地域文脉デザイン まちの过去?现在?未来をつなぐ思考と方法
本书が主题とする地域文脉とは「私たちが生きる物的环境において、过去から现在、さらには未来への発展的なプロセスのなかに见出される何らかの継承的な构造であり、&濒诲辩耻辞;価値&谤诲辩耻辞;」である。都市计画や地域づくりの现场では、久しくこうした地域文脉をいかに読み取り、计画やデザインにおいてそれを継承していけるのかが问われてきた。都市や地域においてある程度の安定した构造に価値を见出し、その构造との亲和や调和が志向されてきた。しかし、现代の都市や地域は、新自由主义的経済?政治体制とそのグローバリゼーション、频発する灾害、あるいは人口减少や少子高齢化に伴う社会変容などを原因として、かつてのような安定した构造を前提とすることが难しくなってきている。地域文脉をめぐって、従来の手法や论理では解けない课题が生じている。
本書は、こうした現代における地域文脈論の最前線について、4部構成で議論を進める。第I部は地域文脈論の歴史的な展開について、建築集合、都市空間、自然生態の三分野から整理を行っている。現代の地域文脈論は、19世紀末から20世紀初頭の第一波、1950年代から1970年代の第二波に続く、1990年代後半に始まった第三波として位置付けられる。正しいコンテクストの決定不可能性といった認識のうえで、どのような新たな地域文脈論を構想するのかが第三波の課題である。第II部は地域文脈を如何に読み解くか、その具体的な方法について総論とカタログによって論じている。地域文脈が絶対的な価値観としてではなく、主体-環境系による認識として提示される。第III部では、読み取った地域文脈を如何に具体の環境に定着さていくのか、やはりその具体的な実践について、総論とカタログによって論じている。環境と経済の両立、地域の自律性、プロセス?デザインといった点に可能性と課題が見出される。第IV部では、ここまでの読解と定着のデザインを受けて、現在進行中の課題を含む3つのフィールドを設定し、地域文脉デザインを試行し、さらなる課題を浮かび上がらせている。具体的には、明治神宮外苑、筑波研究学園都市、そして福島原発事故被災地である。
以上のように、本書は地域文脈を都市計画や地域づくりに生かす地域文脉デザインという方法を豊富な具体的事例に基づき、体系的な整理を行ったのと同時に、今後の課題や展望を提示する書籍となっている。
(紹介文執筆者: 工学系研究科 教授 中島 直人 / 2024)
本の目次
はじめに
第滨部 地域文脉论の系谱
1章 地域文脉论の3つの波
2章 建筑集合――建筑家?建筑史家による地域文脉论
3章 都市空间――都市计画家による地域文脉论
4章 自然生态――ランドスケープアーキテクトによる地域文脉论
第滨滨部 読解のデザイン
1章 地域文脉を「読み解く」とはどういうことか
2章 地域文脉をとりまく社会情势の変化
3章 空间组织から社会组织へ
4章 社会组织の変貌
5章 第3波における地域文脉「読解」の课题と定着への足がかり
■カタログ
カタログの位置づけ
新たな読み解き1――区画整理という制度
1 区画整理の変质に现れる地域文脉――帝都復兴土地区画整理事业
2 文脉を缝合する歴史的视点による区画整理の読解――东京戦灾復兴区画整理事业
新たな読み解き2――建筑から集落?都市?地域のスケールへ
3 建筑履歴から読み解く都市の地域文脉――松江の官庁街
4 动态的ティポロジア――台湾から
5 生业の転换と空间の适応――佐渡市宿根木集落
6 スペースシンタックス分析で読み解くパサージュ形成の文脉――プラハの都市空间
7 自然环境の构造から読み解く郊外住宅地开発――千里ニュータウン
新たな読み解き3――読み解く主体
8 都市计画と土地の履歴から読み解く初期再开発街区――藤沢391街区
9 暮らしの记忆と歴史的町并み――水郷佐原
新たな読み解き4――灾害復兴
10 市街地復兴の「基準线」としての地域文脉――スコピエ復兴
11 リセットされた集落空间と持続する社会组织――ジャワ岛中部地震被灾集落の復兴过程
12 叁陆の渔村と反復する津波
第滨滨滨部 定着のデザイン――読解からの実践
1章 地域文脉の「定着」とはどういうことか?
2章 グローバル资本主义下における地域文脉の定着のデザイン
3章 缩退社会における定着のデザイン
4章 灾害?復兴における定着のデザイン
5章 定着のデザインが示す可能性と课题
■カタログ
カタログの位置づけ
农村における灾害后の定着のデザイン
1 灾害后の生活文化と社会组织の创造的復旧――新潟県中越地震?山古志村
地方中小都市における定着のデザイン
2 都市再生事业による空间组织の保全活用と社会経済の転换――イタリア?ウルビノ
3 地域文脉の読解と定着の専门职能の教育と実践――近江环人地域再生学座
郊外住宅地?ニュータウンにおける定着のデザイン
4 道と緑の改善による社会空间构造の再构筑――豊中市?スロープ公园
5 地域の记忆を継承するグリーンマトリックスシステム――港北ニュータウンの近隣住区论
6 せせらぎと農地とグリーンマトリックスシステムの接続――港北ニュータウンのグリーンインフラ (緑地系統)
大都市圏?都心部における定着のデザイン
7 地域主导の创造的な地域文脉の継承――银座デザインルール
8 都心开発地区と景観まちづくり――汐留シオサイト
第滨痴部 再び、フィールドでの模索と展望
1章 地域文脉デザインのチャレンジ――都市の現在的課題のフィールドで考える
2章 神宫外苑の地域文脉――フレームを问い直し、フリンジを再検讨する
3章 筑波研究学园都市――地域文脉の解体と醸成
4章 福岛原発被灾地――破断と再编
あとがき
関连情报
『綴葉』No. 417 p. 10 2023年5月
书籍绍介:
『新建築』 2023年1月号
関连记事:
中島直人「創造と保全――「神宮外苑地区まちづくり」を巡って」 (驟雨異論|雨のみちデザイン 2023年5月20日)
中島直人「東京臨海地域と歴史的?文化的界隈――オリンピック?パラリンピック「東京ベイ?ゾーン」の地域文脉デザイン」 (『都市計画』No. 319 pp. 44-47 2016年2月)