日本の開発協力史を問いなおす 7 开発协力のつくられ方 自立と依存の生态史
开発协力を振り返る研究は、开発协力は「〇〇の役に立ったのか?」という问いかけから始まるのが典型的です。开発协力によって贫困は軽减したのか、识字率は向上したのか、农业生产性は上がったのか、などなど。こうした问い方は、何らかの実践的な教训を引き出すためには有用かもしれません。しかし、〇〇が问题であるという前提で、その解决手段に议论が集中してしまうと、そもそも〇〇が问题になった経纬や「解决」が生み出した広い影响が见えなくなります。
本书では、従来とは全く违った问い方で开発协力の歴史を描きました。それは开発协力が「何をしてきたのか」という问いです。开発协力は、计画书の「目的」に书かれている内容に役立ったかどうかを超える部分に、その重要な影响があります。贫困削减に役立たないと批判されるような援助でも継続されるのは、まさに援助が贫困削减以外に何か他のことを「している」からと考えるべきでしょう。この视点を取り入れたとき、「自立」を目指して行われてきた开発协力が、実は别の次元で、様々なアクターの间に「依存関係」をつくり出している様子が见えてきます。私が本书の副题に「生态史」といれたのは、こうした関係性の长期的な変化が、あたかも生物の进化と似ていると考えたからです。
実施机関や计画者の意図を超えて生じる影响は、日本から远く离れた途上国の现场で主に発现するため、ほとんど感じることができません。しかも、大规模インフラ支援などの场合、影响をしっかりと确认できるのはプロジェクトが终了して数十年后になることもあります。本书では、戦后の日本の开発协力の歴史の中で、その后の开発协力の路线を定める転换点となったような出来事に注目し、一つの出来事が次の出来事を呼び込む歴史的なつらなりを自分なりに再构筑する努力をしてみました。特にオリジナルだと自负しているのは、1980年代に日本で巻き起こった「翱顿础批判」を契机に、「生活破壊」、「公害输出」、「汚职の温床」などと手厳しい批判を受けた案件の「その后」を现地调査したところです。详细は本书に譲りますが、面白いことに、多くの「问题案件」は优良案件に化けていました。
日本の开発协力の歴史を通して分かるのは、多くの営みが意図や计画よりも、「そうせざるをえない」圧力に注目することで、より効果的に説明できるということです。この「圧力」の中身は时代によって异なります。ある时期は米国からの外圧であり、またある时期は国内の民间公司や狈骋翱などの市民団体でした。このように考えると、开発协力は、中央政府の官僚がつくってきたのではなく、いろいろなアクターの相互作用の结果として「つくられて」きたと言えます。それは、これまで主流だった意図や计画によって未来を操作しようとする発想への挑戦になります。この挑戦がどこまで成功しているか、そして、この挑戦が次の开発协力をよりよいものにするためにどのようなアイデアをもたらすのか。答えはぜひ本书をご覧ください。
(紹介文執筆者: 东洋文化研究所 教授 佐藤 仁 / 2021)
本の目次
序 章 开発协力を引き出す力
&别尘蝉辫;第1节 开発协力の不思议
第2節 自立に向かう依存
&别尘蝉辫;第3节 本书に通底する方法
&别尘蝉辫;第4节 开発と进歩
第5節 本書の構成
第1部 走り出す経済协力――1954-65年前后
第1章 自立の夜明け――戦後日本を東南アジアに押し出した力
第1节 自立のための経済协力
第2节 开発协力の水脉
第3节 経済协力推进体制の形成
第4节 一元化の梦と挫折
第5節 民間主導の経済協力
第6節 経済協力を押し出した米国と日本企業
第2章 开発の东南アジア――援助の受け入れ体制はどうつくられたのか
第1節 援助受け入れ体制への着目
第2节 フィリピン――米国の介入体制
第3节 インドネシア――自力更生と援助依存
第4节 タイ――西欧式开発计画の导入
第5节 「受け入れ体制」をつくらせた力――3カ国の比较
第6節 受け入れ体制の外発的な構築
第3章 逆风の现场――信頼が国境を越える条件は何か
第1節 国から人へ――穂積五一の理想と挫折
第2節 専門家/技术指導者の派遣
第3节 人材の受け入れ――研修生と留学生
第4节 経済协力への梦と失望――穂积五一の目
第5节 个人の自立と国境の越え方
第2部 経済协力から开発援助へーー1966年-89年前后
第4章 后発援助国への圧力――日本はなぜ「援助大国」になれたのか
第1节 援助予算の急増を问う
第2节 顿础颁と米国――援助の量?质に対する圧力
第3节 国内の利害构造――援助行政と民间公司
第4节 地域研究者――国策との距离
第5节 受け身の攻め
第6节 援助の拡大を促した外圧,国内利害,地域研究者
第5章 権威主义体制の援助吸収――援助は东南アジア诸国家に何をしてきたのか
第1節 東南アジアの開発主義――援助は開発国家にとって何だったのか?
第2節 マルコスのフィリピン
第3節 スハルトのインドネシア
第4節 プレーム‐タノムのタイ
第5節 援助が仲介する国家と社会の関係
第6節 国の自立と国民の孤立
第6章 続出する翱顿础批判――「问题案件」はなぜある时期に集中したのか
第1节 「问题案件」を问い直す
第2节 过热する翱顿础批判
第3节 批判の声の具体例
第4节 批判の类型と担い手
第5节 情报の依存先と説明责任への圧力
第3部 开発援助から开発协力へ――1990年代から现在
第7章 开発协力と「人间」の発见――日本の翱顿础は人间をどのように见てきたか
第1節 見えない援助理念
第2節 援助理念の源流と日本的変容
第3節 理念と実践――人間の安全保障と緒方改革
第4節 何のための「人づくり」か――個人と集団
第5節 日本式集団主義の可能性
第8章 涂り替わる援助地図――新兴ドナーは伝统ドナーに置きかわるか
第1节 カンボジアの道路网は谁がつくっているか
第2节 ドナー化するアジア
第3节 インドネシア――南南协力の盟主
第4节 タイ――借款へと拡张する次世代ドナー
第5节 多様化する新兴ドナーと日本
第6節 競争から依存関係へ
第9章 「問題案件」のその後――軌道の変化をもたらしたのは何か
第1节 长い学びと案件の熟成
第2节 现地调査の方法
第3节 30年后の现场を歩く――现地で惊いたこと
第4节 変化の説明――何が轨道修正の圧力となったのか
第5節 「成功」と「失敗」のはざま
第6節 依存の向きを問う
终章 开発协力が促す力
第1節 開発協力が働き続ける条件
第2节 前提条件に何を见るか――自立を支える依存
第3节 开発协力は何を促すか
第4节 むすび――依存の肯定からはじまる新たな开発协力
あとがき
参考文献
叢書の構想
索引
関连情报
ブックトーク?オン?アジア:No. 21 佐藤 仁『开発协力のつくられ方 自立と依存の生态史』(东京大学出版会、2021年) (Center for Southeast Asian Studies, Kyoto University: YouTube 2021年10月13日)
书评:
荒木光弥 評 (『国際開発ジャーナル』 2021年9月号)
近视眼では判断できぬ実态 (『日本経済新闻』 2021年8月7日)
书籍绍介:
シリーズ「日本の開発協力史を問いなおす」7 『开発协力のつくられ方—自立と依存の生态史』 (JICA | 独立行政法人国際協力機構緒方貞子平和開発研究所)
プロジェクト成果物リポート:成果物『开発协力のつくられ方―自立と依存の生态史―』が出版されました (研究助成プログラム) (公益財団法人トヨタ財団 2021年10月26日)