小宫山総长年头挨拶
小宫山総长年头挨拶
新年あけましておめでとうございます。 &苍产蝉辫;&苍产蝉辫;世界は大恐慌以来最悪ともいわれる未曽有の金融危机に直面しました。私は、瞬く间に世界中に広がった米国発の金融危机を、人类にとって地球が小さくなってしまったことの一つの表れであると考えています。20世纪まで、地球は人类にとって无限でした。空も海も大地も、人类に大いなる恵みを与え、人类のさまざまな挑戦を许容するフロンティアでありました。しかし、20世纪后半から、人类の活动は、无限であったはずの地球环境に影响を与え始めるほどに拡大してきました。二酸化炭素浓度といった地球の基本的な値までが変动し、海洋资源や地下资源などの枯渇が危ぶまれています。また、人はわずか数日で世界を一周できるようになり、情报やお金は一瞬で世界を駆け巡っています。21世纪に入り、人类社会のパラダイムが変わったことが次第に明らかになってきました。その一つが、あらゆる人间活动に対して小さくなってしまった有限の地球、ということです。 &苍产蝉辫;&苍产蝉辫;二つ目は社会の高齢化です。日本は高齢化で世界の先阵を切っています。しかし、先进国はもちろん、途上国も追随して高齢化の道を歩んでいるのです。中国は2025年から2030年にかけて人口のピークを迎えます。若い国であるインドも、おそらく2040年から2050年顷までに人口のピークを迎えるといわれています。21世纪の前半に世界中が高齢化に向かうのです。これは、高度な医疗を享受することによる长寿化と教育の普及による少子化がその理由です。高齢化は文明の発展に伴う当然の帰结なのです。 &苍产蝉辫;&苍产蝉辫;叁つ目が知识の爆発的増大です。1900年当时に人类が持っていた知识の量と比较すれば、现在のそれは千倍、一万倍という大きさでしょう。人类にとって知识が増えることは良いことです。しかし、知识の増大は领域の细分化と分野间の隔絶を招き、その结果、知识は蓄积されているけれども、その全体像を捉えることが困难となり、十分に活用できないというジレンマに陥ってしまっているのです。 21世紀の現在、世界は「有限の地球」、「社会の高齢化」、「知識の爆発」という新たなパラダイムにシフトしたのです。今後、人類が活き活きと暮らし、持続的に発展していくためには、新しいパラダイムに対する答えが必要です。私は物質とエネルギーに関して、2050年までに実現できていれば人類は未来に向けて持続的でいられるであろうという解を、「ビジョン2050」として提案しています。それは、エネルギー効率3倍、自然エネルギー2倍、物質循環システムの構築、というものです(「地球持続の技術」岩波新書)。これは技術的に実現可能で、先進国と途上国がギリギリ合意可能なところだと考えています。 高齢化した社会を支える最も重要なものは医療です。高齢化社会においては、あらゆるものが健康と医療に繋がっているといっても過言ではありません。私が考える解の一つは、診断チップによる在宅診断というシステムの創出です。そのほかにも、快適で安全?安心な住環境、労働や家事を支援するロボット群、バリアフリーな都市構造の創造など、高齢化社会を背景とした新産業の創出は、社会にイノベーションを起こし閉塞した経済を活性化する大きな可能性を持っています。日本は「課題先進国」として、また、一番成長するアジアにいるという意味で地政学的にも絶好の位置にいます。これは日本にとって大きなチャンスといえます。なぜならば、やがて世界が高齢化した後、世界は日本と同じ課題に遭遇するのです。人類が経験したことのない課題に解決のモデルを提示することができれば、それは追随してくる国に導入され、世界のデファクトスタンダードとして受け入れられます。これは日本の大きな国際競争力となるはずです。 パラダイムが変化した社会に新たなシステムを導入するために、私は「行動する大学」を提唱しています。新しい試みは実験をしながら進めることが必要です。人々がどんな生活をしたいのか、そのために何を作ればよいのか、どんな社会インフラやサービスを整えていったらよいのか、実験を行ないつつ、蓄積された知を構造化して動員し、持続可能社会のモデルを提案できるのは、大学しかないと考えています。東京大学は柏キャンパスにおいて、活き活きとした高齢化社会実現のための、いくつもの実験的プロジェクトを開始しています。東大サステイナブルキャンパスプロジェクトとして、低炭素社会実現のための二酸化炭素削減に取りくんでいます。具体的な行動を通して、大学が科学、社会、政治を牽引して社会にイノベーションを起こすこと、それが「行動する大学」の目指すところです。 私は、2050年頃に人類は大きな岐路に立つと考えています。2050年まであと41年となりました。そのときに世界がどんな産業形態になり、どんな社会を構築しているかが人類の命運を分けるのです。新しいシステムが浸透し社会が変わっていくまでには相当の時間がかかります。2050年まで残された時間は決して長くはないのです。今、具体的に行動を起こし、2050年に向けて世界を引っ張っていこうではありませんか。これまで日本は多くの課題を解決してきた実績を持っています。今回の金融危機もこれまでの経験を活かしチャンスに変えていけばよいのです。東京大学が世界の課題解決に貢献できることを祈念し、年頭のご挨拶とさせていただきます。 |
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