英语教师のための英语史
英语史と言うと过去の英语を対象にしているといった印象が强いのではないでしょうか。一方、英语教育の分野では当然のことながら主たる関心は学习?教育の対象である现代英语ということになります。「过去志向」の英语史と「现代志向」の英语教育はあまり接点がないと思われたとしても不思议ではありませんが、実は英语史は现代英语に见られるさまざまな不规则性に説明を与えてくれるといった点で「现代志向」であるとも言えます。
英語では、mind (心) とmental (心の)、moon (月) とlunar (月の) のように意味は関連するのに形態上の繋がりが見られない語群が多く見られますが、なぜでしょうか。英語の語彙に見られるこうした「不透明性」は、歴史上英語が多くの外来語を借用してきた結果、類似の概念が本来語と並んで外来語 (とりわけフランス語やラテン語) でも表されていることに起因します。たとえば、mindとmoonは本来語ですが、mentalはフランス語またはラテン語に由来し、lunarはラテン語から借用された語です。
英語史は現代英語に見られるさまざまな不思議 (不規則性) を解き明かし、さらに英語学習者の英語に対する興味を喚起し学習意欲を促進させる可能性があります。このような英語教育における英語史の実践的活用を目指して書かれたのが『英语教师のための英语史』です。
本書は、中学校や高等学校で学ぶ英語のより深い理解を目指して、古英語から現代英語までの英語の変遷を、古英語 (第1章?第2章) から中英語 (第3章?第4章)、初期近代英語 (第5章?第6章)、後期近代英語 (第7章?第8章) をへて現代英語 (第9章) の順に辿っていますが、常に現代英語との関連が意識されています。一例を挙げると、現代英語と最も距離のある古英語を扱った箇所では、この時期の人称代名詞は2人称代名詞でも1?3人称代名詞と同様,単複が形態的に区別されていたことが示され、その後本来複数形であったyouが単数形としても用いられるようになったと説明されます。これにより、現代英語の人称代名詞でなぜ2人称だけに単複の区別がないのか、また単数のyouに対してもyou is/wasとはならずyou are/wereのようにbe動詞の複数形が使用されるのかという疑問が氷解するでしょう。各時代の英語を概観した章の後には、それぞれの時期の英語で書かれた英文学作品の抜粋が添えられています。つまり読者は中英語を学んだ後で、チョーサーの英語にふれ中英語を体感できる仕組みとなっています。さらに、各章には英語史に関する興味深いエピソードを紹介した「ほっと一息Tea Time」というコラムがあり読者を飽きさせない工夫が見られます。また章末にはClassroom Activity (巻末にその解答?解説がある) も付されており、中高の英語教員が教室で活用することもできます。
本書のタイトルは、「英語教師のための」となっていますが、この本を読むと英語学習者が英語に関して抱いているさまざまな疑問 (なぜdoubtのbは綴られているのに発音されないのかなど) が解き明かされていくので、英語や英文法に関心のある学生にもお勧めできるかと思います。
(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 教授 寺澤 盾 / 2020)
本の目次
序章 イントロダクション
—英語史と英語教育のインターフェイス— - 山本史歩子?片見彰夫?川端朋広
第I部 古英語 (450-1100)
第1章 古英語 -
第2章 Beowulf (ベーオウルフ) - 鈴木敬了
第II部 中英語 (1100-1500)
第3章 中英語 - 片見彰夫
第4章 Chaucerの言语と作品 - 大野英志
第III部 初期近代英語 (1500-1700)
第5章 初期近代英語 - 家入葉子
第6章 Shakespeareの英語 - 福元広二
第IV部 後期近代英語 (1700-1900)
第7章 後期近代英語 - 山本史歩子
第8章 Victorian Novelsの文体と文法
—Wilkie CollinsとConan Doyleを中心に— - 秋元実治
第V部 現代英語 (1900-)
第9章 現代英語とグローバル化 - 川端朋広
あとがき
Classroom Activityの解答と解説
参考文献
索引
执笔者绍介
関连情报
古田直肇 評 (『英語教育』第67巻第7号,pp.91-92 / 大修館書店 2018年月9号)