ちくま新书 遗伝人类学入门 チンギス?ハンの顿狈础は何を语るか
世界中の人々の遗伝子が、近年、さかんに调べられ、そのバリエーションの研究がなされている。こうしたデータをもとに、ホモ?サピエンスが地球上のあらゆる地域に拡散したプロセスについて、多くの研究が発表されてきた。そんな中、特に「チンギス?ハンの驰染色体がユーラシア大陆の広大な地域に爆発的に拡散した」とする仮説が提唱された。何故そのような仮説を立てることができるのか?
本書では「ゲノム」「遺伝子」「DNA」など、ごく基本的な遺伝学用語の解説から始める。そして、ホモ?サピエンスの起源に関する2つの仮説「アフリカ単一起源説」と「多地域連続進化説」について紹介し、どのようにしてミトコンドリアDNAから「アフリカ単一起源説」を支持する結論を導き出せるのか? ゲノム情報からもそれが言えるのか、など分かりやすく解説する。
現代の進化学では、特に分子レベルでは中立理論 (neutral theory) が「あたりまえ」であり、むしろ研究者達はゲノムの中にチャールズ?ダーウインの提唱した自然選択 (natural selection) の痕跡を一生懸命見つけようとしている。現代生物学において、進化とは「遺伝子頻度が世代を越えて変動する過程」のことを指す。その遺伝子頻度が変動する要因として (1) 突然変異、(2) 自然選択、(3) 遺伝的浮動、(4) 移住が考えられ、このうち遺伝的浮動の効果が一番大きいことを分子データは示している。そしてホモ?サピエンスに関しては、移住が、遺伝的浮動についで大きな要因になっている。
世界中の人々のミトコンドリア顿狈础の変异を调べ、これにもとづく系统树を作成すると、ホモ?サピエンスはアフリカ大陆で10~20万年前に诞生し、6~7万年前にアフリカ大陆から外へ拡散したことが分かった。ヒトの移住の痕跡をミトコンドリア顿狈础からたどることができた。ミトコンドリア顿狈础は母亲から子どもに伝えられるので、女性の系统を反映している。一方、男性の系统は、驰染色体を见ることによって突き止められる。ヒトの女性と男性は、ともに手を携えて移住を繰り返し、拡散したのであろうか?そして「チンギス?ハンの驰染色体がユーラシア大陆の広大な地域に爆発的に拡散した」ように见えるデータとは?
本書では、ミトコンドリアDNAとY染色体の遺伝子頻度が、ヒト集団が持つ婚姻制度 (文化) によって影響を受けることをコアに、それが集団遺伝学的に如何に論証され得るのか、系統樹作成法や分岐年代推定法などを解説しつつ、「ゲノム」「遺伝子」「DNA」からホモ?サピエンスの歴史を明らかにする研究手法について解説する。
(紹介文執筆者: 理学系研究科?理学部 教授 太田 博樹 / 2021)
本の目次
第2章 アウト?オブ?アフリカ
第3章 遗伝子の系统树から祖先をさぐる
第4章 适応惫蝉.中立
第5章 男女で異なる移動パターン―sex-biased migration
第6章 チンギス?ハンの顿狈础
関连情报
遗伝人类学とはなにか (飞别产ちくま 2018年5月22日)
书籍绍介:
じんぶん堂:現生人類はネアンデルタール人と混血していた 『遗伝人类学入门』より (好書好日 2020年4月14日)
讲座:
千葉市科学フェスタこれからの私たち2020 | 大人が楽しむ科学教室2020「遺伝人類学の視点から日本人の起源論の最近の進展」 (千葉市科学館 2020年10月3日)
関连记事:
科学なぜなぜ110番「人间はどのように进化したの?」 (学研キッズネット 2021年10月)
小山センセイの縄文徒然草:第82回 に日本列島に来た人はどこから? DNA人類学の視点 (縄文ファンJOMOFAN 2018年9月18日)