少子化问题の社会学
本书は、社会问题の构筑主义の立场から、少子化问题を分析したものです。
社会问题の构筑主义とは、社会问题は人々のクレイム申し立て活动によって构筑されると捉え、これを経験的手法に基づいて研究する社会学の手法の一つです。日本の命运を左右する深刻な社会问题とされる「少子化」は、この分析に适したテーマでした。
少子化が、日本ではじめて社会问题として登场したのは、合计特殊出生率(女性が一生の间に生む子ども数の平均)が当时过去最低の1.57と判明した1990年のことです。これ以降、少子化に歯止めをかけるため、さまざまな少子化対策が実施されましたが、2017年の合计特殊出生率は1.43。少子化対策は効果を上げているとは言い难い状况です。
なぜ日本の少子化対策は失败し続けてきたのか。これを解くためには、少子化の原因がどのようなものと考えられ、そのためにどういう政策が必要とされ、その効果はどう検証されてきたかを検証する必要があります。そうした问题意识に基づき、本书では、以下のことが判明しました。
第一に、日本の少子化问题には、「言ってはいけない」タブーが存在します。たとえば日本や他の出生率が低い国では、女性が自分よりも学歴が低い人と结婚する「学歴下降婚」の割合が少ないことです。また国际的には、社会の格差を表すジニ係数が高くなると、翌年の出生率が高くなる倾向があります。さらに日本に限ると、保育サービスの公的支出の増减は出生率と関连しない倾向があります。これらの事実は、これまであまり指摘されてきませんでした。
第二に、なぜ、このような事态が生じたのか。それは日本社会における少子化の「论じ方」そのものに原因があるからと考えられます。たとえば日本の少子化言説では少子化のデメリットだけが论じられ、そのメリットが无视されてきました。また少子化対策の切り札として、仕事と子育ての両立困难を解消する男女共同参画やワーク?ライフ?バランスなどの福祉政策が中心を占めた结果、それ以外の政策可能性が狭められました。
第叁に、歴史的な因果関係をある程度确定できる过程分析を构筑主义の歴史分析の手法として导入しました。これに基づくと、仕事と子育ての両立支援や子育ての経済的支援よりも、雇用と収入の安定を目指した政策が実施された翌年には、少子化対策に効果が现れることが确认されました。
本書は一般向けの書物ですが、構築主義の方法論は少子化問題に十分応用でき、様々な知見を生み出しうることが確認できました。筆者が少子化問題について書物(単著)を刊行するのはこれが3回目ですが、自分のなかでも、ようやく「少子化问题の社会学」を思う存分、遂行できたと満足感を得られた1冊です。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 赤川 学 / 2018)
本の目次
第2章 少子化対策はなぜ失敗するのか
第3章 誰がどんな少子化対策を支持するのか
第4章 社会問題の歴史社会学をめざして
第5章 構築された性から構築する性へ
関连情报
材木和雄 (広島大学教授) 評 (『図書新聞』 2019年9月15日号)