
书籍名
薄れゆく境界线 现代アメリカ小説探访
判型など
224ページ、四六判
言语
日本语
発行年月日
2022年11月24日
ISBN コード
978-4-06-529784-1
出版社
讲谈社
出版社鲍搁尝
学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)
英语版ページ指定
本书はアメリカの现代小説に関する「见取り図」を描こうとする评论书である。アメリカの现代小説に関する既存の概説书や研究书を繙いてみると、1980年代までを扱ったものの中心はメタフィクション、90年代以降を扱ったものの中心は人种系文学となっていることが多い。本书の议论は、こうした时代的区分に同意しつつも、その区分を包括する俯瞰的な视座を维持しようと努めながら进められている。
そのような目的意識に基づき、各章においては、現代アメリカ文学シーンを彩るさまざまなジャンル / タイプの小説をとりあげ、それぞれを代表する作家を数人ずつ紹介している。原則として、主に冷戦期に活躍した作家を一人、冷戦後に (も) 活躍した作家を一人ずつは含めているが、これはそうすることによって、それぞれのジャンルの展開を観察することに加え、時代の変化といったものを示唆するためである。こうした「原則」が適用されていない章もあるが、それは冷戦期によく書かれたタイプの小説が、冷戦後には書かれにくくなっていったということもあれば、冷戦期までは目立たなかった (あるいは、ほとんど書かれようもなかった) タイプの小説が、冷戦後に書かれるようになったということもあるからだ。
こうした推移への意識は、必然的に、本書の議論に「戦後文学史」的な性格を与えている。それは本書全体の構成にも通底しており、前半ではいわゆる「ジャンル小説」を含むさまざまなタイプの小説が、主として白人作家の作品を中心にとりあげられているのに対し、後半では主に「人種系文学」が扱われている。こうした配列になっているのは、人種系文学の興隆が (冷戦期に始まったものの) 冷戦後のアメリカ文学において目立った特徴であるためである。
本書のタイトルは、20世紀後半以降のアメリカ文学を、「薄れゆく境界线」をめぐる攻防という観点から捉えようとしていることに由来する。第2次世界大戦の終結と冷戦の開始は、アメリカと共産圏とのあいだに深い境界線を刻んだが、経済的繁栄と社会運動により国内の (既存の) 境界線は薄れていったし、冷戦が終わると、インターネットの出現もあり、目に見えて加速するグローバル化によって「アメリカ」自体の輪郭=境界線がぼやけていくことにもなった。境界線の消失は、アイデンティティの輪郭=境界線がぼやけることに通じ、それはポストモダンの時代に「近代的自我」が希薄化したという通説にも合致する。そのような時代に、「近代」の産物たる「小説」がどう応接してきたのか――その「見取り図」を作成することが本書の目的である。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 准教授 諏訪部 浩一 / 2023)
本の目次
第1章 ?知らない世界」はどこに──风俗小説
第2章 「場所の感覚」──リージョナリズム / 南部小説
第3章 「貧乏白人」という表象──「ラフ?サウス」の文学
第4章 ?普通」の地域に住む「普通」の人々──郊外小説
第5章 阶级问题の再导入──ノワール小説
第6章 駆逐される「闇」──ゴシック小説
第7章 一回かぎりのプロジェクト──ロード?ノヴェル
第8章 したたかなサバイバル──ドロップアウト小説
第9章 アメリカの「お家芸」──戦争小説
第10章 ポストモダン的认识の向こうに──メタフィクション
第11章 なぜアメリカはこうなってしまったのか──歴史小説 (1)
第12章 混沌とした「現実」への不安──歴史小説 (2)
第13章 フェミニズムとの距离──女性文学
第14章 脱特権化のなかで──ゲイ / レズビアン小説
第15章 受苦への批评的まなざし──ユダヤ系文学
第16章 「抗議小説」をこえて──黒人文学
第17章 「個」と「全体」──先住民文学
第18章 差異への感受性──アジア系文学 (1)
第19章 強制収容の体験 / 記憶──アジア系文学 (2)
第20章 祖国、そしてアメリカ──アジア系文学 (3)
第21章 葛藤なき成熟?──アジア系文学 (4)
第22章 境界を意识させる「越境」──チカーノ文学
第23章 「裏庭」の視線──カリブ系文学
第24章 外部などどこにもありはしない──异境小説
第25章 「自然」と「共同体」──エコフィクション
第26章 フォークナーからモリスンへ──反近代小説
あとがき
书名?作品名索引
作家名索引
関连情报
江戸智美 評(Yasushi Kaneko|note 〔図書新聞 No. 3582 2023年3月11日より転載〕)
関连记事:
「「エコフィクション」米で活況、小説が見つめる自然と人間 東大准教授?諏訪部浩一さん寄稿」 (朝日新聞 2023年2月22日)