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东京大学教员の着作を着者自らが语る広场

マソリーノ?ダ?パニカーレによる絵画、《教皇リベリウスによるサンタ?マリア?マッジョーレ聖堂の建立》

书籍名

中世教皇史 [改订増补版]

着者名

ジェフリー?バラクロウ (著)、 藤崎 衛 (訳)

判型など

384ページ、础5判、上製

言语

日本语

発行年月日

2021年2月

ISBN コード

978-4-89694-282-8

出版社

八坂书房

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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西洋文明を理解するうえで、キリスト教は欠くことのできない要素として挙げられる。现在のキリスト教は多くの教派?宗派に分かれているが、古代から中世にかけての西ヨーロッパ社会においてはキリスト教といえばローマ?カトリックのことであった。中世を中心として古代からルネサンスにいたるまでの时代の西欧キリスト教の指导者たる教皇と教皇権の歴史を描いたのが、本书『中世教皇史』である。
 
著者のG?バラクロウ (バラクラフとも) は20世紀イギリスの歴史家で、ケンブリッジやオックスフォード、ブランダイスなど英米の各大学で教鞭を執った。中世の教皇庁制度史から研究をスタートさせたのち、ドイツなどをはじめとする中世ヨーロッパの歴史全般へと研究の対象を広げ、キャリアの後半には比較史?世界史?現代史へと考察対象の幅を拡げた。過去と現在を見渡す文明史家としての視野の広さ、そして造詣の深さはいくつもの著作として形を取り、それらの多くは日本语にも訳されている。『転換期の歴史』(社会思想社、1964年)、『現代史序説』(岩波書店、1971年)、『朝日=タイムズコンパクト版世界歴史地図』(朝日新聞社、1984年) などである。
 
バラクロウの主著の一つである『中世教皇史』の語りは上記のような広い視野に裏打ちされたものであり、単に個々の教皇たちの事績を集めたものではない。本書は「教皇の歴史 (history of the popes)」ではなく、あくまでも「教皇権の歴史 (history of the papacy)」なのである。もう少し丁寧に言えば次のようになる。理念としての教皇権であれ現実に存在するローマ教皇庁であれ、それらは教皇一人で成り立つものではない。教皇の周囲を取り巻くおびただしい人間と役割がなす有機的な組織こそが教皇庁であり、その教皇庁から世俗権力や教会ヒエラルキーに示された権威こそが教皇権であると言うべきだろう。すなわち「教皇権の歴史」の意義は、一つには多様な人間が織りなし、別の社会集団と交渉を持つ、社会的組織体としての教皇庁の解明にあり、もう一つには宗教的権威の思想史的展開の解明にもある。バラクロウは現実の変貌し続けるヨーロッパ社会の歴史的流れの中に教皇権を位置づけ、また教皇権の歴史を通して中世ヨーロッパ社会の特質とその変容の過程を描き出すことに成功している。本書の価値はここにある。
 
他方で、个々の教皇について考察が不足しているわけではない。むしろバラクロウは个々の教皇たちの果たした意义についても豊かに语っており、彼の人物评は歴史家たちを唸らせるところが多々ある。そのおかげで本书は、学术的な欲求を満たしてくれつつも通読して面白いという比类ないものとなっている。その支えとなっているのは、一方で中世史や教皇史に関する専门家としての该博な知识であり、他方で卓越した文明史観である。
 
本书は2012年の翻訳を9年ぶりに改订し増补したものである。巻末の文献案内は訳者が补遗を加え、原书にはない附録として详细なデータを付した歴代教皇一覧を作成しているので、レファレンスとしても有用なものとなっている。
 

(紹介文執筆者: 総合文化研究科?教养学部 准教授 藤崎 衛 / 2022)

本の目次

第1章 始まり
1 ローマ司教
2 ローマ帝国下の教皇権
3 教皇権の解放
 
第2章 中世教皇権の勃興
1 教皇権とフランク人
2 西欧人とローマ
3 皇帝権と教皇権
 
第3章 改革の時代
1 改革运动の始まり
2 グレゴリウス七世と叙任権闘争
3 教皇政府の発展
4 十二世纪の教皇たち
 
第4章 教皇君主制
1 中世教皇権の危机
2 教皇の「バビロン捕囚」
3 大シスマ (教会大分裂)
 
第5章 新時代の幕開け
 
訳者あとがき
改订増补版へのあとがき
歴代教皇一覧 (増補あり) / 文献案内 (増補あり)

関连情报

書評 [2012年度版] :
嶋崎 正樹 評「教皇座のリアルポリティクス」 (Silva Speculationis 2012年12月21日)

 
岡田温司 評「権力の源流を探る」 (読売新聞 2012年5月6日)


讲演会:
「「教皇史」を学ぶ ――G?バラクロウ『中世教皇史[改订増补版]』藤崎衛訳 (八坂书房) の刊行を記念して」
(オンライン [主催: 上智大学中世思想研究所] 2021年11月18日)

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