パブリック?ヒストリー入门 开かれた歴史学への挑戦
パブリック?ヒストリーとは、歴史学の分野で何らかの训练を受けた人びとが、大学の研究室や教室といった専门的で学术的な场の「外」の社会へと飞び出して、そこで歴史学の知见や技能、そして思想を活かす幅広い実践を意味する。それは博物馆や文书馆、史跡、歴史公园といった场での歴史保全や展示から、学校での歴史教材の制作、映画やテレビ会社での歴史ドラマやゲーム业界での歴史シミュレーションゲームの制作、さらに法廷における先住民の権利诉讼での资料提供、自分の故郷の歴史や家族史の探索、デジタル?ヒストリーによる歴史データベースの公开、家族のルーツ探し、トレジャー?ハンティング等々、実に多彩な现场で执り行われている活动である。
かつて、歴史を作る行為は、専门的な歴史家だけが行うものと考えられていた。また、歴史を考える行為は、大学といったアカデミックな空间に闭じ込められていた。しかし20世纪末、象牙の塔に闭じ込められた歴史学を多様な人びとに开き、また多様な场に开こうとする挑戦が、欧米を中心に始められた。それがパブリック?ヒストリーであり、その动きはいまや世界中に広がり、歴史学の大きな潮流のひとつとなりつつある。本书は、そのようなパブリック?ヒストリーを、日本へ绍介した初の概説书である。
パブリック?ヒストリーの现场では、歴史の専门家とともに、歴史学の専门教育をとくに受けていない大多数の普通の市民も、歴史を取り巻く活动、すなわち歴史実践に一绪に携わっている。歴史実践に関わる一般の市民は、パブリック?ヒストリーの受け手であるとともに、パブリック?ヒストリーの重要な作り手、あるいは送り手でもある。パブリック?ヒストリーは、过去の世界を知り、过去を再构筑する専门家の「机上」の研究ではない。それは现在、あるいは未来の现実世界を构筑するために、専门家のみならず、それ以外の多様な人びとが协働して、「现场」で展开する研究?実践なのである。
パブリック?ヒストリーは时代、対象、地域の壁を乗り越える歴史学の営為である。どんなに古い过去の歴史であろうと、またどんなに远くの场所の歴史であろうと、その歴史が《いま、ここ》に生きる人びとにとって重要な意味をもっていれば、パブリック?ヒストリーの课题となり得る。パブリック?ヒストリーとは、过去を过去のこととして过去に留め置くのではなく、过去と现在との终わることのない対话を通じて、过去を现在に関わるものとして现在に引き戻して、さらにこれからの未来に引き伸ばして、人びとのために役立てる「现在史」である。
现代社会において、歴史の重要性は恐ろしいほどに弥増すばかり。いま私たちが生きている世界で生起している深刻な诸问题は、そのすべてが歴史的课题として扱うことが可能であるといっても过言ではない。そのようななか、パブリック?ヒストリーの存在感は、今后社会のなかで、さらに増大していくことであろう。
(紹介文執筆者: 东洋文化研究所 教授 菅 豊 / 2020)
本の目次
I 理论 罢丑别辞谤颈别蝉
パブリック?ヒストリーとはなにか? 菅 豊
〈ありのままの事実〉を支えるもの―近代日本における歴史実践の多様性 北條勝貴
プラクティカル?パストと日本史―中世歴史実践史ノート 中泽克昭
II 実践 笔谤补肠迟颈肠别蝉
《歴史家とは誰か? Who is the Historian?》
歴史と芸―神楽の過去を発掘する/演じるという歴史実践 俵木 悟
いまに生きる、いまに生かす歴史的空間における歴史実践―「Oターン郷土誌家」を目指して 西村 明
&苍产蝉辫;滋贺県下の字誌にみる歴史実践 市川秀之
&苍产蝉辫;コラム:「武田家属将美名録」はなぜ配られたのか―ある末裔の歴史実践 及川祥平
《协働 颁辞濒濒补产辞谤补迟颈辞苍》
&苍产蝉辫;「八重子の日记」をめぐる歴史実践 宫内泰介
&苍产蝉辫;更地と工事现场からの文化创造と歴史実践―津波被灾地における復兴キュレーション 加藤幸治
&苍产蝉辫;朝鲜?日本の歴史认识と市民的协働―「韩国併合」一〇〇年をめぐる日韩の运动から 加藤圭木
&苍产蝉辫;コラム:「歴史」を回す―オビシャ行事とオニッキをめぐる歴史実践 金子祥之
《オーラル?ヒストリーとライティング?ヒストリー Oral History and Writing History》
戦争記憶をめぐる再帰的な歴史実践―オーラル?ヒストリーによる他者理解と自己理解 石井 弓
オーラル?ヒストリーの敗北宣言―想像の死者へ向けた手紙 金菱 清
コラム:「歴史」する圣地创出 川田牧人
《ミュージアムとアーカイブズ Museums and Archives》
歴史资料の保全と地域贡献?歴史実践 西村慎太郎
東京大空襲?戦災資料センターを拠点とした「東方社コレクション」をめぐる活動―共同研究の進展と成果の公開 小山 亮
コラム:民俗文化财に対する内部者の目线と外部者の目线 村上忠喜
《デジタル?パブリック?ヒストリー Digital Public History》
歴史のデータは誰のものか―Digital Historyがもたらす未来とは 後藤 真
「记忆の解冻」―资料の”フロー“化とコミュニケーションの创発による记忆の継承 渡邉英徳
コラム:歴史を刻む音楽―ある祭り囃子の「成长」 塚原伸治
《アートと歴史映写 Art and Historiophoty》
歴史?アーカイヴズ?アートの連環―青森EARTH〈2012 超群島〉/〈2013 すばらしい新世界―再魔術化するユートピア〉 飯田高誉
映像という歴史叙述 青原さとし
コラム:映像で文化を切り取る歴史実践の可能性―姫田忠义の映像製作 今井友树
パブリック?ヒストリアンへの道程―あとがきにかえて 北条胜贵
関连情报
YUTAKA SUGA “The Challenge of Public History in Japan” (International Public History 2, p.14 2020年)
冈本充弘 (『史学雑誌』129编8号 2020年)
北村厚「歴史理论」 (『史学雑誌』129编5号 2020年)
新闻での书评?绍介等:
清原和之 評 (『九州歴史科学』第48号 2020年12月)
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関礼子 (立教大学教授?社会学) 評 「専門家と市井の人々」 (『週刊読書人』 2020年4月17日)
長谷川貴彦 (北海道大学教授) 評 「日韓「慰安婦」だけでない 欧州も歴史認識に深い亀裂」 (『日本経済新聞』 2020年2月8日)