Index to the A?guttara-Nikāya
本书は、中期インド?アーリア语のひとつであるパーリ语で书かれ、スリランカやタイなどの东南アジア诸国で信仰されるテーラワーダ仏教の圣典に含まれる『アングッタラ?ニカーヤ』の语汇索引です。
パーリ語で書かれた仏教聖典の原典は、1881年にイギリスで設立されたパーリ文献協会によって計画的に出版されたものが底本として用いられ、今なお研究者に多大な便宜を供しています。しかしこのパーリ文献協会版の原典は、校正されることなく再版され続けるという初歩的な問題に加え、現代の研究水準からみると多くの問題を抱えており、すべての原典について新たな校訂作業が急務であることが指摘されてきました。またパーリ文献協会版の原典にはほとんど語彙索引が付されていないか、あっても非常に不完全で誤りが多く、包括的なパーリ語辞典の作成やパーリ語の言语学的研究、そして当然ながら仏教研究を進める際の大きな障害となってきました。
この状況を打開するため、1990年代初頭から、国内外の情報科学研究者、言语学研究者、仏教学研究者の国際的協働研究のもとに、パーリ語を含む中期インド?アーリア語で書かれた文献を系統的に解析できるツールが開発されました。これによって、解析のために作成された独自のフォント系を用いて作成されたテキストデータから、語彙と韻脚の正逆順索引を作成すること、またニューラルネットワーク法に基づいて韻文の韻律の種類を解析することが可能となりました。
本書は、これらのツールを用いて作成してきたパーリ語仏教聖典の語彙索引事業の掉尾を飾るものです。本書は、1883年から1900年にかけて出版されたパーリ文献協会版『アングッタラ?ニカーヤ』全5巻に出現する語彙とその出典箇所を全て列挙しています。また原典に含まれる、訂正を要する膨大な箇所の一覧を35頁にわたって提示して利用者の便宜をはかっています。本書によってパーリ語仏教聖典の主だったものについては全て語彙索引がそろい、上に述べた辞典編纂や原典の再校訂、また言语学や仏教学の研究に寄与することが期待されます。
理系研究者と文系研究者の协働の必要性、また国际的な连携が强调される昨今、ごく早い时期から上述した体制のもとに継続的に成果を出してきた点は大きな特徴でしょう。また、近年における人文情报学分野のさきがけのひとつとして、歴史的な意义を持つものでしょう。最近ではパーリ语の原典はデジタル化され、より容易に包括的な検索が可能となりましたが、実际にパーリ语の原典を用いる研究においては、このような语汇索引は今なお便利なツールとして机能するでしょう。
(紹介文執筆者: 附属図书馆 助教 河﨑 豊 / 2022)
本の目次
Corrections to the Pali Text Society edition of the A?guttara-Nikāya
Index to the A?guttara-Nikāya
関连情报
「パーソナルコンピュータによるアングッタラ?ニカーヤの語彙索引作成とテキスト再構築」 (基盤研究 (B) 2011年度~2013年度)
书评:
Petra Kieffer-Pülz 評 (Bulletin of the School of Oriental and African Studies, Volume 78, Issue 3, pp. 633 – 634 2015年10月)