公司の経済学 产业組織論入門
新型コロナウィルスが5类感染症に位置づけられ、社会経済活动が确実に回復する「ポストコロナ」といえる状况になりました。しかし日本経済を取り巻く経済社会环境は、コロナ祸前とは大きく様変わりしています。
国内では、人口減少や高齢化の加速化で、内需主導型の市場規模が縮小傾向にあるとともに、人材難から供給力不足になる業種が広くみられ始めています。これまでデジタル化が遅れているといわれた日本も、デジタル化が着実に進んでいます。海外に目を転じると、カーボンニュートラル (温室効果ガスの排出と吸収をネットでゼロにする) に向けて、地球温暖化や循環経済に対する意識が確実に高まっています。また地政学的な分断から端を発して、経済安全保障に対する備えも求められています。
こうした環境変化のなか、企業はどのような経営戦略を打つべきでしょうか。その結果として、产业構造はどのように変化するのでしょうか。こうした点を考えるうえで、経済活動を支える企業行動に対する理解が不可欠になります。『公司の経済学――产业組織入門』は、こうした現代的な課題を考えるうえでの足がかりとなる、基礎を与える教科書にあたるものです。
本書は現在、ニューヨーク大学で教鞭をとるルイシュ?カブラル教授が執筆した「Introduction to INDUSTRIAL ORGANIZATION」の第2版の翻訳書になります。翻訳は日本の公正取引委員会に関係をしてきたエコノミストによって主に手掛けられ、現在公正取引委員会委員の青木玲子先生と、私が監訳をしたものです。この本では、企業がどのような手段によって経営目的を達成するのかを丁寧に解説されています。多くは海外からの事例ではありますが、ケーススタディも豊富に取り揃えており、豊富な練習問題も理解の助けにもなると思います。
本书で取り上げられるテーマの一つに、例えば鉄道や高速道路において、混雑に応じて価格を変动させるダイナミックプライシングがあります。さらに、消费者の动向をリアルタイムで把握することができるようになると、混雑だけでなく、消费者ごとに异なる価格をつけることも可能です。このような公司の利润最大化に基づく価格づけの高度化は、消费者にとってどのような意味があるのでしょうか?社会にとってはどうでしょうか。
本書は、経済学のなかでも产业組織論という分野に位置づけられます。独占禁止法や产业政策の政策立案や効果検証をするうえでも、基礎的な素地を与える学問です。ミクロ経済学をかじったことのある読者には、現実との接点を感じる機会にもなりますので、ぜひ手に取って頂ければと思います。
(紹介文執筆者: 公共政策大学院 / 経済学研究科?経済学部 教授 / 副学長 大橋 弘 / 2024)
本の目次
第1部 ミクロ経済学の基础
第2章 消费者
第3章 公司
第4章 竞争,均衡,効率性
第5章 市场の失败と公共政策
第6章 価格差别
第2部 寡占
第7章 ゲームと戦略
第8章 寡占
第9章 共谋と価格戦争
第3部 参入と市场构造
第10章 市场构造
第11章 水平合併
第12章 市场闭锁
第4部 非価格戦略
第13章 垂直的取引関係
第14章 製品差别化
第15章 イノベーション
第16章 ネットワーク
関连情报
Luis M. B. Cabral, Introduction to Industrial Organization, Second Edition, The MIT Press, 2017.
公司の経済学——产业組織論入門 演習問題