シリーズ超高齢社会のデザイン 人生100年时代の多世代共生 「学び」によるコミュニティの设计と実装
人生100年时代が到来している。日本社会は、高齢化に足を踏み入れてすでに半世纪になる。その间、人口构造が少子高齢人口减少へと変わっただけでなく、人々の生活にかかわる様々な领域で、构造的な変化が引き起こされている。たとえば、人工知能を基盘とした社会の到来、贫困など社会の分断と人々の孤立、激甚灾害の频発がそれであり、さらに2060年には认知症患者が総人口の13パーセントを占める时代がやってくると予测されている。また、より长期的には、环境破壊や気候変动による生态系の异変など、私たちをとりまく外部环境も大きく変化している。
これらはすべて、従来の社会とりわけ市场社会のあり方に疑问を投げかけるだけでなく、人々のコミュニケーションのあり方にまで大きな影响をもたらしている。そしてそれは端的に、人々の価値観の多様化?多元化と人々の记忆?経験をベースにした社会の构造的変容として、立ち现れている。これらはいわば、市场社会の基盘である人间のあり方に対して、私たちに再考を促す社会の构造的な変化であり、また社会问题だといえる。しかも、私たちはこれらの问题を、自分の日常生活の地平で否応なく引き受けざるを得ない状况におかれている。ここに昨今の社会问题の困难がある。
私たちは、これまでの社会とは异なる社会イメージを、これまでとは异なる新たな人间像と组织论を基础として、创造し、それを実装して、社会を革新していくことが求められる时代にすでに身を置いているのである。
そのとき、草の根の地域コミュニティにおけるコトバを介した小さな话しあいの重ねあいが、この社会の基盘を、人々の他者に対する想像力と配虑に満ちた、そして相手を好意的に受け止め、支えあおうとする、人々の思いによって生み出される当事者性に満ちたものへと组み换えていくのだといえないだろうか。そのコミュニティは、住民相互の他者への想像力と配虑に満ちた、意识せざる思いが交错する?场?であり、そしてそこでは、その「场」を互いに意识せざる形で担いあう当事者としての住民の生成が见られることとなる。このような想像力と配虑にもとづくかかわりのあり方が、人生100年时代の新たなコミュニティの构想と実践へとつながっていくのではないだろうか。
本書は、このような新たな社会を創造するための具体例を集めたケースブックである。本書は、序章で社会の構造的変化と地域コミュニティへの視点を提示した上で、第I部 概論篇 — 枠組み、第II部 特論編 — 仕組み、第III部 実践編 — 取り組み、第IV部比較編 — 東アジアの高齢社会とコミュニティの各部、全28章から構成されている。どの論考も、身近なコミュニティをテーマとして、そのあり方を論じたものである。本書を通して、これからの新たな社会を構想する具体的なイメージを受け取ってもらえたら幸いである。
(紹介文執筆者: 教育学研究科?教育学部 教授 牧野 篤 / 2021)
本の目次
第滨部 概论编――枠组み
[生涯学習] 第1章 社会保障としての「学び」――「社会」をつくりだす生涯学習へ (牧野 篤)
[世代間交流] 第2章 世代間交流とソーシャル?キャピタル――スウェーデン,アメリカ,日本を例として (草野篤子)
[高齢者イメージ] 第3章 ヨーロッパ?アジアの高齢化に対する知識と態度――大学生の高齢者イメージ国際比較 (黄 錦山 / 山口香苗 訳)
[ライフキャリア] 第4章 高齢者の心理と社会参加――中高年のライフキャリアのその先を見据えて (高橋美保)
[健康] 第5章 高齢者の社会参加と健康 (藤原佳典)
[学びの場] 第6章 高齢者大学という「場」(堀 薫夫)
第滨滨部 特论编――仕组み
[政策枠組み] 第7章 人生100年時代の構想と政策的課題について (蒔苗浩司)
[地域づくり] 第8章 小さな拠点?地域運営組織の形成と住民の「学び」(中塚雅也)
[地域福祉] 第9章 地域包括ケアシステムと公民館?住民の「学び」(上田尚弘)
[地域学校協働] 第10章 地域学校協働活動と公民館?住民の学び (水田 功)
[相互見守り] 第11章 市民後見とコミュニティづくり (飯間敏弘)
[自治体政策] 第12章 「地域共生コミュニティ」を目指して――松本市の取り組み (矢久保 学)
[公民館組織] 第13章 自治公民館を核とした町づくり (宮崎県綾町)
[市場] 第14章 カスタマーセントリックな経済という信仰への疑義 (海野 裕)
第滨滨滨部 実践编――取り组み
[多世代交流] 第15章 多世代交流型コミュニティの構想と実践――千葉県柏市高柳地区の試み (牧野 篤)
[シニア演劇] 第16章 「できない」「わからない」が生み出すパフォーマンスの豊かさ――豊四季台「くるる即興劇団」の取り組み (園部友里恵)
[キッズセミナー] 第17章 大学生がつなぐ地域の多世代交流コミュニティ――千葉県柏市柏第六小学校「東大キッズセミナー」の実践 (松山鮎子)
[シニア音楽祭] 第18章 飯田市「華齢なる音楽祭」の取り組み――多世代による超高齢社会の演奏会モデルづくり (桑原利彦?松本奈々子)
[次世代育成] 第19章 大人の学びと次世代育成をつなげる――飯田市公民館の取り組みから (木下巨一)
[生涯学習大学] 第20章 高齢者大学と地域ネットワーク――なかの生涯学習大学を一例に (酒井瑞生)
[地域と学校] 第21章 地域学校協働活動と高齢者の活躍――江東区立第三砂町中学校の事例から (田口明日香)
[文化の創造] 第22章 合言葉は「まぜて,まなぶ」――「ふらのみらいらぼ」と「ふるさとキャリア教育」(浦田 吉)
[公民館のリデザイン] 第23章 公民館からCo-Minkanへ (西上ありさ)
第滨痴部 比较编――东アジアの高齢社会とコミュニティ
[台湾] 第24章 楽齢学習で新たな自分へ——台湾における高齢社会への対応 (魏 恵娟?張 弘?張 哲嘉 / 山口香苗 訳)
[韓国] 第25章 持続可能な高齢社会の構築と「学び」——韓国の生涯学習を基盤とした取り組み (李 正連)
[中国] 第26章 高齢社会と社区コミュニティにおける「学び」——中国の高齢社会建設の取り組み (馬 麗華 / 詹 瞻 訳)
終 章 信頼を贈りあう社会へ——高齢社会の新しい姿 (牧野 篤)