改革开放萌芽期の中国 ソ连観?东欧観から読み解く
现在の中国は、「大国」へと変貌を遂げた。そのあり方や国际社会での立ち居振る舞いについては様々な评価があるが、それらの评価がどうであれ、世界の中国研究者は、中国が「大国」化した起源について学术的考察を深めなければならない。
では、その起源とはどこにあるのか。
复数の解答があり得るが、そのうちの有力な一つが、高度経済成长の基盘を整えた1970年代から1980年代までの、いわゆる改革开放萌芽期である。本书は、この萌芽期の道程を1980年代の政治体制改革论に注目して整理したものである。より简洁に言えば、本书は、改革开放萌芽期の政治体制改革论を歴史化することで、中国を「大国」へと导いた起源の一つを解明したわけである。
本书の具体的な问いは、次のとおりである。中国は、社会主义诸国が世界各地で动揺した1980年代に、ソ连や东欧诸国の経験を踏まえながら、改革开放を轨道に乗せようとした。ところが、中国は、それらの国々とは异なる道を歩むことになった。それは一体なぜなのか。当时の中国は、どのようにソ连や东欧诸国を観察し、どのように自己を変革しようとしたのだろうか。
本書は、この課題に応えるために、次のキーワードを設定した。すなわち、党の権力、国家と自治、労働者の自主性、民主と法治 (「民主と法制」ないしは「社会主義的法治国家」)、多党制、選挙制、幹部制、公開性である。ただし、私たち日本の中国近現代史研究者は、欧米圏の中国研究者のように、これらのキーワードを何らかの理論を用いて分析する方法論には与しない。私たちは、当時の関係者の言説に基づきながら、実証を重んじる方法論を採用することにした。と同時に、ヨーロッパ現代政治史研究者や政治学研究者と協働しながら、当時のソ連や東欧諸国と比較する視点を重視した。
现代中国の起源としての改革开放史を研究することは、日本でも中国でも欧米诸国でも端绪についたばかりである。私たちは、日本の自由な学术环境から生み出された実証を重んじる本书を通じて、世界の改革开放史研究がますます深化していくことを期待している。もちろん、私自身もその努力を惜しむつもりはない。私は、2026年春に东洋文库の英文ジャーナルModern Asia Studies Review (Vol.17) で特集号「中国の改革开放を歴史化する」を组む予定である。そして、世界の研究者と协力しながら、改革开放史研究の学术性を世界规模で高めていきたい。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 教授 中村 元哉 / 2024)
本の目次
Column 1 「民主」と「法治」という難問──「1980年代末のヨーロッパ」からの眺め|網谷龍介
Column 2 ルーマニアから見た中国──オリエンタリズムとコミュニズムの狭間|ホルカ イリナ
制度改革论
1 政治体制改革と党の権力|中村元哉
2 政治体制改革を促す国家の性质と自治のあり方|中村元哉
3 労働组合の改革と労働者の自主性|久保茉莉子
4 社会主義体制下の民主と法治|吉見 崇
5 多党制の是非|家永真幸
6 直接选挙と竞争原理の导入|家永真幸
7 人材の育成と任用をめぐる制度改革|久保茉莉子?宋 君宇
Column 3 労働組合と勤労者評議会──チェコスロヴァキアの模索|中田瑞穂
Column 4 旧東欧諸国の多党制|中田瑞穂
改革の论理を导くソ连?旧东欧诸国に対する评価
8 ネップに対する评価と改革の论理|横山雄大
9 フルシチョフに対する评価と改革の论理|河合玲佳
10 旧東欧諸国の変動およびペレストロイカに対する評価と改革の論理|吉見 崇
11 天安門事件直後のグラスノスチをめぐる評価|比護 遥
Column 5 ソ連共産党の1961年綱領?規約における体系的更新原則について|松戸清裕
文献案内|河合玲佳/宋 君宇
関连情报
自着解説:
中村元哉「1980年代の中国はソ連?東欧をどう見ていたか」 (中国学.com 2023年10月23日)
研究プロジェクト:
科学研究費助成事業 (基盤研究 (A)) 2021-2025年度
「中国の改革开放萌芽期の再検讨:メディア空间からみた旧东欧との分岐」