岩波新书 日韩関係史
なぜ、近年、日韩関係が急激に悪化することになってしまったのか。本书は、その原因として日韩関係が?非対称的で相互补完的な関係?から?対称的で相互竞争的な関係?に変容したにもかかわらず、日韩双方が、それに适切に対応できていないという点に注目する。
冷戦期、(1) 日本の力の優位、(2) 日本の市場民主主義と韓国の開発独裁という体制の違い、(3) 政府?財界関係のみの関係、(4) 関心?情報?価値の日本から韓国への一方的流通、によって特徴付けられる非対称的な関係の下、日韓協力によって韓国の経済発展と政治的安定を達成し、それによって北朝鮮に対する韓国の体制優位を確保することで日韓の安全保障を確実なものにするという、相互補完的な関係が形成されてきた。
ところが、冷戦の終焉と韓国の先進国化?民主化によって、(1) 日韓の力の対等化、(2) 市場民主主義という価値観の共有、(3) 地方政府間?市民社会間関係、社会文化関係を含む多層で多様な関係、(4) 関心?情報?価値の流通における日韓の双方向化、などによって日韓関係は対称的な関係へと変化した。そして、上記の共通目標が達成されてしまったが故に、今後は一体何のためにどのように協力するのかが不透明になり、日韓間には競争関係が強く刻印されることで、相互に自分の方が進んで譲歩し難いという関係になってきた。日韓の間に存在する歴史問題や領土問題に起因した対立関係がエスカレートしないように管理するという課題を、日韓双方とも共有し難くなったのである。
さらに、外交政策をめぐる乖离も目立つようになった。日韩は冷戦期も、またそれ以后も、米国との同盟関係を共有する。米国との同盟の共有が日韩の纽帯になってきた。ところが、冷戦が终焉し米国との同盟が変质する中、対称的な日韩が対米同盟をめぐって竞争関係を构成するようになり、それが日韩関係にも影响を及ぼすようになっている。
次に、北朝鲜の存在である。韩国は北朝鲜に対する体制优位を确保したが、その后韩国主导で统一に向けた平和共存の制度化へと一直线に进んだわけではなかった。日韩を射程に入れた北朝鲜の核ミサイル开発、日本人拉致问题、日朝国交正常化など、南北関係や日朝関係を构成する诸要素が日韩関係にも影响を及ぼしてきたし、今后も及ぼすことになる。
そして、中国の存在である。冷戦初期、中国は日韩にとって?敌性国家?であった。しかし、中国との国交正常化を通して関係を深化することで、中国は日韩にとって政治経済における重要なパートナーとなった。ところが、中国の大国化、そして米中関係が対立へと変化する中、日韩がそれにどのように対応するのかの选択を迫られる。そして、それも日韩関係に影响を及ぼすことになる。
本书は、こうした日韩関係の展开过程を分析することで、?日韩関係がなぜこうまで悪化したのか?という问题を再考すると共に、?では、どのように取り组むべきであるのか?を考えたい。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 教授 木宮 正史 / 2021)
本の目次
第一章 日韩関係の?前史?―― 一八七五年~一九四五年
第一节 ?西洋の衝撃?と日韩関係―対称性からの出発
第二节 近代化をめぐる日韩の协力と対立―支配?被支配への帰结
第叁节 日本の植民地支配とその帰结―究极の非対称性
第二章 冷戦下における日韩関係の?诞生?―― 一九四五年~七〇年
第一节 日韩関係の初期条件
第二节 日韩国交正常化交渉滨―― 一九五〇年代
第叁节 日韩国交正常化交渉滨滨―― 一九六〇年代
第四节 日韩関係の?一九六五年体制?:経済协力と安全保障
第五节 国民レベルにおける日韩?一九六五年体制?
第叁章 冷戦の変容と非対称的で相互补完的な日韩関係―― 一九七〇年代?八〇年代
第一节 米中?日中の和解と北朝鲜をめぐる日韩関係
第二节 米国の関与削减と日韩関係――日米韩関係から日韩関係へ?
第叁节 日韩の非対称性と市民社会间関係の萌芽
第四节 ?ポスト朴正熙?の日韩関係
第五节 非対称な日韩协力と対称化の诸侧面
第四章 冷戦の终焉と対称的な日韩関係の到来― 一九九〇年代?二〇〇〇年代
第一节 日韩関係の构造変容――非対称から対称へ
第二节 冷戦の终焉と朝鲜半岛への?配当?――南北関係の改善と限界
第叁节 日韩歴史问题の浮上
第四节 日韩パートナーシップ宣言――対称関係の?理想型?
第五节 北朝鲜の核ミサイル问题と日韩関係――共通胁威に応じた相互补完的协力
第五章 対称的で相互竞争的な日韩関係へ――二〇一〇年代
第一节 歴史问题の?拡大再生产?――?慰安妇?问题と?徴用工?问题
第二节 北朝鲜政策――目的における対称性と方法における非対称性
第叁节 米中大国间関係――新冷戦への対応か、旧冷戦の解体か?
第四节 歴史问题から経済?安全保障の対立竞争へ?
终 章 日韩の?善意の竞争?は可能か?
参考文献
あとがき
日韩関係略年表
関连情报
「三宅民夫のマイあさ!」三宅民夫の真剣勝負: 過去最悪? 対立深まる日韓関係を読み解く (NHKラジオ 2019年9月11日)
阴谋论に囚われる日韩、これで北朝鲜问题を解决できるのか 东大教授?木宫正史さんインタビュー (闯-颁补蝉迟ニュース 2019年2月24日)
着者コラム:
日本と韩国の「葛藤」はなぜ过激化したのか、すれ违いの构造を解く (现代ビジネス 2019年8月28日)
日本と同じアメリカの同盟国なのに?韓国が中国には?いい顔?を見せる本当の理由 - だから日韓関係は戦後最悪に至った (PRESIDENT Online 2021年8月13日)
政策オピニオン: 構造変容に直面し「迷走」する日韓関係 ―何を目指し、どのように克服するか (一般社団法人平和政策研究所 2021年6月23日)
SGRAかわらばん: エッセイ604:木宮正史「日韓関係の危機をどう克服するのか」 (SGRA – 関口グローバル研究会ホームページ 2019年8月1日)
関连记事:
政治プレミア: 大貫智子 (政治部記者) 日本外交の現場から - 韓国文化好きが増えれば歴史問題は解決するのか (毎日新聞 2021年11月28日)
书籍绍介:
おすすめ読书馆 (西日本新闻 2021年10月29日)
(新書?文庫)『日韩関係史』木宮正史著 (日本経済新聞 2021年9月4日)