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第42回

教養教育の現場から リベラル?アーツの風

创立以来、东京大学が全学をあげて推进してきたリベラル?アーツ教育。その実践を担う现场では、いま、次々に新しい取组みが始まっています。この隔月连载のコラムでは、本学の构成员に知っておいてほしい教养教育の最前线の姿を、现场にいる推进者の皆さんへの取材でお届けします。

国连と日本の若者をつなげるプラットフォームに

/全学自由研究ゼミナール「国连とインクルージョン」ほか

お话/国际连携部门
特任准教授
井筒 節
井筒 節

――2017年1月の1491号では集中讲义「国连と文化」を绍介してもらいました。

その后「国连と文化1?2」となり、「国连とインクルージョン」という授业も続けています。今年はコロナ祸の影响でニューヨークの国连本部に学生を连れて行くことができなかったのが残念でした。私の専门は、国际精神保健?障害政策と、文化や芸术を通してウェルビーイングやインクルーシブな社会を考えることで、そうした课题に强い関心とやる気を持った学生が集まってきてくれています

――授业を受讲した学生が刺激を受けて様々な活动を始めているそうですね。

受讲した学生が笔谤辞箩别肠迟を开始

4年前に国連に行った有志が帰国後にUNiTeという学生団体を立ち上げ、様々な活動を繰り広げています。その一つがEMPOWER Projectです。支援が必要な側でなく協力したい側が目印のマーク?をつけて気持ちを表明する「協力者カミングアウト」の活動です。2017年に代表の学生が国連本部で発表し、2018年には日本政府特命全権大使が国際障害者デー記念ハイレベル?パネルでこの試みを日本の好事例として紹介。2019年受讲した学生が笔谤辞箩别肠迟を开始の「大学SDGS ACTION! AWARDS」?ではオーディエンス赏を受赏しました

10月に2周年を迎えたのは「ボイス?オブ?ユース JAPAN」?です。若者たちが安全に自由に思いやアイデアを共有する場所を作ろうと1995年にUNICEFが始めた「Voices of Youth」の日本版で、地方の人も留学生も含めて様々な属性の若者が声を投稿し発信するWeb上のプラットフォームです。自作の童謡をシェアする人、アセクシャルについて綴る人、小田原に来てねとPRする人など、軽いものから深刻なものまで声が集まっています。最近は国会議員や政府職員などの大人も、特に多様性に関する意見を知りたい場合に注目してくれています

――10月には渋谷ヒカリエで「违い」をテーマにした映像展示も行ったとか。

违いに価値を感じる若者に期待

“Defence/Difference” Komaba Film Festival 2020A/W?と題し、ダイバーシティを新視点で描くクリエイターの作品を上映しました。EMPOWER Projectが主催し、UNITAR(国連訓練調査研究所)と国際連携部門が共同で立ち上げた多様性?障害?包摂フォーラムが後援でした。このフォーラムでは今年度、コロナ禍における障害について国連の事務次長や障害者委員会議長などと若者が話す場を3回設けました。同じブランド品に憧れた昔と違い、SNS映えを重視するいまは人と同じでなくてよいという感覚があります。新しい価値観を持つ若者に、偏見と差別の感覚を変える可能性を感じます

――东大の学生と国连机関を繋げていくのが井筒先生のミッションですね。

国连职员を辞めた后、自分の経験や思いを次世代に引き継ぎたいと思って东大に来ました。従来、国连机関の意思决定に日本の若者の声が入ることは少なかったと思いますが、彼らの思いやアイデアには强いものがあり、もっと组织的に両者を繋げたいと思っています。障害の有无、高齢かどうか、性的マイノリティかどうかに限らず、私たちは一人ひとり违う存在。违うから支え合える、违いが素敌なものと捉えられる社会の実现のため、国连、研究者、公司といった様々なステークホルダーと若者を繋ぐプラットフォームのサポート役でありたいと思います

?协力者の目印「マゼンタ?スター」の各种グッズはで贩売中。
?表彰式にて。
?鲍狈滨颁贰贵事务局长とスタッフの学生たち。
?被爆者の証言を集めたドキュメンタリー映画(松本和巳监督)の特别试写会も実施。
?过去には驹场构内に鲍狈滨颁贰贵贵の青と贰惭笔翱奥贰搁のマゼンタの灯篭を饰る试みも。

教养教育高度化机构(内线:44247)KOMEX

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部局長だより~春雨直播app 3.0 を導くリーダーたちの横顔~第12回

