讲谈社选书メチエ 英语の阶级 执事は「上流の英语」を话すのか?
イギリスではアクセントや発音は話し手の出身地という地理的な要素だけでなく、その人の出身階級をも表す。例えばロンドンの訛り、リヴァプールの訛り、イングランド北部ヨークシャーの訛り、スコットランドの訛りなど、それぞれの地方の方言があるのは他の国と同じだが、その方言を話すのはその土地のワーキング?クラスかロウワー?ミドル?クラスであり、アッパー?ミドル?クラスとアッパー?クラスはどの土地に住んでいようと、どこの出身であろうと、地方の訛りの無い、一種の「標準英語」を話すのだ。この英語は過去にはその時の君主によってキングズ?イングリッシュとかクイーンズ?イングリッシュ、あるいはパブリック?スクール?イングリッシュなどとも呼ばれてきたが、今ではReceived Pronunciation (「容認発音」) という呼び方が定着している。このようにイギリスでは英語はその話し手の階級と密接な関係にあるのだが、その関係は複雑なものである。ある人物の話す言葉が丁寧で洗練されているように聞こえるから、あるいはフランス語やラテン語に由来する表現が多く使われているからと言って、それは必ずしも「アッパー?クラス」の英語ではない。例えば相手の言うことを聞き返すのに、もともとはフランス語から来た、‘pardon?’ という表現を使うことは「あまり品が無い」と言うイメージがイギリスでは定着している (‘I beg your pardon?’ ならばまだよい、と言われている)。ならばどう言えばよいのかと言うと、‘sorry?’ あるいは ‘what?’ の方が「アッパー?クラス的」なのである (ただし特に親しくない相手や目上の相手に ‘what?’ などと言うと、かえって失礼なので、注意しなければならない)。そうなると、イギリス発の映画やドラマでよく登場する「執事」の英語は極めて丁寧で洗練されているように聞こえるが、実際はどのように受け止められているのだろうか。本書では「執事の英語」、「礼儀正しい英語」とはどういうものなのかを出発点して、イギリスにおける英語と階級の複雑な関係を考察する。さらにアッパー?クラスやアッパー?ミドル?クラスの英語、ロウワー?ミドル?クラスの英語、ロンドンの「コックニー」、リヴァプールの「スカウス」などの訛りのある英語、そしてアメリカ英語など、様々な種類の英語に関するイギリスにおけるイメージを、小説や映画、テレビドラマの例などに目を向けながら、イギリスで育った著者自身の経験も交えつつ、紹介し、分析する。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 新井 潤美 / 2023)
本の目次
序 章 「礼儀正しい」英語はややこしい?
第1章 执事の英语が语るもの――「洗练された」ロウワー?ミドル?クラス
第2章 「鲍」と「苍辞苍-鲍」――何が「上流」で何が「上流ではない」のか
第3章 アメリカの悪しき (?) 影響――アメリカ英語と階級の複雑な関係
第4章 アッパー?クラスの英语と発音――『マイ?フェア?レイディ』の舞台里
第5章 ワーキング?クラスの英语――魅力的な讹りの世界
終 章 標準的な、「正しい」英語とは?――BBCの試行錯誤
おわりに――「外国人」の英语
主な参考文献
関连情报
新井潤美「学校では教えてくれないイギリス英語の世界! 書籍のオーディオブック化に著者が感じたこと」 (讲谈社学術文庫&選書メチエ 2023年7月21日)
新井潤美「キャサリン妃?母の「トイレ」の呼び方が、イギリスで大問題になった理由」 (讲谈社学術文庫&選書メチエ 2022年4月27日)
新井潤美「NHKとBBC、アナウンサーの「キャラ」を比べて見えた「英語の特徴」――日本人が知らない「英语の阶级」」 (讲谈社学術文庫&選書メチエ 2022年4月14日)
书评:
村上陽一郎 評「英社会の内実反映「抜群に面白く」」 (毎日新聞 2022年5月14日)
书评 (产経新闻 2022年5月8日)