ちくま新书 これが答えだ! 少子化问题
现在、政府は2025年までに希望出生率1.8を达成することを、少子化対策や子育て支援の目标としています。少子化问题は1990年の「1.57ショック」以降、日本が抱える最大の「国难」の一つとされ、待机児童の解消、仕事と子育ての両立支援、ワークライフバランスなどさまざまな少子化対策が行われてきましたが、十分な効果を挙げているとはいえません。これはなぜなのでしょうか。
「いまはまだ子育て支援が不十分だから、子どもの数が増えない」と思う人もいるかもしれません。しかし本書は、少子化対策が国民の希望を実現しようとすれほどその実効性を確保し難くなるというパラドクス (逆説) を、統計的な社会調査の手法を中心に明らかにしようとしています。
具体的には、「女性が働けば子どもは増える」「希望子ども数が増えれば子どもは増える」「男性を支援すれば子どもは増える」といったさまざまな主张に対して、国际比较に基づく国ごとの比较、日本国内の都道府県别の比较、个人や世帯を対象とし、数年にわたり调査するパネルデータの时系列分析などを通して、必ずしも上述の仮説が成り立たないことを明らかにしています。
また豊かさと出生率の関係について、(1) 1人あたりGDP (国内総生産) の高い豊かな国は出生率が低い、(2) 日本やアジアの大都市圏は、農山村や村落部に比べて出生率が低い、(3) 世帯収入の低い女性の子ども数は多い (貧乏人の子沢山)、(4) 歴史的には、豊かな階層の子ども数は多い (=金持ちの子だくさん)、という一見複雑な事実関係を、統一的に説明する社会理論として、高田保馬という社会学者が1910年代に提案した少子化論を再構成することによって、説明を試みました。
簡単にいえば、社会の豊かな階層では、生活水準が常に生活期待水準を上回るので子ども数は多く生まれます (=金持ちの子だくさん)。また、貧困層ではそもそも生活期待水準が低いので子ども数は多く生まれます (=貧乏人の子だくさん)。これに対して社会の中間層では、自分や自分の子どもの教育水準を高めることで、他者に優越したいという「力の欲望」によって、生活水準以上に生活期待水準が高まるので、子ども数が減るというわけです。都市化が進むと、都市部に住む人は中間層的な生活スタイルをとる傾向が強いので、やはり子どもが減ることになるわけです。現在の日本の少子化対策は、福祉的な政策しか取れないため、実際の生活水準以上に生活期待水準を高める結果に終わっています。それゆえに、出生率を上昇させる効果がないことを論証しています。
このような説明は、既存の少子化対策や少子化论の中にあまり见出すことができない、稀有なものであるとともに、古典的な社会学者?高田保马の再评価にもつながりますが、同时に、子どもが多く生まれず、人口が减少するなかでも、悲観せずに社会を构想?运営する必要性を説いています。このような考察が、未来を生きる若い読者にとって、前向きに生きるための実践的なアドバイスになっていることを愿っています。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 准教授 赤川 学 / 2017)
本の目次
第1章 女性が働けば、子どもは増えるのか?
第2章 希望子ども数が増えれば、子どもは増えるのか?
第3章 男性を支援すれば、子どもは増えるのか?
第4章 豊かになれば、子どもは増えるのか?
第5章 進撃の高田保馬
第6章 地方創生と一億総活躍で、子どもは増えるのか?