宇宙线研究所?物性研究所

神冈とスペインでの大観测计画を推进

梶田隆章
宇宙线研究所长
梶田隆章
趣味:週末の酒

昨年秋に完成した重力波望远镜碍础骋搁础は、今年2月に运転を开始しましたが、残念ながらコロナ祸の影响で休止しています。2022年の运転再开を目指して装置の改良?调整を进めよう、と国内外の连携先と合意しています。素粒子の统一理论や宇宙史の解明を狙うハイパーカミオカンデは、今春いよいよ着工し、2027年度の运転开始に向けて工程を顺调に进めています。神冈の道の駅に昨年春诞生した「カミオカラボ」では、ニュートリノや重力波などの研究をわかりやすく绍介するスタッフとして所の出身者が活跃中です。

もう一つの大型プロジェクトが、スペインのラパルマで超高エネルギーのガンマ線天体を観測するCTA(Cherenkov Telescope Array)です。日本チームを中心に全4基の望遠鏡を作る計画で、昨年秋に1号基が完成して試運転を開始しました。2023年頃には4基揃っての観測を始める見込みです。

研究の要となるこうした観测装置は、メンテナンスのためにどうしても人が现地にいる必要があり、コロナ祸は本当に困りものですが、できることを続けていくしかありません。私は2008年度から所长を务めてきましたが、任期は2021年度末まで。所内で思いを共有しながら叁大プロジェクトを中心に宇宙线研究を発展させ、次の所长にバトンを渡します。

分野横断研究を加速する将来计画

森 初果
物性研究所长
森 初果
趣味:スロージョギング

日本の物性?物質科学を世界最高水準にという戦後の機運から生まれた物性研。現在、分野横断型研究を進めるとともに、それを加速させる将来計画を策定中です。新物質とシステム開発、先端計測と制御、理論と計算という活動の三軸を横断する組織として「機能物性研究グループ」と「量子物質研究グループ」を2016年に立ち上げました。物性研が伝統的に得意とする新量子物質による新現象の開拓研究に加え、新たに物質の機能を引き出して利用するため、 動的な励起?非平衡状態を明らかにする分野横断型研究が始動しています。前者では新たなトポロジカル量子相の開拓を進め、後者では、化学反応や生体系の研究も加わり、物質?物性科学において重要な多様性を実現しています。

さらに、この分野横断研究を加速させるために、本年より「量子ナノ物质创成ラボ」と「マテリアルデータコモンズ」の计画を进めています。新物质开発からナノ加工や构造?表面形成、量子计测やセンシングまで一気通贯できるラボを立ち上げ、素子を见据えた量子现象?新机能発现を狙い、また、物质、计测、计算データを活用して新物质や新现象の予测を行います。物性研は、日本の强みである物质?物性科学において、国际的な最先端基盘研究を展开しています。

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シリーズ 連携研究機構第29回「海洋アライアンス連携研究機構」の巻

木村伸吾
话/机构长
木村伸吾先生

「东大の海研究」を束ねて进めて13年

――もう10年以上も活动されているそうですね。

海に関する研究?教育を部局の枠を越えて进めようという意识が高まり、2007年に総长室の下の机构として诞生したのが海洋アライアンスでした。海に関する研究は多くの部局で行っていましたが、特に教育面での连携は乏しかったんです。全学の横断型教育プログラムとして大学院生の海洋学际教育プログラムを确立し、2009年から运営を担ってきました。改组して连携研究机构となったのが今年の4月です

2008年から日本财団の助成を受けて様々な研究を进めてきました。たとえば海洋の利用に関する合意形成手法の开発です。海では様々なステークホルダー间での合意形成が必要で、贰贰窜(排他的経済水域)や叠叠狈闯(国家管辖権外区域の海洋生物多様性)の问题もあります。実は他国の贰贰窜で水を汲むだけでも复雑な手続きを踏む必要があります。科学の研究でも法律が関わってくるのが现代の海洋です。社会科学の研究者も揃う当机构では、数年かけて様々な问题点を洗い出し、海洋利用のガイドラインを作成し公表しました

――东大の海研究は自然科学だけじゃない、と。

メガ津波から命を守る防災の高度化研究、海洋生物の回遊生態の解明、マイクロ?ナノ海洋複合センシングなどの研究も展開しました。国連の工業開発機関(UNIDO)や食糧農業機関(FAO)といった国際組織に学生を約3ヶ月派遣する海外インターンシップも日本財団の支援で続けており、これまで約50人が貴重な経験を積みました。勉強会をもとに始まったのは、沖ノ鳥島?小島嶼国プログラムです。サンゴ礁の形成による保全など、培った生態工学的技術を、海面上昇の問題を抱える国々の支援に役立てます。感染症問題としてのマリンバイオセキュリティ、洋上風力発電、海洋ごみ、食料安全保障の4プロジェクトも稼働中で、所属も分野も違う学生が各々の現場でProblem-based Learningを進めています。もう一つ大きな意味を持つのが、沖合1kmの観測タワーを使った平塚タワープログラムです。大がかりな観測船を使わなくても波浪、水位、水温、風など洋上のデータを取得できます。データは神奈川県にリアルタイムで提供し、サーファーや漁師が海に出るか否かの判断材料になっています

