コロナ时代の日本経済 パンデミックが突きつけた构造的课题
本書は、少子高齢化や財政赤字の累積など、新型コロナウィルス感染症のパンデミック (世界的大流行) でこれまで以上に深刻化した課題に加えて、情報通信技术などを活用した新しい働き方への対応など、パンデミックの影響が終息していく過程でのウィズコロナ時代および終息した後のポストコロナ時代における日本経済のあり方を、その構造的問題にフォーカスして多角的に考察したものである。
本書の出版を企画したのは、新型コロナウィルス感染症が発生してからまだ数か月たった段階であった。既に経済へのダメージは深刻で、世界各国で史上最悪のコロナ不況が発生していた。その一方、当時はその負の影響は1年程度で終息し、経済がV字型の回復を実現するとの楽観論も多かった。しかし、その後もパンデミックが予想を超えて長引き、それに伴って「新しい時代に乗れる / 乗れない」ことによる格差が多方面で生み出されていった。本書で取り扱ったテーマは、このようなウィズコロナ時代およびポストコロナ时代の日本経済にどのような構造的問題があったのかを考察することである。
パンデミック下では、情報通信技术を活用したテレワークやインターネット会議などの働き方が広がりをみせるなど、人々の生活パターンは一変し、「新しい日常」が生まれた。他方、これまで人々が日常的に利用してきた財?サービスが「不要不急」となり、飲食業や旅行関連業など対面ではなくてはビジネスが成立しない業種では先の見えない苦悩が続いた。加えて、日本では、急速に進行する少子高齢化など、コロナ禍以前から存在していたさまざまな構造的な問題が、ウィズコロナ時代を経てむしろ深刻となった。パンデミックからの回復過程では、それらの構造的な問題をどのように克服していくのかが重要な政策課題であった。本書では、このような問題意識から、大きく変容する新時代の経済社会のゆくえを、幅広い読者を対象として各分野の専門家が平易に論じた。
残念ながら、本书の出版段阶でも、パンデミックの本格的终息には至らなかった。このため、本书で议论されたポストコロナ时代の课题は、部分的に将来予测にもとづいたものにならざるを得なかった。とくに、出版后の世界経済では、ロシアのウクライナ侵攻や中东地域の武力衝突といった新たな地政学的リスクも加わり、その不确実性はますます高まっている。サプライチェーンの分断や资源価格の高止まりは、2022年以降、物価上昇と経済停滞が同时に进行するスタグフレーションをもたらした。今后、地政学的紧张がさらに拡大すれば、事态が悪化する可能性がある。ただ、新たな不确実性のなかでも、长い间低迷を続けてきた日本経済の活性化は、これまでと同様に重要な课题である。デジタル化のより一层の促进に加えて、気候変动への対応など新しい政策课题も山积している。その意味で、本书で取り扱った构造问题は依然として重要で、日本がその改革に取り组むことの有用性は世界环境が激変するなかでもが変わっていないといえる。
(紹介文執筆者: 経済学研究科?経済学部 教授 福田 慎一 / 2023)
本の目次
第滨部 コロナ时代の経済政策
第1章 経済财政运営の基本戦略
――4つのショックと財政?金融の「出口」について (中里 透)
第2章 デジタル経済における市场集中
――ウィズコロナ時代の競争政策の展望 (岡田羊祐)
第3章 ポストコロナの地域金融
――デジタル化と構造変化を見越した求められる変化 (長田 健)
第滨滨部 コロナ时代の経済社会
第4章 サプライチェーンの寸断と多様化するリスク
――停滞による企業経営への影響とリスク管理 (佐藤正和)
第5章 雇用不安とリカレント教育
――コロナ禍で顕在化した雇用ミスマッチの緩和 (田中茉莉子)
第6章 気候変动、贰厂骋そして「会社の目的」の革新
――アフターコロナにおけるグローバルな課題 (花崎正晴)
終章 ポストコロナ時代に向けた日本経済の課題 (福田慎一)
関连情报
『経済セミナー』2022年8?9月号
関連講演 :
東京大学大学院経済学研究科教授 福田 慎一 氏「コロナ时代の日本経済-パンデミックが突きつけた构造的课题」 (日本経済研究所主催?設備投資研究所共催 2022年5月31日)
2020年度東大?設研共同主催シンポジウム「新型コロナと日本経済~社会科学の視点から」 (東京大学金融教育研究センター (CARF)?設備投資研究所 2021年3月5日)
関连记事:
「「賢い」政策は持続性生む 東大教授?福田慎一氏」 (日本経済新聞 2020年12月8日)
福田慎一「新型コロナが市場に与えたインパクト」 (『月刊金融ジャーナル』 2020年7月)