パブリックライフ学入门
『建物のあいだのアクティビティ』(1971年) で世界的に知られるヤン?ゲールと、彼の事務所の所員であるビアギッテ?スヴァアによる、ゲール流アクティビティ調査の方法論の総括的な解説書である。原題「How to Study Public Life」はいわゆるハウツー本を連想させるが、実際はパブリックライフという概念を提起し、パブリックライフ研究の歴史的展開をパイオニアたちの紹介というかたちでトレースしたうえで、パブリックライフの把握手法、都市政策への展開プロセスまでを体系的に論じた内容を持つ。つまり、「パブリックライフ学」と呼ぶにふさわしい新しい学問領域の入門書でもある。
ゲールが提唱するパブリックライフとは、公共空间における人々のアクティビティのことである。ただし、パブリックスペースと対に捉える视点を含意している。ゲールによれば、「よくデザインされた场所では、パブリックスペースとパブリックライフに良い相互作用が生まれる」のであり、その相互作用を探究するのがパブリックライフ学なのである。しかし、こうした相互作用を前提にしてるにも関わらず、本书がパブリックスペース=空间を外し、パブリックライフ=人のみを主题に持ってきているのは、それが空间をつくる人々の间で见落とされがちだからである。ゲールは「実际には、建筑家や都市计画家が「空间」自体を扱う一方で、コインの里侧である「人」が忘れられていることが多い。おそらくその理由は、形态や空间について考え、説明することが比较的容易なのに対して、人の活动は、常に移り変わるため捉えるのが难しいという点にあるだろう」と指摘している。
ゲールは、本拠地を置くコペンハーゲンを対象に1968年と1986年の二回、街路の歩行者数や特定の活动を记録する调査を行った。何れも纯粋な研究として実施されたものであった。しかし、続く1996年の调査は、都市空间改善を明确な目标に掲げ、公民学を巻き込みながら行われ、初めて「パブリックライフ调査」と名付けられた。こうした调査を5年、10年といった定期的な间隔で実施することで、都市空间改善のプラットフォームとするという狙いがあった。1994年にはメルボルンを対象に、1996年のコペンハーゲンでの调査とほぼ同じフォーマットでの调査を実施していた。両都市では、その后、定期的にパブリックライフ调査が実施された。また、ゲールは、ニューヨークやシドニー、ロンドン等でもパブリックライフ调査を展开している。とりわけニューヨークでは、ゲールの调査がタイムズスクエアのブロードウェイの歩行者専用化に代表される道路空间の広场化政策を导くことになった。
本书はこうしたゲール自身の実践経験に基づき执笔されたものである。加えて、先にも触れたとおり、ゲールが行ってきた仕事を、パブリックライフ学の先駆者たちの系谱の中で位置づけ、その先駆者たちの书籍や调査手法も幅広く绍介することで、パブリックライフ学を仕立てあげたのである。
(紹介文執筆者: 工学系研究科 准教授 中島 直人 / 2021)
本の目次
2 谁が?何を?どこで?
3 カウント、マッピング、トラッキング、その他のツール
4 パブリックライフ研究の系谱
5 先人たちの手法から学ぶ:リサーチノート
6 パブリックライフスタディ実践编
7 パブリックライフスタディと都市政策
関连情报
RePUBLIC talk “パブリックライフ”と公共空間のこれから~公共空間から建物までの関係性~ (公共R不動産 2016年7月29日)
【ソトノバTABLE#7 公式レポート】パブリックライフは同じルールや世界観を共有できる時間、空間。「パブリックライフ学入门」刊行記念トーク! (ソトノバ 2016年7月22日)
讲义:
プロジェクトと「まち」を結ぶ -『まちの見方?調べ方』と『パブリックライフ学入门』 (Arts Project School 2017年8月4日)