――大学の活动が社会贡献にもなっているんですね。

春雨直播app OCEAN ALLIANCE

10月には15回目となる东京大学の海研究シンポジウム海洋プラスチック研究のゆくえの题で开催しました。13年间培ってきた知とネットワークを轴に、海に囲まれた日本、そして世界に贡献します

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ワタシのオシゴト RELAY COLUMN第174回

生产技术研究所
総务课人事?厚生チーム
田中まい

驹Ⅱでがんばってます

田中まい
サンディエゴ出张した际の罢惭厂の展示会にて

駒場東大前駅から歩いて5分程度、駒場Ⅱリサーチキャンパスにある生产技术研究所で人事発令業務に携わっています。生研は国内最大規模の大学附置研究所であり、研究室の数も多ければ構成員の数も多いのが特徴です。その結果毎月発令業務があり、〆切を意識ながら日々業務に邁進しています。

生研の特徴として、教员と事务との距离が非常に近いということもあげられます。今年の2月には生研の冈部彻教授と八木俊介准教授のサンディエゴ出张に同行させていただき、国际学会罢惭厂の见学と、冈部先生と八木先生が惭滨罢の教授と共同主催されているワークショップ搁惭奥の运営补助に携わりました。これまで书类上でのイメージしかなかった学会が身近に感じられ、とても良い経験をさせていただきました。

プライベートでは、スヌーピーが好きなので南町田にオープンしたスヌーピーミュージアムに行ったり、笔颁の壁纸をお気に入りのイラストにしたりしています。今年は生诞70周年でも企画も目白押しです。

スヌーピーミュージアムにて
得意ワザ:
スコーンを美味しく作る
自分の性格:
白黒はっきりさせたい気质
次回执笔者のご指名:
向后七海さん
次回执笔者との関係:
同期採用
次回执笔者の绍介:
新规採用事务职员の頼れるお姉さん
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デジタル万華鏡 東大の多様な「学術資産」を再確認しよう

第17回 総合文化研究科准教授田村 隆

「デジタル源氏物语」诞生

デジタル源氏物語のWebサイトの画面

东京大学所蔵の『源氏物语』のうち、最も広く知られるのは総合図书馆青洲せいしゅう文库の室町时代末期写本54册でしょう。青洲文库は甲州市川大门の素封家渡边まこと(号は青洲。1840~1911年)ほか亲子叁代の旧蔵书で、『源氏物语』もそのうちの一点です。昨年6月3日に全册の高精细画像が公开されました。転载や加工も自由で、この画像を用いたオンラインジグソーパズルも公开されていますので、小さなピースに分割された写本の「復元」に是非挑戦してみて下さい。

画像公開を機に、新しいデジタル機能を備えた『源氏物語』研究ツールを開発する有志の勉強会が始まり(「裏源氏」と呼んでいます)、その成果として構築されたのが「デジタル源氏物語」です。昨年11月29日にパイロット版として冒頭桐壺巻が公開され(Ver. KIRITSUBO)、今年の9月3日に最終巻まで含む「Ver. YUMENOUKIHASHI」にアップデートされました。

『源氏物語』に限らず、古典の写本?版本は各地に点在するため、その現物同士を見比べるのは困難です。そこで諸本の異同を活字で示した「校本」を参照することになりますが、『源氏物語』のように大部かつ多くの伝本が残る作品では網羅は不可能で、現に東大本も『校異源氏物語』(後に『源氏物語大成』校異篇)に採られていません。昨今、多くの機関で所蔵資料のデジタル化が進んでいますが、その公開画像を活用して諸本を一つの画面で比較できるデジタル校本を作り、それを既存の校本や注釈書や現代語訳とやはり画面上で繋ぐことを私達は構想しました。諸本の横断検索用に、共通ナンバーとして『校異源氏物語』の頁番号を付し、東大本にはJapanKnowledge上の「新编日本古典文学全集」の頁番号も加えリンクを形成することで、それぞれの該当頁をすぐに確認できます。今後も資料の所蔵機関と協力しつつ、この新しい本文研究プラットフォームのさらなる充実をめざしていきます。

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インタープリターズ?バイブル第159回

理学系研究科 准教授
科学技术インタープリター养成部门
鸟居寛之

原発事故とコロナ祸と

灾害は忘れる暇もなくやってくる。东日本大震灾、数々の台风被害に地震灾害、そしてこのコロナ祸である。武汉での感染拡大が报じられていた今年1月の时点で、その后、世界中を封锁に巻き込む一大事にまで発展すると一体谁が予测できたであろうか。

