ノブレス?オブリージュ イギリスの上流阶级
イギリスのアッパー?クラスはイギリスの国の歴史を筑き上げてきた存在でありながら、今や大部分のイギリス人にとっては、じっさいに会ったり交流したりする机会がほとんどない、远い存在でもある。それでも长いこと政治や文化の中心にあった彼らの姿はイギリスの演剧、小説、絵画、そして20世纪以降には映画やテレビドラマなどの映像作品に频繁に登场し、イギリスの歴史と文化の重要な部分としてみなされてきた。そういう意味では、执事、メイドなどの、小説や映画、そしてドラマでお驯染みでありながら、本物を见ることがなかなか难しい「イギリスの使用人」と似たような存在とも言えるだろう。
本书はこのようなアッパー?クラスのイメージがイギリスの文学や文化の中でどのような表象をされているかを取り上げたものである。贵族や地主阶级の歴史をたどるものではないし、イギリスにおける彼らの歴史的、政治的役割を描くことを目的とした书物ではない。本书の目的は、イギリスの社会、文化の中でアッパー?クラスのどのような要素、どのようなイメージや実态が知られているのかに目を向けて、その背景や内容を见ていくことである。
イギリスの「アッパー?クラス」の爵位や称号、相続制度、教育、言叶とアクセント、生活习惯、そして「ミドル?クラス」との微妙な関係などの要素は、国外はもちろんのこと、イギリス国内でもしばしば混乱を招き、特に20世纪以降の小説や演剧、映像作品等では间违って描かれることもある。イギリスの相続制度が、贵族や地主阶级の次男以下の息子たちを「ミドル?クラス」に送りこむことによって生じる、「アッパー?クラス」と「アッパー?ミドル?クラス」の関係も、复雑でわかりにくい部分が多い。本书では小説や演剧などの文学作品、映画やドラマなどの映像作品、そして実在の人物の例なども挙げながら、イギリスの「アッパー?クラス」の様々な要素、表象を理解し、彼らがどのようなかたちでイギリスの文化の一部をなしているのかを见ることを目的としている。ともすればイギリスの外では违ったイメージをもたれがちなイギリスのアッパー?クラスについて、イギリスでのイメージ、表象、受けとめられ方の一部を绍介することによって、「アッパー?クラス」のイメージのみならず、イギリスの文化の特徴や独自性をも明らかにしようと试みたものである。
(紹介文執筆者: 人文社会系研究科?文学部 教授 新井 潤美 / 2023)
本の目次
第1章 贵族の称号
第2章 「ヤンガー?サン」とアッパー?ミドル?クラス
第3章 カントリー?ハウスと相続
第4章 アメリカン?マネー
第5章 ステイトリー?ホーム観光
第6章 アッパー?クラスの教育
第7章 アッパー?クラスとオックスフォード大学
第8章 新しいアッパー?クラスと「ブライト?ヤング?ピープル」
第9章 现代のアッパー?クラスのイメージ
あとがき
関连情报
北海道新闻 2022年2月21日
森山恵 評「華やかさの裏の苦労と努力」 (日本経済新聞 2022年2月19日)
书籍绍介:
『日刊ゲンダイ』 2022年4月23日
「アッパー?クラスな「貴族」も楽じゃない? 『ノブレス?オブリージュ イギリスの上流阶级』(「はじめに」紹介)」 (じんぶん堂 2021年12月23日)
連載「ノブレス?オブリージュ――イギリスの上流阶级」:
「第1回 貴族の称号 (上)」 (webふらんす|白水社 2020年5月11日)
「第2回 貴族の称号 (中)」 (webふらんす|白水社 2020年5月25日)
「第3回 貴族の称号 (下)」 (webふらんす|白水社 2020年6月10日)