正面から向き合い乗り越えていこうとする姿势、そして、それを持続していく姿势が、重要な本质であると私は考えています。
 大学での勉学もそうですし、また社会に出ればいっそうそうですが、人生を送る上では、なまなかな努力では実现できない事柄、计算や予测が不可能な事柄、また不合理で理不尽に见えるような事柄など、数え切れないほどの困难があります。そうした课题に臆せずに向き合って、新しい道、新しい解决、新しい仕组み、新しい生き方、新しいものの见方を生み出すために、力の限りを尽くすことを厌わないということが、タフであるということだと考えています。

 このようなタフさは、多様な経験の中で培われます。人间は、自分とは违った知识や価値、生き方に出会うことによって衝撃を受け、成长していきます。异なったものに刺激を受けてそれを受け入れることもあれば、反発することもあります。反発する时でさえ自分が何者なのかを改めて确认することになり、そこから成长の芽が育ちます。
 こうした多様な経験の第一歩は、読书です。本の中には、过去から现在に至る先人の多様な知恵や多様なものの见方が詰まっています。その意味で、皆さんの大学生活の间には、たくさんの本を幅広く読んでもらいたいと思います。そして、それとともに大学生活で大切なのは、本という头だけの知识では无くて、さまざまな社会的経験の中で自分とは异质なものにさらされる机会、场合によっては、とまどい、迷い、悩む机会を、できるだけ数多く持つということです。
 そうした知识や経験を通じて、困难な课题に直面した时も、どう取组めばよいのか知恵や工夫をめぐらす柔软性、そして、何とか出来るのではないかという自信や前向きの姿势が育ちます。それがタフさの源となります。

 3年前の入学式でタフさについて述べた时は、ちょうど前年にリーマン?ショックが起こり、その后の世界的规模での金融?経済の激しい动揺の状况が私の头にありました。しかし、その后も、ギリシア危机をきっかけとしたヨーロッパ诸国の不安定な状况や国际社会における政治経済バランスの変化など、不透明さはさらに増す兆しをみせています。また、日本国内でも、财政再建や少子高齢化の进行、そして大震灾からの復兴や原子力発电所の事故への対応など、课题はより深刻になってきています。明确な処方笺が见えないこと、予测可能でないこと、计算通りにはなかなか进まないこと、が次々生じてきているのがいまの社会状况です。ただ、东京大学で学んだ人たちが、そうした事态を前にへこたれる、あるいは手をこまねいているようでは困ります。このような时代を生き抜いていく皆さんに「タフさ」を求めたい、そしてそのように育てたいという私の思いの背景は、こうしたところにあります。

 さて、もう一つ、私が新入生の皆さんに语ってきたのは、「国境なき东大生」になってほしいということでした。
 もちろん、専門知識と語学力を駆使して、世界を飛び回るような活躍をしている東京大学の卒业生はすでにたくさんいます。ただ、国際的な経験をすることの意味は、何より、自分がこれまで生きてきた世界とは異なった考え方や発想、異なった行動様式や価値観と触れあい、刺激を受けることで、自分を成長させていくところにあります。そうした成長を通じて、より大きな貢献が社会に、日本のみならず世界に対してできるように、という思いで、「国境なき東大生」であってほしいと、私は願っています。
 そして、このようにして培われる力は、さまざまな异质なものを自分の中に取り込むことによって、时代や环境の新しい変化にも対応していくことが出来る力ともなります。この点は、さきほど触れた、多様性に満ちた环境がタフさを育む、という话に通じてきます。

 今日あらゆる场面でグローバル化がすさまじいスピードで进んでいる世界では、国境という障壁がどんどん低くなってきています。こうした时代には、とりわけリーダーとしての役割を期待される人间には、たんに一つの国の枠の中だけではなくて、国际的に通用する竞争能力が求められます。皆さんの能力は、ただ日本人相互の间で竞争し比较されるだけではなく、他の国の优秀な人々とも比较され评価されていくことになるわけです。実际、ここにいる数少ない留学生の皆さんは、そうした厳しい环境の中で顽张ろうとしています。すでに公司の国际展开や自然科学系を始めとする研究交流などの场面で起こっていることが、少なくとも东京大学を卒业していく皆さんの周りではごく日常的なものになっていくはずです。
 言うまでもなく、そうした能力は竞争のためだけではありません。竞争と同时に国境を越えた新しい协调の仕组み、新しい国际社会の秩序や文化、そこを生きる人たちの人生のスタイルや価値観も生まれていくはずです。东京大学で学んでいく人たちには、そうした新たな国际社会を作ることへの贡献も通じて、次の时代を担う役割を果たしてもらいたいと愿っています。

 最后になりましたが、今日この场にお越しいただいている、ご家族の皆さまにも、一言申し上げておきたいと思います。
 皆さまも、いまの时代が、皆さまの若い顷と比べて、非常に厳しく见通しにくい时代になっていると感じておられるだろうと思います。かつては、东大生、あるいは东大卒という肩书があれば、それなりの人生を送ることができました。しかし、私は、これからの时代、いまここにいる皆さまのお子さんが活跃する时代は、国际化の度合いも社会経済の姿もいまとは大きく异なる时代になるだろうと思います。当然のことですが、私たちが提供する教育も、いまの时代を前提にして行うのではなく、来るべき时代を想定しながら行っていかなければならないと考えています。このたび东京大学に入学されたお子さんには、さまざまに工夫された授业や多様な経験の机会を、これまでの受験勉强の时代と同じような紧张感と、さらにくわえて主体的な问题意识を持ちながら、活用してもらいたいと愿っています。

 東京大学の教育研究活动が拠って立つ柱である東京大学憲章は、「世界的な視野を持った市民的エリート」を育成することをうたっています。今日ここにいる新入生の皆さんが、「よりタフに、よりグローバルに」ということを意識しながら勉学をすすめていくことを通じて、まさにこの「世界的な視野を持った市民的エリート」として成長してくれることを心より期待しています。

 

平成24年(2012年)4月12日
東京大学総長  濱田 純一

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