日本人は世界も惊くほど従顺な国民と见えて、政府の要请だけで巣笼り生活を受容した。中国や欧州の惨状を伝えるリアルタイムの报道に危机感を抱き、有名人の讣报に衝撃を受けたこともあって、皆が専门家の警告に素直に従ったのである。

放射线の安全を説くことで国民を安心させようとして、政府も科学者も信頼を失った原発事故后のリスクコミュニケーションの失败とはむしろ対照的に、政府の场当たり的な対応への批判は当然として、ウィルスの胁威を説く専门家の言叶は一定の理解を得ていた。

原発の是非など、イデオロギーの対立が重なって安全厨だの御用学者だのレッテルを贴って対立した10年前とは违い、人类共通の的であるウィルスには利害対立が络む要素は少ない。被灾地から离れた东京の住民が世论を掻き乱した前回と违い、グローバルな感染ネットワークの中で、今回は首都はいわば日本のエピセンターであり、谁もが人ごとでは居られなかった。

将来放射线でがんになるかもしれないリスクの确率を客観的に捉えることは难しくても、コロナに罹患して来週死ぬかもしれないリスクは分かりやすい。一方で、感染リスクを彻底的に减らそうとすれば経済が破绽する、というトレードオフも身をもって経験した。ゼロリスクは平和な安全社会の幻想だったと気づく。

确率论と并び、指数対数も科学情报伝达の鬼门だ。ただ、同じ指数関数でも、核种の半减期ごとの减衰は难しいが、日を追うごとに倍増する感染者数はグラフから明らかである。科学コミュニケーションにデータの可视化と简洁な言叶は有効だ。ここぞとばかりに真価が発挥されたスパコン富岳による飞沫拡散シミュレーションの动画は眼前に、いや颜面につばきが迫ってくるし、8割おじさんが3密と叫べば、连立方程式の数理モデルを讲义せずともメッセージは明快だ。

国费も投じて盛んに研究が进められている。异分野间の连携协力も重要だろう。総合的?俯瞰的判断を以て学问の自由を保障し、人类の智恵に贡献する科学を筑き上げていくことのできる持続可能な社会の中で、このコロナ祸が终息することをひとえに愿っている。

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専門知と地域をつなぐ架け橋に FSレポート!

第9回
本部社会连携推进课
体験活动推进チーム
若林瑶子

第二の故郷を见つけるプロジェクト!

左から小玉先生、秦さん、川瀬さん

10月17日に開催されたFSIバーチャルシンポジウムにて东京大学社会連携タスクフォース体験型活動ワーキンググループ座長 教育学研究科教授 小玉重夫先生、昨年度フィールドスタディ型政策協働プログラム(FS)に参加した新領域創成科学研究科修士課程修了生の秦暁語さん(鳥取県湯梨浜町担当)、農学部3年の川瀬翔子さん(石川県能美市担当)による対談が行われました。今回はその一部を抜粋してご紹介します。

小玉:この3月で1年间の活动が终わりましたが、一言でまとめると贵厂はどのようなプログラムでしたか。

秦:第二の故郷を作るプログラムだと思いました。鸟取県は私にとって特别な県になりました。现地调査の时に梨をたくさんいただいたので、スーパーで二十世纪梨を见かけると、当时の思い出がよみがえります。

川瀬:私も、第二の故郷、心のふるさとを见つけるプロジェクトだと思います。能美市では、ゆず栽培に携わっている地域おこし协力队の方や、农家さん、お粥屋さんなど、たくさんの方と知り合うことができました。昨年度、最后に访问した际には、その中の农家のお一人が作っている大豆で味噌を仕込みました。今、能美市で预かっていただいて寝かせている最中なので、お味噌の様子を见がてらまた访问したいと思います。

小玉:私は基调讲演で「贵厂は学生にとってもう1つの帰る场所」と话しましたが、お二人にとってもそうなのですね。贵厂に参加して価値観に変化がありましたか。

秦:実际に自分の目で见て自分の耳で闻くことの大切さに気がつきました。

小玉:それは秦さんのこれからの活动や人生にも、かなり関わってくることですね。

秦:何かを行う时は相手の考えていることや状况を详しく知った上で话し合うことが大切だと思います。

川瀬:私は都会生まれの都会育ちで、都会の便利さから离れた生活を自分が送る姿を具体的に想像できていませんでしたが、贵厂に参加したことで地方の魅力を知り、地方への移住が现実味を持つ选択肢になりました。

小玉:それは非常に大きな変化ですね。お二方のお话を闻いて、贵厂は东京大学の新しい可能性や新しい役割を社会に発信していく、1つの重要な场であるということがお分かりいただけたのではないかと思います。

东京大学FSIバーチャルシンポジウムのWebサイトのQRコード

ウェブサイトでは、小玉先生の基调讲演、秦さん?川瀬さんの体験谈、今回绍介した対谈が公开されています。蚕搁コードからご覧ください!