インターメディアテク开馆十周年记念特别展示 极楽鸟
人はいかに鸟に憧れ、どこに着目して鸟を描いてきたか。あるいはその憧れがどのような観念をもって具现化されたか。そして、そのイマジネーションの元となった実际の鸟の姿はどんなものか。
本書は2023年に開催されたインターメディアテク開館10周年記念特別展時『极楽鸟』の図録である。この展示はレコール ジュエリーと宝飾芸术の学校との共催で、鳥をモチーフとした宝飾品と、そのデザインの元となった鳥の標本を並行して見せる、独創的なものとなった。精密なインレイで描かれた雌鶏とヒヨコ、羽毛を表現するために彫金とエナメルで表現されたツバメ、極めて写実的で種すら同定できるラケットハチドリのブローチ、もはや「概念上の鳥」としてデフォルメされたピエール?ステルレの一連の作品。それらに呼応して、人間が利用するために品種改良を尽くしたニワトリ、飛行と求愛のために研ぎ澄まされた翼と尾羽を持つツバメ、宝石に負けない輝きを見せるラケットハチドリ、芸术家の妄想に劣らず奇怪な冠羽を振り立てたヤツガシラの剥製などが、来館者を出迎えた。インターメディアテクは「アート&サイエンス」を館のモチーフの一つとしている。その中で、まさにアートとサイエンスが融合した展示となったわけである。
本展示、そして本書のタイトルとなった极楽鸟とはフウチョウ類の総称であるが、この鳥は16世紀に初めてヨーロッパ人に知られた際、足も翼もなく、不思議な飾り羽を持ち、生涯地上に降りることなく風に乗って飛び続ける、天上の鳥とみなされた。それゆえに英名は「Bird of Paradise」である。だが、実態は単に、翼は他の客に売られ、さらに輸送の邪魔になる足を切り落とした状態で売っていただけであった。そして、その優雅な羽の実態は、オスがメスに求愛するための飾り羽である。フウチョウ類は種ごとに異なる奇抜な飾り羽を持ち、これを見せながら踊ることでメスを繁殖に誘う。
人間の想像を軽々と超えてくる自然の実態、そしてその姿に想起されて「天上の鳥」の逸話を紡ぎ出す人間のイマジネーション (もしくは妄想)、この二重奏が、一方で文化や科学の発展を促し、また一方で人間による勝手な決めつけや乱獲をも生んできた。事実、生きたフウチョウを最初に見たヨーロッパ人である博物学者アルフレッド?ウォレスは「文明人がこの鳥を見つけたら一体どうなるか」と危惧している。残念なことに、その懸念は最悪の形で的中するのだが。
本书は生存と繁殖のために进化し続けた鸟类に、美に憧れる人间が出会い、それをジュエリーデザインという形に昇华させた人类の饱くなき努力の歴史を、各分野の専门家が记したものである。自然の惊异と人类の叡智と欲望、すなわち自然史と人文史を俯瞰する一册と言えるだろう。
(紹介文執筆者: 総合研究博物馆 特任准教授 松原 始 / 特任研究員 大澤 啓 / 2024)
本の目次
- はじめに 大澤 啓/松原 始/ギヨーム?グロリユー
- ジュエリーにおける鳥 ギヨーム?グロリユー
- 鳥の美をめぐる生物学 松原 始
- 展示物目録 シャルリーヌ?クボー/ジョエル?ガルシア/マリオン?ムシャール/レオナール?ブイ/マリオン?シャーク=ミレー/松原 始/大澤 啓
- 展示会場風景
- 鳥のポートレート――博物学者の筆から自然主義芸术家の眼差しまで ジョエル?ガルシア
- 鳥の蒐集――ルネサンスからフランス第二帝政まで カトリーヌ?カルディナル
- 芸术の対象としての鳥 マリオン?シャーク=ミレー
- 鳥――完全なる象徴 ジャック?キュイザン
- 音楽作品における鳥の表象 大澤 啓
関连情报
レクチャー?シリーズ『极楽鸟展を巡って』
キュレーターズ?トーク (展示紹介) (2023年1月20日)
鸟の羽、その伝説とモチーフ (2023年3月3日)
発色のメカニズム:鸟の羽と贵石 (2023年3月11日)
鳥に耳を傾ける (鳥と音楽) (2023年4月28日)
动画:
音楽パフォーマンス『鳥を奏でる』 Music Performance "Cello and Birds"
2023. 4. 25. インターメディアテク COLONNADE3(ギャラリー3) (INTERMEDIATHEQUE|YouTube 2024年10月18日)
特別展示『极楽鸟』 Special Exhibition “Birds in Paradise” (INTERMEDIATHEQUE|YouTube 2023年3月17日)
インタビュー:
ジュエリーと学術標本、ドローイングから見る鳥の世界。3人のキーパーソンが語る「极楽鸟 BIRDS IN PARADISE」 (美術手帳 2023年3月8日)
研究者コラム:
大澤啓「特別展示『极楽鸟』開幕」 (INTERMEDIATHEQUE)
大澤啓「夜の森」 (INTERMEDIATHEQUE)
松原始「極楽の鳥」 (INTERMEDIATHEQUE)
関连记事:
インターメディアテク開館10周年記念の特別展示『极楽鸟』が話題!ヴァン クリーフ&アーペルが支援する「レコール ジュエリーと宝飾芸术の学校」と東京大学総合研究博物馆が主催 (Precious.jp 2023年1月26日)
特別展示「极楽鸟」東京?インターメディアテクで、“鳥”をモチーフとした宝飾品を科学の視点とともに紹介 (Fashion Press 2022年12月28日)
展覧会レポート:
滨惭 2023年1月19日